(2016年4月取材)
自分の学校のことを誰よりも考えている高校生が、全国から東京に集まる「全国高校生徒会大会」。第4回となる今大会は、2016年3月30日~4月1日の3日間、衆議院第一議員会館で開催されました。東北から九州まで、137人の参加者が集いました。
今回は、「生徒会の存在意義」を確認し、また、参加者が抱えている生徒会の課題や悩みを解決することを目的として、グループごとにディスカッションが行われました。今大会の特徴は、第3回までとは異なり、プレゼンではなくディスカッションが主体であること。3日間にわたってとことん深い議論が尽くされました。
今回は、第1回・第2回大会に参加し、第2回大会ではIT部長を務めた生徒会大会OBの舩木駿一くん(早稲田大学2年)がレポートします。
※文中の学年は新学年です
■全国から実行委員が集合! いよいよ本番準備も大詰め (3月28日・29日)
「大会0日目」ともされる大会直前の準備期間。3月28日には、議員会館にて実行委員会の一部によって、荷物搬入や机移動から片付けまでのリハーサルが行われました。
大会前日である3月29日には、ほとんどの実行委員が集まり、大会準備が大詰めとなってきます。昼は宿から議員会館までの経路確認や幹部によるミーティング、夜は開会式やアイスブレイクの練習、1日目の議長とのミーティング、そして前日から東京に泊まり込む参加者のお迎えやお風呂の案内など、様々な仕事がこなされました。1年間かけて準備してきた生徒会大会が目前に迫り、実行委員たちはさすがに気持ちが高ぶっている様子でしたが、その顔には「大会が成功するだろうか」という緊張もうかがわれました。
実行委員のメンバーに、意気込みを聞きました。
左から 田島 佑海佳さん(成立学園高校3年[東京都])、松林里歩さん(三重県立津高校3年)、上林山大吉くん(東大寺学園高校2年[奈良県])
■「文部科学省が生徒会廃止案を掲げたら?」! 生徒会の存在意義はどこにある?? (大会1日目/3月30日)
いよいよ大会1日目。議員会館地下の大会議室で、まず午前中に開会式とアイスブレイクが行われ、和気あいあいとした雰囲気の中で生徒会大会の幕が上がりました。初対面同士、緊張しながらも徐々に打ち解けていく様子が見られました。
午後には、13の班に分かれて、班ごとで「生徒会って何のためにあるの?」という根本的な部分について議論が行われました。この議論では、まず各自が行っている「自慢の政策」について発表し情報共有しました。次に、「文部科学省が生徒会廃止案を掲げたら?」というシチュエーションの下で、その案に対抗するために生徒会が必要な理由が議論されました。1日目の日程が終わる頃には、班内でその日の議論の振り返りを行いながらも、楽しげに雑談をするほど仲が深まっていました。
1日目の議長を務めた小野裕矢くん(海城高校2年[東京都])と納富茅壽さん(弘学館高校2年[佐賀県])に聞きました。
上の写真:左から2番目が小野くん、一番右が納富さん。(一番左と、左から3番目は、3日目の議長の長谷川剛志くんと川越華佳さん)
■異なる背景を持つ仲間同士が同じテーマで話し合うことから、生徒会問題の本質が見えてくる (大会2日目/3月31日)
2日目の午前中は、高校時代に生徒会活動を経験して、現在は相馬市の相馬市で復興支援に携わる(株)ミライクリエイツの押田一秀さんの講演や、生徒会大会OBの南藤優明さん(東京大3年)と久保直生さん(青山学院大3年)のパネルディスカッションが行われました。「生徒会での経験は将来どう役に立つか」「先生とどう交渉すればよいか」「無関心層を巻き込んで、企画を成功させるには」など、生徒会に携わる人なら誰でも知りたい運営のコツが、経験に基づいて紹介されました。テンポのいいトークは、前夜の寝不足?を吹き飛ばしそうな熱気があふれています。昼食時間も、OBの皆さんを囲んで熱心に質問する人たちもたくさんいました。
午後からは1日目と異なる15の班でメインディスカッションを行いました。「東北交流」「地域活性」「模擬選挙」「外務活動」「生徒会(役員)のあり方」「生徒会の組織論」など、生徒会が抱える問題に関する6つのテーマから、事前に希望を登録した班に分かれて議論が交わされました。なごやかな雰囲気ながらも、議論の内容はかなり真剣な、突っ込んだものでした。
今回初めて参加した皆さんに話を聞きました。
左から 馬場真樹くん(福島県立会津高校3年) 、山本真人くん(明治大学付属中野高校1年)、
田中悠之介くん(早稲田佐賀高校3年[佐賀県])、堀綾奈さん(横浜女学院高校2年[神奈川県])
■議論した内容を共有し、各自が考えてきたことをより深めることで新たな行動へ (大会3日目/4月1日)
最終日である3日目。この日は、2日目に議論した内容の共有が行われました。
ここで注目すべき点があります。前回の第3回大会までは、最終日に各班で議論したことをまとめて、全体に向けてのプレゼン大会が行われていたのですが、今年はプレゼンをせず、各班、また各テーマ内でのみ情報が共有されました。これによって、プレゼンではなく議論に重点を置き、議論をより有意義なものにできるのです。
さらにここでは、テーマに対して各自が考えてきた政策を各自が発表しました。こうすることで、一人ひとりがテーマについてより熟慮できるようになっています。
情報共有の方法は自由で、同じテーマを扱った他の班と互いに発表し合って情報共有したところもありました。また、地域交流や東北交流などについての有識者が見学に来られていて、その方たちとも意見交換が行われ、例年以上に有意義な結果となりました。
閉会式後には写真撮影が行われる中、別れを惜しみつつも再会を約束する参加者の姿を見ることができました。こうして、第4回全国高校生徒会大会は、全国生徒会役員たちに様々な出会いによる「奇跡」のきっかけを与えて幕を閉じました。
【インタビューを終えて】
舩木駿一くん(早稲田大学政治経済学部2年)
今大会の取材に際して、私は自分が初めて生徒会大会に参加した日のことを思い出していました。私が第1回生徒会大会に参加するため、単身夜行バスで大阪から東京まで来たのは高校1年生の時でした。東京にほとんど来たことがなく、大変緊張していたことを今でも覚えています。しかし、生徒会大会を経て帰る頃には、たくさんの友人ができ、楽しい思い出で心がいっぱいでした。そして、もちろん大会から得られた知識や人脈を生徒会活動に還元しようと考え、改めて生徒会へのモチベーションを高めて大阪へ帰ることができました。
今回のインタビューを経て、やはり生徒会大会で得られたものがあったからこそ今の自分があると思います。議長の川越華佳さんの「かつて生徒会活動を通して得た数々の学びを糧に前進する」という言葉を、僕は今だからこそ実感することができます。
この記事を通じて、様々な問題を抱えながらも生徒会活動を行う彼らの勇姿と、高校生だからこそ得られる輝きを様々な人に知ってもらい、高校生徒会役員を応援するきっかけにしていただければと思います。
現在は来年行われる第5回全国高校生徒会大会の実行委員を募集しているそうです。どのような形でも結構ですので、ぜひ参加してみてください。
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◆全国の仲間との交流を通して、生徒会活動に新しい風を起こす!
実行委員長 須田隆太朗くん(東京・広尾学園高等学校2年)
総務委員 中村優希さん(東京・晃華学園高等学校2年)
島田真志くん(灘高校2年)、久本創くん(灘高校2年)、横谷悠くん(神戸大学附属中等教育学校5年)に聞きました