(2013年12月取材)
人権、雇用・職業、健康、メディア、震災復興等々、社会には様々な課題がある。また、女子の将来は、就職、結婚、出産・子育てと多様だけど、女子ゆえの課題もあるのでは・・・。そんな社会の課題にも、女子ゆえの課題にも、女子高生として具体的に意見・提言したい!
その思いを実現すべく行われたのが「女子高校生未来会議」(2013/12/26)。参加者は、約130人。参加者も女子高校生なら、企画、宣伝、運営もすべて女子高校生という会議です。
企画したのは、女子高校生未来会議代表の町田彩夏さん(高校3年)たち。高校の生徒会の会長選に立候補したら、女子のくせに、と言われたことで、発奮。そして、塾で知り合った友達などと、5月から準備開始したそうです。Facebookで呼び掛け、そこでイベントのことを知った人が、友達同士声を掛け合い参加、130人が集まりました。
午前中は、安倍総理大臣夫人、安倍昭恵さんからの応援メッセージ、そして、昭和女子大学学長の坂東眞理子さん、日本コカ・コーラ株式会社副社長の後藤由美さん、衆議院議員の宮川典子さんのパネルディスカッション。午後からは、テーマごとの討論(各グループ約10名×15テーブル)、最後に3分間のスペーチと表彰という流れで行われました。
実は、会場は、国会議事堂と首相の官邸のすぐ近くにある、議員会館の会議場。そこには、衆議院議員の執務室もあるという、日本の政治のまっただ中です。そのため、会議には多くの議員さんも参加。
事務局として運営をサポートしたリヴィジョン代表の斎木陽平さんからは、次のようなメッセージがありました。
・今、日本には、1000兆円の借金がある、2050年には、4000兆円になり、一方高齢者の比率は全人口の40%になるとの試算もある。今の若い人たちが、その日本を支えていかないと行けない。
・今のみなさんには、人脈も能力もお金もない。しかし、自分のこととして未来を考えるチカラがある。だから、未来を考え発信していくことは、皆さんにしかない特権である。
参加者の多くは、東京・神奈川の高校生ですが、そんな中で、震災被災地、東北・宮城から来た高校生たちもいました。インターネットサイトを使ったクラウドファウンディング(みんなから資金を集める仕掛け)による寄付で、往復1人2万円の交通費が支払われ、参加した人たちです。
その1人、宮城県立多賀城高校2年の三品万麻紗さんは、「高校の中は窮屈で、将来について十分に考えられない。どうすればいいのか」という質問をしていました。
それに対して、宮川典子衆議院議員は、「職種を考える前に、自分がやりことを考えた方がいい。医者は人を助ける、弁護士は、強きをくじき弱気を助ける。妄想してみること」と、答えられたのが印象的でした。
宮川議員は、自民党の若手女性議員ですが、サッカーやマラソンの強い山梨学院高校で、数年前まで教員をされていたそうです。自分には教育現場は、向いていないと思っていたけど、大学を卒業する時の恩師の言葉で発奮して、一度教育現場を経験しようと先生になったのだそうです。三品さんはこの話を聞いて、「高校生はすぐ職種を考えてしまう傾向にある」ということに気づかされたそうです。
午後は、各テーマごと、その分野の関わる社会人(ロールモデル)の方を交え、グループディスカッション、そして発表と表彰でした。
◆テーマと先輩の女性社会人(ロールモデル)の方々
1.女性の発信・メディア
三重綾子 株式会社ジャパンタイムズ
白河桃子 少子化ジャーナリスト
2.世界の女性の権利(教育)
山形文 公益財団法人プランジャパン
柴千里 国際協力NGOジョイセフ
3.世界の女性の権利(結婚)
小野美智子 国際協力NGOジョイセフ
4.女性の防犯
斎藤明日香 セコム株式会社
堀越穂波 セコム株式会社
5.女子高校生が考える新しい家族法
池内ひろ美 一般社団法人女子力推進事業団代表理事
6.女性と国会
とかしきなおみ 衆議院議員
7.女性と子育て
漆 紫穂子 品川女子学院校長
林恵子 NPO法人ブリッジフォースマイル理事長
堀内詔子 衆議院議員
8.女性の雇用環境と起業
尾関春子 コカ・コーライーストジャパン株式会社 常務執行役員 総務本部長
鈴木真奈美 株式会社地球ファミリー代表取締役社長
9女性の健康と性教育
秋田美紀 慶應義塾大学環境情報学部准教授
10.女子高校生が考える震災復興
相川祐里奈 株式会社クロスパートナーズ
「女性と発信・メディア」をテーマにしたグループはテレビ番組の女性の描き方に差別があるとして、委員会を作ることを提案しました。テレビを見ながら女性の描き方などに問題があると思ったらつぶやけるtwitterを作って、拡散、同時に意見の集計もして、という案を作り、その場でアカウントを取ってしまうというスピーディな行動をしていました。
「女子高校生が考える新しい家族法」チームは、家族の在り方として「一夫多妻制」という、大胆な案を提唱。働く女性にとっては家事のシェアもできるし、また子育てなどの悩みも相談し合えるという理由によるものでした。
発表は、チーム毎に全員が壇上に。そして、協賛の複数のスポンサーから表彰も出され、スタバの無料券、富士急ハイランドの一日無料券が出ると聞いて、大きな歓声も上がっていました。
最優秀賞は、地域も企業も、そして女子高校生も、地域の子育てに関わろうという提案。この提案は、森まさこ女性活力・子育て支援担当大臣の前で、発表することにもなりました。
先輩社会人の方からのメッセージや励ましを受けて、いつもは話さないテーマを、ほとんどが初対面の女子高生同士で話し合った場。多くの刺激を受けた女子高校生も多かったようでした。
この企画は今後も発展させ、他の地域での開催も、考えているそうです。多くの女子高校生に伝ってみんなが参加できる企画に発展し、大きな波になっていくこと、楽しみですね。高1生ならば、次回はぜひ参加してみましょう!
「みらいぶ」では、この会議でどんな提言があったのか、どんなメッセージがあったのか、伝えていきます。ぜひ見てください!