世界に飛び出そう! ロサンゼルスで活躍する日本人からのメッセージ

フォトグラファー飯富崇生さん・旅行ジャーナリスト芦刈いづみさん

vol.3 アメリカ人から見た日本人は「プリウス」

アリゾナ州:グランドキャニオン
アリゾナ州:グランドキャニオン

私(飯富崇生)が以前、フォトグラファーとして家具会社の撮影の仕事の面接に行ったときのことです。採用されるのはひとりだけなので、同じようなクオリティで写真が撮れる人たちと競って面接を受けました。同じクオリティなら、片言で話す日本人より、流暢に英語を話せる人種のほうがいいと思うのは、日本人の考え方。アメリカ人は、語学力や人種よりもその人ならではのユニークさを求めます。

 

面接で私は、「自分は日本人です。アメリカでは日本車であるプリウスに乗っている人が多いですが、私はプリウスと同じ仕事をします。燃費がよくて、壊れにくい。たとえ故障しても修理費が安い」と自己PRしました。面接をしてくれたCEOがプリウスに乗っていたこともあり、無事に採用されました。

 

プリウスの例を出さなくても、アメリカ人は日本人のことを本当に真面目で燃費がいいと思っています。お金も盗んだりしないし、さぼらないし、文句を言わずに残業までしてくれる(笑)。働き手としての評価は抜群です。

 

日本の教育では、スティーブ・ジョブスのような超天才は生まれにくいかもしれません。けれども、天才を支える2番手として、日本人は評価されているのです。アメリカ人が発明したものを、改良してよりよいものにするのは日本人。頭がいい。全体を見渡せる。日本人らしい長所がたくさんあります。例えば、私たちの知り合いの日本人弁護士は、インドの企業と中国の企業の間で起こった訴訟問題など、国際間のトラブルをおさめるのが非常に得意です。「日本人が間に入れば安心。日本人が言うのなら大丈夫」とよく言われるそうです。

 

英語さえ話せるなら、活躍できる場がたくさんあると思ってください。日本人という冠が乗っているだけで、最初から信頼されるのですから、とてもお得。就職できないで悩んでいる人は、一度、アメリカに行ってみてはいかがでしょう。

 

こんなふうに、日本人のよさ、日本のよさに気づけるのも、アメリカに出てきたから。外から日本を眺めると、日本のよいところが見えてきます。それに、クラスに日本人が1人しかいなかったら、もうそこで自分は「日本人代表」になるしかなく、クラスメートから日本に関するあらゆる質問を一身に受けることになります。自然に日本のことを勉強するようになるでしょう。そしてもちろん、いいところが見えれば、悪いところも見えます。日本人がどんどん世界に出るということは、日本を捨てることでも、日本らしさが失われることでもありません。世界に出て客観的に日本を眺めれば、長所を伸ばし、短所を改めるということができて、日本という国はよりよくなっていくのではないかと思っています。

 

 

自宅ギャラリースタジオにて
自宅ギャラリースタジオにて

■フォトグラファー飯富崇生さんのおススメ!

●『アルケミスト―夢を旅した少年』(角川文庫)パウロ・コエーリョ

自分の好きな道を迷わずそのまま進んで良いんだ、と教えてくれた本。好きな道を行けば、必ず仲間ができる。必ず誰かが助けてくれる。これまでのことを振り返ると、心当たることがたくさんあります。

 

●『フォレスト・ガンプ』(トム・ハンクス主演)

人生の本質について語られている映画。人生は、究極突き詰めてシンプルに考えると、「楽しいか」「楽しくないか」です。そしてどちらの道を選ぶべきかは皆わかっています。常に「楽しそうな方」を選ぶ。それが一番大事です。

 

●三鷹天命反転住宅

東京にいた時に住んでいた家。世界的な芸術家、荒川修作氏が創った「死なない家」。よくテレビや雑誌にも登場しています。荒川修作氏のぶっとんだ発想や発言は衝撃的。反転住宅に住んでいる人たちも面白い人ばかり。時々イベントをするので、中を見ることができます。

HPはこちら

 

●『ナショナルジオグラフィック』雑誌・TV・WEB

自然、文化、宇宙、歴史、科学など多岐に渡るメディア。サイトの動画を見ていると、知らない世界を覗けます。

 

●『ファイナルファンタジー』ゲーム

僕は、FFっぽいか、ドラクエっぽい風景に出会った時にアート写真を撮っています。ずーっと大好きだったゲームです。今は自分自身がリアルライフで主役となって、FFやドラクエのような冒険の旅に出かけています。日本の外に出る。それは大冒険の入り口です。

 

■飯富崇生さんにQuestion!

●Question 1. 飯富さんのご専門を、大学で学ぶとしたら、どんな学問や研究に相当しますか。

 

写真を学ぶためには、写真学部や写真のワークショップなど、たくさんの方法があります。そこで写真の基礎は学ぶことができますが、その後、風景写真、人物写真、報道写真などの専門分野に別れます。その専門分野では写真の知識に加え、風景であれば気候や文化、人物であればメイクやファッションなど、その分野の知識が必要になってきます。写真というのは、世界中のいかなる場面でも必要とされます。つまり、「自分の好きな分野に詳しければ、それが仕事になる」という面白い職業でもあります。

 

●Question 2. 中学時代、高校時代に熱中していたことは何でしょうか。

 

ハリウッド映画をたくさん見ていました。ハリウッドに憧れたというよりも、日本映画にはあまりない、ハリウッド映画の底抜けに明るい感じが大好きでした。まさか自分がハリウッドのあるLAに住むとは思ってもいませんでした。

 

また、日本以外の国にとても興味があったので、地理の授業は好きでした。中学生の地理の先生がある日の授業で、ご自身がヒューストンのジョンソン宇宙センターで購入した「スペースシャトルの部品を使ったネクタイピン」を見せてくれました。その当時、映画「アポロ13」が流行っていたこともあり、アポロ13の舞台になったジョンソン宇宙センターのピースに触った時に、「外国とは、どこか遠い遠い場所ではなく、実際に自分で行くことができるのだ」と感じました。それまでの漠然とした外国ではなく、具体的に自分が行くイメージが浮かんだのですね。

 

●Question 3. 充実した今を生き、未来を考えるために、高校時代にしておきたいことはありますか。

 

海外旅行に行くことをオススメします。本当は、商品として出来上がった「旅行」ではなくて、チケットから宿泊先まで全て自分で準備する「旅」をオススメしますが、初海外だとちょっとそれはハードルが高いかもしれませんね。いずれにせよ、日本を出て外の世界を見てみると、見るもの全てが衝撃的だと思います。そして新しいものを見るときに大切なのは、自分の中の固定概念のフィルターを全て外して、ニュートラルな状態で見ることです。世界には不思議なことがたくさんありますが、その不思議には全て理由があります。「日本だったら普通はこうだ!」という見方ではなく、その理由をよく考えること。その考え方が、その後のライフにとても大きな影響を与えると思います。

 

キューバ:ハバナ旧市街
キューバ:ハバナ旧市街

飯富崇生オフィシャルサイト
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