グローバル・キャンパスツアー

イギリス有数の名門校。留学生が7割も

キャニー・シャミールさん キングス・カレッジ・ロンドン大学 (Kings College London University) ビジネススクール ビジネスマネジメント (Business Management BSc)

(2018年11月掲載)

海外の大学ってこんなところ

■大学について簡単に紹介してください。

 

キングス・カレッジ・ロンドン大学は1892年に設立されたイギリス有数の名門校です。ロンドンの中心に5つのキャンパスを持つ国立大学で、ロンドンのカレッジの中でも最大規模の大学です。世界150カ国以上の国から、30000人以上の学生が集まっています。有名な卒業生の中には、フローレンス・ナイチンゲールやジョン・キーツなどがいます。

 

大学公式サイト(英語)

 

■現在の時間割、宿題の量や種類、自習のしかたや自習する場所は?

 

私の大学では1学期間で取る授業数は日本やアメリカの大学に比べて少なく、4科目〜6科目(30〜36単位)ほどです。各科目においてレクチャー(大人数の講義)とチュートリアル(少人数制の授業)に分かれていて、私の場合、1週間でレクチャー(合計8時間)+ セミナー(合計4時間) + その他(2時間)ほどの授業を取っています。私の学部では、他の学部に比べて論文の提出が少ない分、課題やグループワークが多いため、よくコースメイトと授業後に集まって勉強しています。宿題以外にも予習は欠かせず、各授業につき、毎週多くのリーディング資料を配布されるため、学生寮の自習室を利用しながら勉強しています。大学のキャンパスがロンドン市内に位置していることもあり、大学付近のカフェ、公園や図書館などの公共施設施設で自習している学生を多く見かけます。たまに、休日で日光浴したい日は公園でピクニックしながら友達と勉強したりしています。

 

■どんな学生がいるの?

 

私の学部では7割近くの学生が留学生で、ヨーロッパ、アジア、南北アメリカ出身など、様々な所から学生が集まっています。経歴も様々で、高校卒業後に大学に直接入った生徒、私のように入学前に大学付属の予科(Foundation course)を1年受講して入学する人もいます。友達の中には、日本生まれ、中学2年からドイツの学校に転入し高校卒業後に直接大学に入学したように、予科を受講せずに大学に入学する留学生も多くいます。

 

■校内のカフェテリアや校外で行きつけのレストランは?

 

大学ではキャンパスごとに食堂があり、メニューもそれぞれ違って、平日は学生が多く集まり基本混雑しています。今年、新しくオープンした The Valut(生徒用のバー / イギリスでは18歳以降からお酒が飲めます)が食堂横に設置され、昼間から多くの生徒が集っており、友達と集まってミーティングや溜まり場として使っている学生を多く見かけます。大学付近には、カフェやレストランがたくさんあり、世界各国の様々な料理を味わうことができます。個人的に中東系の料理が大好きなので、よくアラブやインドレストランに行っては、毎度のようにフムスやビリヤニを美味しく味わっています。

 

昼食は授業の合間にあるため、Café NeroやPret A Mangerなどのカフェでパッと済ますことが多いですが、晴れの日は昼食を持ち出すか、屋台でケバブやパッタイを買って、公園やテムズ川沿いのベンチに座りながら食事しています。イギリスはほんとに曇りの日が多いので、晴れの日はできるだけ日光浴できるように外で食事することが多いです。

 

■寮生活を教えて!

