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18歳成人 賛成?反対?高校生アンケート

反対が65%。18歳はまだまだ未熟?

沼津東高等学校(静岡県) 新聞部


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  提言


世界と足並みを揃え、日本も18歳成人に / 佐藤ひかる

佐藤ひかるさん
佐藤ひかるさん

世界の中でも特に先進国は、18歳を成人年齢としているところが多い。しかし、日本は先進国の仲間だが、成人年齢は20歳だ。なぜだろう。憲法で成人年齢が18歳へと改正される可能性があると聞き、この問題に関心を持った。

 

そこで、私たちは、沼津東高校210人にアンケートを行った。各学年賛否両論で色々な意見が出た。結果は反対の方が多く、責任や犯罪について現代の若者に対して問う意見が多くみられた。

 

しかし、日本が20歳を成人としなければならない理由はない。先進国の18,19歳の若者たちはすでに自らの責任を負うことができ、それが当たり前のことだと認識している。だが、日本の18,19歳の若者たちはまだ保護者の監視のもとにある。


アンケートの結果、まだ大人としての自覚がないことや、煙草・アルコールの問題があるなどの意見が多かったが、それはどこの国でも同じだ。わざわざ成人年齢を引き下げる必要はないという意見もあったが、先進国はみな足並みを揃えているのだから、日本が遅れをとるわけにはいかない。


学生のうちから大人を自覚し、善悪の判断をしたり行動の責任をとったりすることは、将来の自国のためにも良いことだと考えられる。日本の成人年齢について、もう一度考え直すべきだと思う。

 

 

 

  アンケート結果から


3年生は反対77%

沼東生にアンケートを行ったところ下図のように各学年とも反対の方が多いという結果になった。特に、実際に18歳を迎える3年生ではその差が大きく表れた。やはり、現在の自分自身の状況から、成人に対して思うことも変わってくるのかもしれない。

 

18歳成人について賛成ですか、反対ですか

「自立が促される」 -賛成派の理由-


賛成派の主な理由としては、「周りの国に合わせるべきだから」「自立が促されるから」「早くお酒を飲んだり喫煙をしたりしたいから」などが寄せられた。

 

18歳ではまだまだ未熟 -反対派の理由-


反対派の主な理由としては、「未熟であり、成人としての自覚を持てない大人が増えるから」「お酒や喫煙などの問題が増えそうだから」「お金を稼げないのに、自分自身自覚を持てそうにないから」などが寄せられた。また中には「センター試験のころに成人式などされたら困るから」などといった受験生ならではの理由も寄せられた。

 

「税収が増える」etc -社会的なメリット-


メリットとして多く寄せられたのは「税収が増える」「若者の意見が政治に反映される」などの意見だった。また、「成人として認められた若者が就職しやすくなり、経済成長が促される」などの意見も寄せられた。しかし反対派の理由として多く挙げられたように「自覚の持てない未熟な成人」が増えるのだとすれば、政治や経済が乱される懸念もあるのではないだろうか。

 

社会モラルの低下 -社会的なデメリット-


デメリットとして多く寄せられたのは、「社会のモラルの低下」「社会にいい加減な意見が増える」などといった若者の未熟さを指摘する意見だった。 

 

  インタビュー1


「18歳でも、成人として働ける」-実業高生語る-

高校卒業後就職をする商業高校の生徒と、大多数が大学に進学をする沼東生では18歳成人に対しての意識の違いがあるのか調べるため、沼津の商業高校に通うM・Tさん(1年生)にインタビューを行った。 

 

--18歳では社会的に未熟だ、という意見が多いですが、それについてどう思いますか?


商業高校では社会に出ての実用的なことを学ぶため、他の高校に通っている同じ年代の子よりも、社会で通用する知識を多く身につけていると思います。だから私は18歳でも社会に出て責任を持ち、成人として働けると思います。

 

--では、高校を卒業して成人として認められることは、社会に出る身として優位だと思いますか?

 

はい。私たちはとにかく就職することが第一なので、成人として認められることで、より責任を持った1人の大人として社会的に権利を持てるのであれば、私はそうなってほしいと思います。 

 

  インタビュー2


消極派「母性社会からの脱却が鍵」上杉剛嗣先生

なぜ日本が成人年齢の引き下げに積極的でないのか。その理由は多くあるが、心理学に造詣が深い上杉先生は次のように語った。


「日本は母性社会の国と言われることが多く、それは例えば襖1枚で隔てた程度のプライバシーの中を生きてきた生活習慣に基づいたものだと言われています。子供が小さい時には親子で川の字に寝ることは当たり前で、子供は親の愛情をたっぷり受けて育っていきます。

 

これに対し、早くから個室を与えられ、精神的な自立を推奨される欧米では兵役の義務もあるので、18歳でも十分に『大人』になることができるのではないでしょうか。

 

