(2014年3月取材)
(※学年は取材時)
ロールプレイングで防災をアクティブに学ぶ、みんなで学ぶ
その名も「シェアクティブ防災」
■どんな議論がありましたか?
真に防災を学び、役立てるためには、1人ではなく、皆で防災の知識をシェアしなければいけないし、防災を学ぶ術は教科書とか授業とかではなく、体だという結論になりました。アクティブに防災に取り組み、それをみんなでシェアするというプランで、「シェア・アクティブ防災」=「シェアクティブ防災」というネーミングです。
震災について考えるときには、まず、第1次災害、第2次災害、第3次災害に分けられると考えました。第1次は地震そのもの、第2次災害は津波や火災、第3次災害は避難所生活や復興のなかでの問題点。学校で避難訓練が行われていますが、それは第1次災害に対する訓練です。けれど、第2災害の訓練、第3災害の訓練があっても良いと思います。それぞれの災害に対しての訓練を考えてみました。
家族になりきってロールプレイング
■第2次災害の訓練とは?
被災時、お父さんが職場にいて、お母さんは家、子供は学校、とそれぞれ離れた場所にいて、それぞれ離れた避難所に行くと思いますが、その時慌てないように、家族の防災を見直そうと思いました。しかし、家で「防災やってみようぜ」とか言ってもお父さんに「面倒臭い」とか言われたら終わりです。だから、高校で、例えば6~7人で、「あなたはお父さん役」「あなたはお母さん役」というように、それぞれに役割と、職場にいる、家にいるなどの状況を振り、シミュレーションしてみる「家族のロールプレイング」を考えてみました。
避難所での役割を体験するロールプレイング
■第3次の訓練は?
これもロールプレイングですが、「避難所ロールプレイング」。鈴木先生に「クロスロードゲーム」というものを教えていただきました。これは、避難所で食料を配給するとき、がれきを処理するときなど、その時々の意思決定を学ぶというゲームからヒントをもらいました。今回のプランでは、全員が意思決定をするリーダーというわけではないので、いろいろな立場の人がいることを想定した「避難所ロールプレイング」を考えました。
例えば、7人のグループで、リーダー的なボジションから、子供・幼稚園児まで、訓練の目的に応じて、妊婦、老人のような社会的弱者などのポジションも設定し、それぞれに役割分担をします。そして、「ご飯が届きました」などと避難所の場面を設定して、それぞれの立場を演じて、議論をしてみるというものです。
こうしてプレイヤーが自分の「役」を演じることで、実際に災害に面した時に自分以外の立場も尊重した冷静な行動につながると思います。また、災害時にそれぞれの立場がどういう立ち振る舞いをすれば社会全体として災害の収束に向かえるのか考えることができます。
実施する前に、「ルール」として想定する状況を決めます。例えば、震災発生からどれぐらい経過しているか、各々のプレイヤーはどの場所にいてどのような状況にあるか、避難所の状況はどうなっているか(食料がどれくらい届いたか)などです。この設定を考えるときに、災害時に起こる問題についての一定の知識をプレイヤーたちが自発的に学ぶことができます。
実際にこのようなゲーム性のある訓練の手法を確立できれば、現在行われている避難訓練に比べて小規模で手軽ですので、もっと防災を身近に感じてもらえるかもしれません。
防災教育にはゲーム性を入れて面白く
■熟議や高校生団体の話を聞いたりして、考えは深まりましたか。
D.D for Japanの活動紹介の中で「行方不明者がいることを想定した避難訓練」というのが出てきて、そのようなバリエーションをつけてゲーム性を付与すれば「面白い」訓練になるだろうなと思いました。防災教育はどこに「面白い」を作るかがポイントであり、そのことを考えていかなければならないと思いました。
■今後、どんなアクションが考えられますか?
カードゲームのような防災を絡めたゲームの商品化なども考えられます。その前に、防災に関係ない、ゲームの開発に関わっている人に話を聞いてみたい気もします。
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