中学生に“WHY DO WE STUDY?”を考える意味を伝えたい!

高校生・ギャップイヤー生が中学生向けサマースクールを立ち上げた 

~Triangle Summer School 2015

(2015年8月取材)

■学校の勉強とは違う「学び」があることを知る
~Triangle Summer School 2015レポート

今年のサマースクールは、8月10日~13日の4日間、静岡県湯河原町のホテルで行われました。私達取材班は、2日目の8月11日のプログラムを見学しました。

 

初対面同士でも、認め合い学び合う雰囲気を作る

会場の「ホテル四季彩」は、湯河原温泉街の千歳川のほとりの大きなホテルです。参加者・スタッフ合わせて23人が参加しました。

参加者は、大学生(1-2名)・高校生&ギャップイヤー生(2名-3名)・中学生(3-4名)の「Family」に分かれ、身の周りのことや食事などは、高校生&ギャップイヤー生の運営スタッフ中心になって、きめこまかく中学生の手助けをします

メンバー同士は、年齢に関係なく名前で呼び合います。また、いろいろなプログラムでは、Familyのメンバーをシャッフルして、また違う仲間同士で組んで活動ができるようになっています。

 

私達が到着したのは、ホテルの小部屋に分かれて大学生が講師になり、様々なテーマについて話し合っているところでした。昨日は初日ということでさすがに緊張した中学生もいたようですが、アイスブレークやゲーム、1日目のプログラムなどを通してすっかり打ち解けあい、真剣に話を聞いていました。

 

初対面の人達がお互いを認め合う仕掛けとして、「HappyNotes」があります。全員が集まって活動する大きな部屋の壁に貼られたそれぞれのメンバーの名前のカードに、「その人がステキだと思ったこと」や「○○してくれてありがとう」などのメッセージを書いて貼り付けていくのです。なかなか自分から前に出られない人に対しては、スタッフの高校生達がメッセージを書いてあげるなどして、お互いのいいところを知り合う機会になっていました。プログラムが進むにつれて、カードはどんどん増えていき、中学生は他者から認められることを通して自信を深めることができます。

 

中学生自身が「自分は何のために勉強しているのか」考えるサポートを

Triangle Summer Schoolの狙いは、中学生自身が『自分は何のために勉強しているのか』『今ある資源をどのように活用するのか』ということを考えることの大切さを知り、主体的に進路を考えられるようになること、自分達がやろうと思えば何でもできる環境にいることに気づくことができるようになることです。そのために、高校生・ギャップイヤー生が考えたプログラムを紹介します。

プラグラムは大きく、3つの柱で構成されています。ディスカッション形式の授業「BITESIZE COLLEGE」、好きなことや興味のあることを行動に移すためのプランを立てる「INQUIRY」の時間、そして学んだことを振り返って共有・定着をはかる「REFLECTION」です。

 

[Timeline]

■BITESIZE COLLEGE
「Bitesize」とは、文字通り「一口サイズの大学」。中学生が主体的に授業を進められるディスカッション形式で、講師役の大学生自身が専攻している内容をもとに、多くの学問分野にまたがる学際的な授業を行います。

 

今回のテーマは、『How to manage yourself and others』(決断の心理学)、『Let’s talk about Fairness and Equality』(平等について話してみよう)、『Introduction to Justice』(正義に触れてみよう)の3つ。大学生の自作のパワーポイントや動画を使って、かなり高度な内容を、身近な具体例を挙げながら丁寧に説明していきます。『How to manage yourself and others』で使われていた動画は、MITの学生とインドの貧しい人が仕事の内容と報酬の額のどちらを重視するか、という実験を扱ったものでした。また、『Introduction to Justice』のグループでは、「自由主義」「新自由主義」「社会主義」の長所と短所を話し合っていました。

 

先生の話を一方的に聞くふだんの授業とは違い、わからないところは大学生や高校生が噛み砕いて丁寧に説明してくれるので、学校では苦手意識を持っている科目に関することであっても、新しい学びに気づくことができます。

このような経験を通して、中学生達は勉強とは教科書に書いてあることを覚えることだけではないことに気づかされていきます。

 

