(2013年10月取材)
学校の文化系部活は、校内の活動が中心です。でも、活動の場や、発信の場が少なくて、物足りなく感じている人もいるんじゃないかな。もっとたくさんの人に伝えたい、知ってもらいたいって人、注目です。
HOT JAPAN Projectは、“HOTな日本”を発信すべく、様々な文化系の「部」を作って、活動している高校生だけのプロジェクト。所属メンバーは、北海道から沖縄までの全国の高校生約200人。
代表の鎌田将晴くん(立教高校3年)に、HOT JAPAN Projectって何なのか聞きました。
「グローバル」とか、「日本は元気がない」とか言われていますが、そもそも日本について僕らは知らない。だから、日本をまず好きになることで、より今に幸せ・誇りを感じて、そうすることで日本を盛り上げていきたいんです。
大人がやると愛国心とかにつながるけれど、それを高校生の目線だけでやるから、例えば自分の住む地域の、文化や習慣、風土などの良さを純粋に出せるんです。ここでは、同じ興味を持ったメンバー同士で、地域を超えた「部」を作り、SNSやスカイプでのテレビ会議、リアルなミーティングなんかで話し合って、調査した内容を、ネットやイベントを通じて「またまだアツい日本」を国内外に発信するんです。
たとえば、高校の部活の茶道部は、茶道の技術に関心があります。でも僕らの関心は、発信。ブログ、Facebook、twitterなどSNSで、日本中に発信し、つなげていきます。Facebookの「いいね」も、1000を超えました。
2014年3月には、総まとめの「Jふぇす」というビッグイベントを行います。そこでは、各「部活」のワークショップのほかに、振袖のファッションショーや箏と洋楽器のコラボ、地元愛コンテストなど、HOTな企画が盛りだくさんです。ぜひ参加してください!
HOT JAPAN Project
★HP
★facebook
https://www.facebook.com/HOTJAPAN.project
★代表の鎌田将晴くんの動画もあります!
https://www.youtube.com/watch?v=cIFzIpgOSdc
本日(10月27日)は、この「Jふぇす」のプレイベントになる「HOT JAPAN Party」にお邪魔しました。
東京・青山に首都圏の高校生を中心に約50人が集まり、書道家の吉野旦さんの講演を聞いたあと、「日本の文化をもっと盛り上げるには??」というテーマのもと、各「部」でディスカッションを行いました。
まずは、本日のHOT JAPAN Party 実行委員長の西山柾克(まさかつ)君(早稲田大学高等学院3年生)にインタビュー
*西山君がHOT JAPAN Projectに参加したきっかけはどんなことですか。
西山: 友達に誘われて、2012年のプレイベントから参加しています。日本人のバックグラウンドを、誇りを持って表現することを、若いうちからやっていきたい、ということに共感しました。
*HOT JAPAN Projectが学校の部活と違うのはどんなところだと思いますか。
西山: 仲間内だけで満足するのではなくて、全国の仲間にSNSで発信していることです。「部活」も、自分達が興味のあること・やりたいことを発信して仲間を募っています。学校ではこういう活動のしかたはできないし、日本文化そのものに目を向ける機会もありません。私立高校など、大学進学に余裕のあるところなら、もう少しこういうものにも目を向けてもいいと思います。
*これからの活動予定を教えてください。
西山: 3月30日に「Jふぇす」を行います。全国のメンバーが初めて顔を合わせて、イベントの運営をするのです。その前に、着物を着てゲリラ的なパレードをどこかでやる予定です。コレは去年は池袋でやりました。20人近いメンバーが着物で歩いたら目立つし、ツイッターなんかで拡散してくれる人もいるので、すごくいいPRになると思います。また、HOT JAPAN Techといって、日本の技術力はスゴイ!ということを話してもらうために、町工場とか中小企業の人に来てもらって話を聞くイベントも計画しています。
*おもしろそうなイベントが盛りだくさんですね。運営、がんばってください。
⇒当日の様子はこちらからもわかります
http://hotjapanproject-blog.tumblr.com/post/65964330859/hot-japan-party
書道家の吉野さんの講演も踏まえて、まずは、日本の文化をどのように発信していったらよいかを話し合いました。その後、各部の議題に沿って話し合いました。
[各部の議題 ]
1.方言部「見過ごされている方言」
2.和服部「新しい和服を考えよう」
3.風流部「現代人にとっての風流とは」
4.和食部「和食をもっと食べてもらうには」
5.茶道部「若者に茶道を広めるには」
6.サブカル部「サブカルを広めるには」
7.和楽器部「若者から見た日本音楽」
8.写真部「写真とSNS」
【部活インタビュー】
*1 : 日本の文化をどのように発信していったらよいと思いますか
*2 : 自分達の部活のテーマについて、これからどのようにすればもっと広がっていくと思いますか
*1:日本文化は、日本人の「まじめ」とか「きちょうめん」とかいう特性からできている部分が大きいと思います。学校でも日本文化を考える授業をもっと作り、ネットで発信していけたらいいと思います!
