手に入りやすい金属を使って熱電対温度計を作ってみた!

岐阜県立岐阜高等学校 自然科学部物理班

(2014年7月取材)

佐村雄斗君(左)、小林敬弘君(右)
佐村雄斗君(左)、小林敬弘君(右)

◆部員数9人 (うち1年生3人・2年生4人・3年生2人)

◆答えてくれた人 佐村雄斗君(3年生)

 

■研究内容 「熱電対による温度測定」

私達は、身の回りに温度を測定する器具が意外に少ないことから、手に入りやすいもので正確な温度計を作ることにしました。注目したのは熱電対の「ゼーベック効果」、2つの異なる金属を2か所でつないで1つの閉回路を作り、そのつなぎ目を2つの異なる2つの温度にすることで起電力が生じる現象です。


まず、起電力の大きい金属の組み合わせを探しました。ホームセンターで手に入る金属線の組み合わせで熱電対を作り、図のような装置で起電力を測定すると、温度が1℃変化した時の起電力の変化は、真鍮(しんちゅう)と亜鉛が最も大きくなることがわかりました。


しかし、熱電対1対だけでは起電力が小さすぎて、正確な温度変化を測定するのは難しいので、熱電対を直列に複数個つないで起電力を大きくしてみました。下部のグラフは、上が熱電対1対の時、下が熱電対を18対直列につないだ時の起電力です。

これらの結果から、一般的な熱電対温度計に使われているような特殊な金属線を使わなくても身近にある金属を使って熱電対温度計を作ることができることがわかりました。しかし、起電力は非常に小さく、正確に温度測定をするのは難しいので、熱電対を直列接続することで起電力を大きくして、より正確に温度測定ができることもわかりました。

 

 

■研究を始めた理由・経緯は?

 

研究テーマについて探しているときにふと、教科書や科学館の展示には熱に関する実験が少ないことに気づきました。熱は目に見えにくいものだからだろう、それなら手に入りやすいもので温度計を作って、身近なものの温度をはかってみようと思い、実験しました。

 

■今回の研究にかかった時間はどのくらい?

 

1週間に3日(1日あたり1時間30分)を1年半です。

 

■今回の研究で苦労したことは?

 

・100℃の湯と0℃の氷水を使って実験したため、暑さと冷たさに苦しみました。

・より正確な結果を出すために、データをたくさん取らないといけなかったのはたいへんでした。

・起電力(電圧)を大きくするためにはどうすればよいかということには悩みぬきました。

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

 

・真鍮や亜鉛などの聞いたことのある金属を使って熱電対が作れること、熱電対を直列接続することで、起電力を大きくすることができることをつきとめたことは、アピールしたいです!

・発表については、スライドはできるだけ文字を減らして写真や絵を多用したり、先生や同級生、後輩に何度も聞いてもらって、みんなが知らないような用語については、できるだけ使わずにほかのわかりやすい言葉で説明するようにしました。

 

■今回の研究にあたって、参考にした本や先行研究は?

 

教科書を見て熱電対について実験を始めました。特に参考文献はなく、実験については、物理の先生や、同級生にアドバイスをもらって工夫しました。

 

小林敬弘君(左)、佐村雄斗君(右)
小林敬弘君(左)、佐村雄斗君(右)

■今回の研究は今後も続けていきますか?

 

今後も、後輩たちにこの実験を続けてもらいたいですが、後輩は、屈折率に関する実験をやりたいそうで、継続は難しそう…。

 

■ふだんの活動では何をしていますか?

 

9月上旬に行われる岐高祭(文化祭)に向けていろいろな出し物を考えて、作っています。

 

■総文祭に参加した感想は?

 

高校3年間の最後に、このようなすばらしい全国大会に出場できて良かったと思うし、良い思い出にもなりました。また、他校の発表を聞き、自分たちの研究で不足していることや、知らなかったことをこの3日間でいろいろ学ぶことができました。他校の友達とも交流できて本当に楽しかったです。いろいろ勉強になるので、後輩をもっと連れて行けばよかったなと思います。

 

 

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