 

大学が市内中心部にあることもあって、大学とは少し離れた所に寮があります。私はロンドンブリッジ駅から徒歩2分ほどの所にある、築40年の学生寮に住んでいます。アメリカの多くの大学とは違い、イギリスの学生寮は基本1人部屋が多いです。私の場合も1人部屋でキッチンとシャワールームが共同の部屋に住んでいます。友達の中には、キッチンもシャワールームも全て付いているスタジオ部屋に1人ですごく快適に住んでいる人もいましたね。

 

寮の大半は1人部屋のため、同じ部屋を共同に過ごすルームメイトはいませんが、同じ階に住むフラットメイトと部屋以外の施設を共有しています。私のフラットメイトの半数以上が留学生で、また学年も二年生や三年生、修士や博士号と全く異なっていて、普段会えない人たちと一緒に過ごせて、新鮮な毎日を送っています。キッチンを共有するため、よくフラットメイトと一緒に料理を作ったり、週末には自国の料理をそれぞれ振舞ったりしました。

 

また、多くの寮にはcommon room(寮生が自由に使える部屋)があり、私の寮にはビリヤード台やシネマテレビがあり、月に2/3回はそこでパーティーを開いてフラットメイト以外の寮生とゲームや映画鑑賞をしています。室内の時間をフラットメイトと過ごすことが多かったため、今ではすっかり家族同然で、短期休みにはフラットメイトの実家に遊びに行っています(今年はフランスのニースに行く予定)。 

 

■学校の名所やお気に入りの場所は?

 

大学のキャンパスの一つの一角にサマセットハウスという、宮殿のような美しい建物があります。クリスマスの時期になると、中庭がスケートリングに変わるので、去年は授業が終わってすぐに友達と滑りに行っていました。ライトアップされた綺麗な建物の中心で滑れて、凄く気持ちよかったことを覚えています。また、建物内の一部には美術館があり、ゴッホやモネなどの名画が観賞でき、とても素敵な場所だと思います。

 

■休日はどのように過ごしてる?

 

課題に追われる時もありますが、散歩が好きなので、ロンドン市内を回りながら、テムズ川沿いを歩き(冬の時以外)、市内の講演でゆったりし、たまに本を読みながら昼寝するなどと自由に過ごしています。市内の大英博物館やナショナル・ギャラリーなどの100以上の博物館や美術館の入館料は無料なので、休日を使って訪れることが多いです。2週間に一度は大学の日本人のコミュニティーと集まってフットサルを行うことや、友達と映画館やパブなどによく行きます。また、アートが育つ街と呼ばれることもあり、市内のいたるところにアートの展示があるのはもちろん、有名な演劇やミュージカルも毎晩上映されています。特に、「ライオンキング」の劇場が大学から徒歩5分のところにあり、何度も見に行っては、たくさんのエネルギーをもらっています。

 

基本、毎日たくさんのイベントが開催されているので、よく学校帰りや休日に参加しています。先週は、現役のコンサルタントと企業の抱える問題に対して一緒に取り組む学校主催のイベントに参加し、今週は興味本位で参加した演劇業界の講演会に、テムズ川を巡るボートパーティーと、できるだけ色んなイベントに積極的参加して、楽しんでいます。

 

大学では

■どんな分野の学問に興味がある?

 

イギリスでは他の国とは違い、1年生から専攻したい学問を専門的に学び、3年後には卒業します(一部4年制以上の学部もあります)。そのため、3年生以降に分野の専攻を行うことはなく、1年生から学びたい専攻の元、好きな授業をとります。私の場合、ビジネス・マネジメント学部の1年生に属しているため、今学期の授業は四つ(経済学・経理・社会科学と現代ビジネス・行動組織学)、全て専攻範囲内の授業を取っています。もちろん、専攻範囲外の授業を取ることは可能で、友達の中には外国語や歴史の授業を受けている者もいます。ビジネスを専攻している理由はいくつかありますが、大学卒業後は教育の分野で、先生としてではなくではなく、経営者の側面から携わりたいなと思っているため、大学で専門的にビジネスを学びたいと思いました。

 

大学の授業を紹介! 面白いと思った授業はこれだ

■行動組織学(一年間(9月下旬〜翌年の6月上旬まで))

 

授業構成は週にレクチャー(大人数の講義)2時間+チュートリアル(少人数制の授業)1時間あります。

 

行動組織学は個人や団体が組織内でどのように機能し、どのように相互に作用し合うのか研究し学ぶ学問です。心理学や社会科学の観点から、過去から現代までの組織形態について、また就業者の価値・態度・文化・行動など、効果的な経営について学びます。