*2 :方言は、聞いていると、何となく温かさを感じます。萌えるというか、うつってしまう…。ドラマやアニメのキャラクターとか、地方出身の友人とかが使っているのを聞くといいなあ、と思います。でも、お年寄りとコミュニケーションを取らなかったり、就職の時は標準語でないと不利だと言われて標準語を使うようになってしまったり、という側面もあります。方言は日本の大事な文化だと思うので、これからは、例えば映画の字幕で方言を使うとかSNSで方言の良さを発信するとか、「方言ってかっこいい」と思わせる仕掛けを作りたいと思います。
*1: 日本文化とは、日本人が美しいと思うもの、いわばidentityだと思います。日本文化に触れる機会をもっと増やすべきでしょう。いいな、と思うともっと知りたくなり、日本文化がもっと浸透すると思います。
*2:和服が浸透しない3つのデメリットを考えて、それに対して対策を考えてみました。
・着る機会がない→→着物を着ている人は割引、という特典をたくさん出す。着物デーを作る。
・着方がわからない→→着物の形を変えず、着にくいところを簡単にする。帯を留め金にするとか、あわせをスナップ留めにするとか。
・着たいと思わない→→かわいいデザインにする。
*1:日本文化には、味噌汁のように身近で気軽なものと、和服のようなちょっと遠い存在のものがありますが、ちょっと遠いものでも、楽しさや特別感があると、興味が深まると思います。だから、学校で茶道体験をしたり、ゆかたパーティーがあったりすると、楽しいと思って、興味を持ってもらえると思います。
*2:風流には、「目に見えるもの(富士山など)」「目に見えないもの」「中間(川の音、温泉のにおい、風鈴など)」「色(茶色、紫、山吹など着物の色)」などがあります。みんな自然と調和し、歴史を感じさせ、日本人の心のよりどころとなっているものであることが特徴。現代文化の調和をはかりつつ、取り入れていくことにより、もっと広がると思います。
*1:日本文化は、若者が知らない・興味がないことが多い。だから、若者がよく見るドラマで、日本文化がイケていることを取り上げるのが手だと思います。また、学校で日本文化に触れることが少ないので、学校の授業やワークショップなどで取り上げてもいいと思います。日本文化は堅苦しいというイメージもあるが、堅苦しい⇒謙虚 など、ポジティブな言い換えをして伝えるといいかも。
*2:和食をもっとたくさんの人に食べてもらうには、寿司や天ぷらなど海外でメジャーなメニューでなく、肉じゃがのような手軽な家庭料理を紹介するといいと思います。和食のメリットは、栄養バランスの良さ、季節や行事と結びついていること。入りやすい和食レストランや、和食の給食のメニューをもっと増やしていくとよいと思います。
*1・2:若者に茶道を広めるには、和を伝える「和道」を作り、その中に茶道を取り入れるとよいと思います。堅苦しい、手順が面倒だというイメージがあるので、「3分でわかる茶道」のような動画のついた茶道セットを本屋で売るというのは、どうでしょう。また、『少年ジャンプ』で表千家vs裏千家のような能力バトルのコミックを載せる、ツイッターでひたすら流す、学校で茶道をやるなど、親しみを持たせる工夫を、どんどん実行してほしいし、自分たちでもやっていきたいです。
*1:学校行事で、自分で関わった日本文化で単位が取れるようになるといいですね。日本文化を身に付けることで、個性を発揮できるようにするとよいと思います。
*2:オタクのイメージ=キモオタはよくない、と思われています。オタク文化のコンテンツは、認知度はあるがマスコミに取り上げられる時のイメージがよくありません。例えば、事件の容疑者がアニメ好きというだけで悪いイメージを持たれます。動物好き、というのと何も変わりはないのに。。。悪いイメージを払拭するためには、日常の当たり前の場面にサブカルを登場させ、食わず嫌いのハードルを下げたいです。例えば、お茶のおまけにフィギュアをつける、イケメンアニメオタクの雑誌を出したり、トレインチャンネルで流す、など。
*1:日本文化で今いちばん目立っているのはアニメだと思います。日本を知ってもらうために、世界のいろいろな国の文化を調べて、その中で日本がどう見られているかをまとめ、外国人向けのイベントや日本文化のまとめサイトを作りたいですね。できればオリンピックまでに整理したい。だれでもすぐ参加できるように、SNSを活用するのがよいと思います。
*2:和楽器(和の音楽)として残っているのは、三味線の吉田兄弟、久石譲の音楽、演歌など。音階が特徴的で、シブいというイメージがあります。HOT JAPANの中で、和楽器の良さを伝えるイベントがやりたいですね。
*1:日本文化は、習い事レベルで終わっていて、普及するに至っていないと思います。その理由は、どうしても日本文化でなければ、というニーズがないから。楽しいことでなければ、わざわざ日本(文化)でなくてもいい、ということになってしまいます。これは、発信不足も原因で、SNSをもっとうまく使って、日本文化の良さを発信していくべきだと思います。
*2:写真とSNSの関係で言えば、写真の影響力は大きく、バカッターのように悪い使い方をされることもあります。SNSも不特定多数の人に見られるということを理解していないのです。SNSの使い方をちゃんと知っている大人がいないことも原因。しかし、SNSでの告知では、写真のインパクトは大きく、写真はSNSの重要なツール。写真があればこそのSNSです。きちっとした使い方も同時に発信できればと思います。