市民の憩いの場である、学校の裏山「城山」を解明する! 

大分県立佐伯鶴城高等学校 科学部

(2014年7月取材)

発表する野々下君
発表する野々下君

◆部員数 18人

 (1年生6人、2年生8人、3年生4人)

◆答えてくれた人 野々下健太君(3年生)

 


■研究内容 「山の土壌の分析~土壌の性質を決めるものとは~」

学校の裏にある城山。4つの地点で土を採取した(色のついている場所)
学校の裏にある城山。4つの地点で土を採取した(色のついている場所)

土の性質(保水力、有機物、無機物の量、粒径など)の違いは何によるものなのか、ということを研究しています。簡単に考察をまとめると、木>草、ということです。

山の中の草木の植生を目安に、4つの地点の土壌を採取して、土を800℃で1時間燃やした後の水の減少率、保水力、土の中の栄養素である硝酸態窒素を電気伝導度で求めたりする実験をしました。

 

4つの地点の植生
4つの地点の植生

結果、同じ山でも

(1)山の土壌の性質は、育成する草よりも構成する樹木の影響を受ける

(2)土壌の有機物量は植生の影響を受けやすい

のように、土壌の性質が異なることがわかりました。

 

■研究を始めた理由・経緯は?

 

研究は2009年から始まっています。僕らが、今年も研究をつづけようと思った理由は、先輩方の研究を途切らせてはならない!という思いもありましたが、一番の理由は、舞台である城山は高校のすぐ裏にあり、佐伯市民の憩いの場として愛されており、僕らも城山が大好きで、城山についてもっと知りたい! 城山の研究がしたい! という思いからです。そこで今年は、なぜ同じ山の中でも、地点が違うと土壌の性質が違うのか、ということを中心に調査しました。(初年度は土砂災害などの対策のため、ハザードマップへの活用のために研究を始めました。)

 

■今回の研究にかかった時間はどのくらい?

 

4~12月の間、週3日、1日約2時間の活動(+時々、土曜日に城山に調査に行きます。)

 

■今回の研究で苦労したことは?

 

実験数を増やしたことと、山から土を全部で25kgほど採取してきたこと。調査地点の選定には気をつかいました(山を歩き回り、最良の地点を探しました)。そして、天候によってデータが狂わないように、教室を閉めて計測をした点です。

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

 

統計(分散分析)を用いるのは、この研究の中で初の試みだったため、苦労しましたが、その結果をまとめた考察に注目してもらいたいです。

 

■今回の研究にあたって、参考にした本や先行研究は?

 

「大分県の魚つき保安林の歴史的背景と現状」武井雅宏、

「豊かな城山の土壌」真柴茂彦、武石宣影、平野憲司、山崎美土子

「城山の植物」緑の会

「葉による野生植物の検索図鑑」阿部正敏

「原色牧野植物図鑑」牧野富太郎

「だれでもできるやさしい土のしらべかた」塚本明美、岩田進午

「カラーガイド大分の身近な自然-臼津・県南地域-」大分県保健環境部環境保全課

「土壌調査ハンドブック」日本ペトロジー学会

 

■今回の研究は今後も続けていきますか?

 

今後も続けます。土の色の違いや植生の違いなどによる土壌の性質の違いを調査・研究したいと思います。

 

■ふだんの活動では何をしていますか?

 

地学の他に物理の洋上風力発電についても研究しています。2年目の研究です。また、学校のグリーンカーテンとして、ゴーヤやアサガオを育てています。節電にも役立っています。

 

■総文祭に参加した感想をおしえてください

 

参加したどの発表もすごくレベルが高く、とても勉強になりました。後輩に伝え、今後の研究に活かしたいと思います。個人的にも良い経験になりました。

 

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