(2014年3月取材)
(※学年は取材時)
実家は瀬戸内海の島。地方暮らしを考えてみたい
■どうしてこのテーマを?
僕の実家は、瀬戸内海の島にあり、僕は高校からは島を出て親元を離れて暮らしています。田舎暮らしに憧れたことがある人も多いと思います。ですがそれは難しい。やはり地方は働きにくいからです。しかし現在、様々な形で地方でしかできないビジネスを立ち上げている人もいます。地方での暮らしをみんなで考えてみたいと思いました。
カジノやイベントで人は地方に来る?
■どんな議論をしましたか?
地域をどうすれば良くすることができるかということについて話し合いました。まず、「田舎の風情が大切だ、自然は壊して欲しくない、でも開発はして欲しい」という意見が出ました。奈良県に住む人は、奈良県の田舎は電車が10分に1本くらいで、大阪とは全然違うので「インフラを整えて欲しい」と。「町を盛り上げるために商店街を作って欲しい」という声もありました。
そんな中で、鈴木先生から頂いた資料に、他からお客さんを連れてきてお金を落としてもらうことが必要だと。お金がないと税収もないし、そうすると公共サービスもなくなってしまうと。さらに、アドバイスを頂いたのが、カジノを作ろうとしている自治体があるよということでした。
今回の場合、カジノは無理がある提案だと思ったのですが、カジノがある意味というのは、他の地域にないこと。その地域にしかないものを作れば、人が来て盛り上がる。そう考え、いくらか候補を出しました。
例えばインフラを整えるときに、メロディロードという音が鳴る道路を作ったり。マチ婚やプロジェクションマッピングといったイベントをやったり。また、農業を新たなスタイルでやることで、例えば法人化して自分でプランニングを行ったりすれば農協に持っていくより大きなお金を得る方法があるとか。新しいスタイルの学校、例えばリベラルアーツの学校を作るとか。別府や秋田にユニークな大学ができていて地域活性化に少し役立っているといいます。また、工場を立てるなどといった意見もありました。
地方に住む高校生が自分の地域の魅力を発信するメディアを作る
■どんなアクションプランに?
沖縄や北海道などといった“有名”な地方は多くの人に知られており、高校生を含め多くの人が観光で訪れます。高校生の卒業旅行の行先の多くはTDLやUSJだったりします。しかし、無名でも高校生が行ってみたいと思える地方はたくさんあります。例えば、僕の実家は瀬戸内海の島ですが、結構きれいで魅力的な場所ではあると思いますが、問題は、そういった地方の魅力を知る方法がないことです。
そこで、地方に住む高校生が自身の住む地域の素晴らしいところを紹介・発信する投稿サイトを作ります。地方の高校生がめっちゃおすすめの場所とかを撮ってそのサイトにどんどん投稿していくサイトです。そうしたアクションプランを「まるごと地域」とネーミングしました。
そのサイトを都市部や他地域に住む高校生が見ることで卒業旅行や旅の参考にできます。地域どうしの繋がりもできると思います。動画を使えばもっと見てくれると思います。また、例えば東北に恋人ツアーというのがあるのですが、地域の人が、自分たちで旅行をプランニングする方法もあります。
地方の魅力を再確認し、学びやビジネスにつなげたいと思った
■熟議を経て、考えは深まりましたか?
もちろん、深まりました。もともと住んでいた島のことは好きでしたが、毎年人口は減っている等の問題については考えないようにしていました。地方を盛り上げるとか、お金を生み出すといったことも考えていませんでした。
しかし今回、実際に“都会”に住む高校生と熟議することで、地方にも魅力があることや、現在抱える問題を解決する方法がアクションプラン以外にもたくさん生まれ、可能性を見出すことができました。特に、立命館アジア太平洋大学(大分県)に進学する人が、地方もいいところがいっぱいあると自分の進路選択とともに話してくれたのは印象的でした。
■鈴木先生の印象は?
見た目も考え方も自由な社会学者がいることに驚きました。ああいった独創性が地方も含め、社会を変えるんだなと思いました。
■追伸:大学生になった今
この春から地方大学に入学したので、地方である魅力を学びにつなげたいと考えるようになりました。このアクションプランをすぐに具現化するのは、スキル的にも難しいと考えています。ですが、大学生になった今、先輩たちとプログラミングや web 開発を学ぶ勉強会を立ち上げました。特に実践的な内容をデザインやマーケティングとともに学び、地方の中小企業等から受注を受けるような集団を数年以内に目指しています。
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