映画『幕が上がる』を観て

夢中になるには覚悟も必要

ペンネーム:かいくん 高校2年

(2015年4月掲載)

映画『幕が上がる』より (C)2015 O.H・K/F・T・R・D・K・P ■配給:ティ・ジョイ/配給協力:東映
映画『幕が上がる』より (C)2015 O.H・K/F・T・R・D・K・P ■配給:ティ・ジョイ/配給協力:東映

良作でした。最近の青春映画にありがちな、恋愛やライバルといった要素がない分、演劇に夢中になる女子高生の純粋な姿が淡々と、かつ丁寧に描かれていて、観終わった後は心洗われる思いがしました。

なんとなく演劇部に入部し、勝手に部長に選ばれた主人公が、不意に訪れた出会いによって演劇と正面から向かい合わなければならなくなったとき、なぜ自分は演劇をしているのか、自らに問うています。人間の行動のうち、最初から明確な目的を持って行われたものがどれだけあるでしょうか。主人公は、自分がやりたいことは何なのか、真剣に考えて悩み、自分の本当の気持ちを探り、そして目的を見つけることでそれに向けてまっすぐに進んでいきます。また、一度しかない高校生活を演劇に捧げることについて、「自分の人生ですから」と、責任は自分で取ることを宣言します。主人公たちの演劇に対する情熱やひたむきさを見ていると、何か一つのことに一所懸命になることの大切さに気づかされると同時に、一つのことに夢中になるにはそれ相応の覚悟が必要だということを感じました。

演劇部を扱った映画ですが、具体的な演劇シーンはあまり出てきません。この映画の主題は、技術的な成長ではなく、主人公たちの内面的な成長であるということがはっきりとわかるからです。夢中になれることが見つからない学生の皆さんや、過去に何かに夢中になったことがある大人の方々など、すべての人にとって、見ると必ず心が動かされる部分のある映画だと思います。

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