■INQUIRY
INQUIRYは「なぜ?」と問い続けること。この時間には、参加者一人ひとりが自分という人間が様々な経験によって形作られていることに気づき、将来やりたいこと・なりたいものを考える時に、どうしたらよいかということの「考え方」を知ります。好きなことや興味のあることを行動に移すためのプランを立てることが、INQUIRYの目的で、今回のテーマ「Why Do We STUDY ? 」の核でもある時間です。また、一度じっくりプランを立てることで、サマースクールが終わった後も、中学生達が、各自でプランを立てる方法を実行できるようにすること、場合によっては相談に乗ってもらえる人を見つけることも狙います。

 

1日目のINQUIRYのテーマは「興味探求」。自分の好きなこと、興味のあること、暇つぶしに思わずやってしまうこと、小さい時から憧れていた活動、本を読んで感動したこと、趣味、夢や習い事などを振り返る時間をとり、とにかく思いつくだけの興味・好きなことを書き出していきます。

2日目のINQUIRYのテーマは「資源探求」。1日目に書き出したリストをもとに、実際どんな人がどんな活動や職業についているのか、興味を行動に移すためにはどのような方法があるのかを、自分の夢の実現のために具体的に何をしたらよいかを、年の近いお兄さん・お姉さんに相談する感覚で、調べたり、質問をぶつけたりしていきます。具体的なプランを考えている人は、そのために何を勉強しておくことが必要かを教えてもらい、「何になりたいか、まだ見つけられない」という人は自分の興味のあることにつながる仕事にはどんなものがあるかを探すところから始めたり。社会人のゲストやギャップイヤー生の高校時代の経験談を通して、「転機」ということを考える人もいました。

3日目には各自がINQUIRYを通して自分がどうなりたいと思ったかということについて、プランをまとめて実現可能かをメンターと話し合ったり、実現までの計画をスモールステップに分けて、差し当たって何をしたらよいかなどを考えていきます。そして、最終日(4日目)の午前中に、皆の前で発表します。

 

■REFLECTION

サマースクールの中で考えたこと、感じたことをしっかりと自分のものとするために、毎晩中学生、高校生、大学生の小さいグループでその日の復習を行います。自分が感じたことを話すことによって、意見や考え方を共有したり、他の人との違いに気づいたりする経験を深めます。

 

■BREAK TIME FUN

2日目夜のタレントショーでは、参加者が普段から練習しているもの、得意なものを皆の前で披露します。実行委員によるパフォーマンスもいろいろ飛び出しました。また、室内で話し合うだけでなく、近くのレストランまで千歳川沿いを散歩してランチを食べに行ったり、湯河原の温泉街で散策をしたりというお楽しみもありました。

◆参加した中学生に感想を聞きました

・栗田稜平くん(中学2年[シンガポールのインターナショナルスクール在校])

「このサマースクールは、母が見つけてくれました。最初は少し不安でしたが、メンバーやスタッフの人ととても深い話ができ、楽しいですし、すごく嬉しいです。ここでは、何でも話せる感じがします。スタッフの人が自分と年齢が近いので、経験やアドバイスがすごくわかり易いです。

将来何をしたいか、なりたいか等については、学校の授業で深く探究したことはありませんし、もちろん学校の友達とほとんど話しません。将来の夢などを話すのは、自分の内を明かすみたいで戸惑うのですが、今回話したことを受け入れてもらえたことで、何だか自信がつきました。これから、大きな部分でも、小さな部分でも変わっていけるような気がします」

 

・川満妃華さん(中学3年)
「沖縄から来ました。HLABのサマースクールに行ってみたいのですが、まだ中学生なので、中学生でも参加できるものを探して、このサマースクールに来ました。親はサマースクールに参加したことがありませんが、いろいろなところに参加した人の話を聞いて、勧めてくれました。

私自身は、将来は医者になりたいと思っていますが、大学はどうするか、まだ決めていません。でも、このサマースクールで話をして、海外の大学へ留学するもいいかな、と思えてきました。


海外の医療技術や病院の現場を見て、日本でも取り入れられるところを探していけたらよいと思います。高校では、英語でコミュニケーションできるように、英語をもっと勉強したいと思います」

 

運営スタッフの高校生・ギャップイヤー生インタビューはこちらから↓
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~Triangle Summer School 2015

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