 

過去に何度かいくつかの組織でマネジャー(管理職)を担当したことがあり、とても苦い経験をしました。その時に、どんなプロジェクトやビジネスにも組織形成の大切さを痛感し、それ以降どのようにしたら人材を効果的に生かせるのか、組織文化の形成について興味を持ったため、この授業を受講しています。講義が始まってまだ数回の授業しか受講していませんが、すでにたくさんのことを学ぶことができています。最近では、特定の職業について考察し、どのようにモチベーションを向上することができるのかグループワークが渡され、私のグループでは刑務所職員のモチベーション向上、より効率の良い職場環境について調べています。なかなか面白いです。

 

進路について話そう

■海外の大学で学ぶことを決めるきっかけ

 

初めて海外の大学に目を向けるようになったきっかけは、中学1年生の時に学校の先生に海外進学を勧められたことです。中学1年生の初めての授業を終えた放課後に、学校の英語科の先生に呼ばれて「お前は〜大学に行くんや!」って言われたことです(笑)。まだ、名前も知らない先生に、学校初日に海外の大学を勧められ、不信感を抱きながらもどこかウキウキした気持ちが芽生えたのを覚えています。それ以降、高校3年生の夏まで、自分の進路選択について全く考えなかったものの、海外の大学の憧れはいつも頭の隅にあったと思います。

 

■進路を決めるに当たって、あなたがとった行動

 

私の場合、日本の大学と併願をし、海外の大学の受験対策は高校3年生の冬(Personal statementのみ、英語の資格試験は高校2年生より)から初めました。受験そのもの以外にも、キャンパスライフや生活事情、授業内容についてより詳しく知るために、留学説明会などのイベントに参加することもあれば、自分が志望した大学の先生や在籍している生徒(私の場合は高校の先輩)とたくさん話しました。

 

■進路や大学を決める際に、大事だと思うこと

  

進路について悩む中で、最後の決め手になるモノサシは人それぞれだと思います。大学の環境(施設設備・ロケーション)が一番の決め手になる人もいれば、留学費用や奨学金制度などのお金に関することを重視する人もいます。また、複数の基準を持つ人もいると思います。その際に大事なのは、焦らずに自分と真剣に向き合うことだと思います。

 

大学卒業後の将来像や自分が興味あることについてたくさん考え、行動してみて、色んな選択肢の中で自分が進みたい進路を選んでください。もちろん、「時間をかけて考えてみたけど、結局進路がわからん!」って思う人もいるかもしれませんが、大切なのはどれだけ自分と向き合うかだと思います。「自分の選択は間違ってない」って思えるためにも、様々な可能性を考え、アクティブになりながら、進路選択をした方がいいと思います。自分のことばかり考えるのは少しわがままなように感じるかもしれませんが、それでいいんです。

 

高校時代に読んでおきたい本

『Factfulness : Ten reasons why we’re wrong』

Hans Rosling (Flatiron Books)

この本はイギリスに留学してから読んだ本ですが、高校生の時に読んでおけば良かったなぁと思っています。著者はTED talkの講演でも有名なスウェーデンの学者で、人口増加や資源、貧困といった社会問題を、国際機関からの統計をアニメーションや図解で表すことでわかりやすく伝えています。この本でも、貧困をテーマに、私たちが想像する世の中と世界の実態の差について検証しています。また、「人間は世の中をネガティブに捉えてしまう本能的なバイアスがある」という仮説の元、それがどのような本能なのか、認知科学的なアプローチから解説していて、読んでいて面白かったです。読みやすいのはもちろん、様々な情報に対して疑いを持たずに学んでいた高校生の頃の自分にはピッタリな本だと思いました。

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■こちらもおススメ

『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』

佐藤航陽(幻冬舎)

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 『Capitalism: A very Short Introduction』

Fulcher, James(Oxford Univ Pr)

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http://ryu-fellow.org

 


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