前田智大くんのMIT便り ~世界のトップ大学ってどんなとこ?


第4回 アメリカの大学の試験事情~落とされる人が多いって本当?  

前田智大くん (Electric Engineering & Computer Science 2年) 

(2016年1月掲載)

成績は期末テストだけでは決まらない

 

こんにちは。期末テスト(Final)も終わり、冬休みが始まりました。今回は、期末テストや宿題など、成績に関係することについて詳しく紹介します。

 

授業によって成績の付け方はそれぞれです。僕の感覚では、授業は、理論や課題ベースの授業とプロジェクトベースの授業では、それぞれ成績の付け方が異なります。成績はA・B・C・D・E・Fとなっていて、EとFは単位を落とすのと同じことになります。

 

総合成績(GPA:※)は5段階評価で、

[Aの数×5]+[Bの数×4]+[Cの数×3]+[Dの数×2]を受講した授業数で割ったものです。一言で言えば、5段階評価で、5がA、4がB …といった感じです。正式な平均GPAは発表されていませんが、2008年版のMITの新聞「Tech」には、2年生の平均GPAは4.2と書かれています。

 

※Grade Point Average。各科目の成績から特定の方式によって算出された学生の成績評価。「各科目の(単位数×ポイント)の合計÷総単位数(履修登録単位の総数)」で計算する[Wikipediaより編集]。

 

課題ベースの授業では、宿題とテストの成績がメインで、評価の内訳は、例えば宿題が15%、2つの中間試験がそれぞれ20%ずつ、期末試験が45%といった感じです。普通は中間試験が2つもしくは3つあります。Aのラインはクラスによってそれぞれで、簡単なクラスでは、宿題、テストなどのいろいろなスコアを合計し、全部のスコアの90パーセント以上でAということもある一方、難しいクラスではその学期に授業を取った生徒の中での相対的成績でAが決められます。

 

一方プロジェクトベースの授業では、プロジェクト自体やプレゼンの出来を、先生が見て評価するという形式になっています。クラスによっては出来たものを提出するだけのクラスもあれば、学期の最後にプレゼンしたり、ちょっとした論文にまとめたりと、形式は様々です。プロジェクトベースの授業は、感覚的には頑張るべきところでしっかり時間をかけて頑張ればAを取れます。

 

一方、宿題とテストがメインの授業では、テストでしくじるとAを取るのが難しいので、プロジェクトほど時間がかからない一方、試験勉強のストレスは高いです。

 

ちなみに世間では、MITでAを取るのはかなり難しいとされており、プリンストン大学の学生が、新聞に下のような絵を描いたほどです。

 

※The Daily Princeton

By Rita Fang, November 18, 2013 より

http://dailyprincetonian.com/opinion/2013/11/cartoon-grades-at-colleges/

 

「cartoon」とは、風刺漫画のこと

 

 

空からピアノが降ってくる?!

 

ではDやEのような悪い成績を取ってしまうとどうなるかというと、E以下の成績では単位がもらえないので、その授業はもう一度取らなければなりません。ただ、学期の半ばの、ちょうど2つ目の中間試験が終わる頃に、「Drop Day」といって、授業を落とす締め切りの日があります。成績がかなり悪そう、あるいは授業についていけない人は、この日に自分で授業を落とします(オンラインで、「落とします」というフォームを送るだけでだいじょうぶです)。

 

MIT Techから引用
MIT Techから引用

授業を落とすと、その授業を取り直さないといけませんが、成績表に落としたことは残りません。そのため、ほとんどの人はD以下の成績は取りません。ちなみにDrop Dayには、一つの寮の屋上から壊れたピアノを落とす(Dropする)という伝統があります。

 

では、卒業するのはどうなのかというと、MITは6年以内に卒業する人の割合が93%です。ほかにしたいことが見つかったから辞める人もいるので、卒業するのが特に難しいというわけではありません(と言っても、それなりにハードであることには変わりありませんが)。

 

よく言われている「アメリカの大学は入るのが簡単で、卒業するのが難しい」というのは、おそらくヨーロッパやカナダの幾つかの大学が、入学時に多くの人を受け入れて、1年生の段階でかなりの割合の生徒を落とすという話が、曲がり曲がって伝わった話だと思います。

 

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