20歳をすぎても親のすねをかじっている青年が多い日本において、悪くいえば、親離れや子離れをしにくくさせている日本の母性社会こそが、18歳成人をこばむ心理的原因かもしれません。そして、そういうことを考えると、現段階では18歳成人には消極的にならざるをえません。母性社会からの脱却が鍵ですね」。 

 

  インタビュー3


賛成派「ほかの国に出来て、日本に出来ないわけがない」村岡健一郎先生

18歳成人について賛成か否か、公民科の村岡先生にインタビューを行った。


「私は賛成です。なぜなら世界の先進国のほとんどでは18歳を成人年齢としているのに、日本だけそうしない理由はないと思うからです。責任を持てない成人が増えるのではないかという反対意見が多いようですが、他の、日本のような発展している国の18歳の若者は成人として政治に参加できているのですから、日本の18歳だけそうすることができないわけはないのです。責任を持つのが面倒だ、などというのは決して理由にならないと思います。だから私は18歳成人に賛成します」。

 

  インタビュー4


専門家に聞く 18歳成人のQ&A

上智大学総合人間科学部 田中治彦教授

--「18歳成人」について話し合うようになったきっかけは?


 2007年に、憲法を改正する際の手続きを定めた「国民投票法」という法律が成立しました。このときに投票年齢が「18歳以上」と定められたのがきっかけで、政府は、民法で決められた成人年齢なども、18歳に引き下げるよう話し合うことにしました。

 

--世界の成人年齢はどうなのでしょう?

 

ヨーロッパの多くの国や中国など、世界の7割以上の国が、成人年齢を18歳としています。たとえばイギリスでは、1960年代に、学生が政治や社会に対して主張をぶつけた学生運動を機に、「若者に責任を持たせよう」と21歳から18歳に引き下げました。

 

--成人年齢が18歳になったら、どんな変化があると思いますか?

 

18歳以上に選挙権が認められ、若者の政治参加が増えるでしょう。また18、19歳の人が裁判員に選ばれることも考えられます。

 

--心配なことは?

 

18、19歳の若者が、これまでは保護者の同意が必要だった契約を自分だけで結べるようになり、悪質商法などにだまされる人が増えることが心配されます。

 

  比べてみよう


世界の成人年齢

左表からわかるように多くの国で成人年齢を18歳に定めており、調査可能な世界186ヵ国のうち、162ヵ国が18歳を成人年齢としている。また世界の中で最も成人年齢の低い国プエルトリコで14歳、高い国はアルゼンチン、エジプトで21歳となっている。サミット参加国で成人年齢が20歳なのは日本のみだ。

世界の成人式

世界の多くの文化圏で、さまざまな形で成人式が存在しており、中では以下のような独特なものも行われている。
●太平洋諸島地域のバヌアツでは高い櫓から命綱をつけて飛び降りる、いわゆるバンジージャンプ様の度胸試し的な儀式を行う。
●アフリカのマサイではライオン狩りを行ったものを一人前、勇者とする習慣がある。

 

<取材・編集を終えて>佐藤ひかるさんに聞きました

 

----どうして興味を持ちましたか。

 

部内で編集会議を行っていた際、部員の一人から18歳成人について取り上げたいという提案があり、頭に引っかかっていた時、たまたま小学生新聞で特集を見て、自分で調べたいと思いました。

 

----どういう調査をしましたか。

 

まず、私たちの高校の生徒210名にアンケートを実施し、実際に18歳を迎えようとしている生徒たちの意見を調査しました。その結果や、インターネットで調べた他国の状況、また専門家の方々の意見から、もう1人の部員と話し合いを行い結論を出しました。記事のまとめは、もう1人の部員に手伝ってもらって行いました。編集会議から、記事になるまで約2か月でした。

 

----どんな苦労がありましたか。

 

18歳成人の問題について通じている大学の教授の方に連絡を取り、取材をさせていただいたことや、取材した内容などから自分たちなりに結論を出すことにです。

 

----何を知りましたか。

 

日本が先進国の中で遅れを取っていることは、初めて知りました。また、進学校や商業高校などで学生たちの18歳成人に対しての意見が異なることや、世界に様々な特徴ある成人式が存在すること(バンジージャンプなど)は興味深く思いました。

 

----次はどんな企画をしてみたいですか。

 

東京オリンピックについてです。実際に準備や開催をするとなった時、浮かび上がってくる問題点について、取材してみたいなと思っています。

 

----個人的関心や進路について教えてください。

 

記事でないことでは、今興味持っていることは、エクストリーム・アイロン掛け、バンジージャンプ、バンブーダンス! 将来は、社会言語学科に進みたいと考えています。 


 

 


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