第86回情報処理学会全国大会 第6回中高生情報学研究コンテスト
群馬県立高崎高校
チーム名:招き猫
吉ノ薗 陽向くん(1年)
(2024年3月取材)
現在、認知症患者数は増加しており、中でも高齢者の一人暮らしによる認知症発見の遅れは重要な問題であると言えます。また、認知症は明確な治療法はありませんが、早期発見ができることで病状の進行の抑制や、身の回りの人々と今後について話し合う時間を与えてくれます。
しかし、病院での検査は移動や費用などの面から日常的に受けることが困難です。
そこで、家に設置し、また検査も5分以内に完了し、会話形式で検査することのできる置物型の製品を開発しました。
本製品は、日常的に対象者と会話をかわし、またその中で見当識など認知症検査に使われる方法を簡易的に行う、そして異常があった際にはもともと登録していた連絡先に連絡がいく、という仕組みです。
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■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。
遠方に住む祖父の晩年、あまり交流することのないまま認知症で亡くしてしまったことをきっかけとして、離れた場所でも認知症を検査・予防することができる製品を開発しようと思いました。
■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。
およそ3か月です(入部してから夏休み直前まで)。
■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。
プログラミングも一から始めたので、顔や音声を正しく認識し、検査を行わせることは、勝手がわからず特に苦労しました。また、質問に対する回答から、欲しい部分のみを抽出させることにも苦労しました。
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。
検査する時間を指定できるようにして、また他の人へ連絡を送信する条件で使うポイントを、質問の正誤判定による加算だけでなく、一定時間回答しなかったり、検査する時間に検査が行われなかったりしても加算されるようにしました。
誤作動を防ぐため、検査する時間に顔を認識しても、一定時間認識されないと検査が始まらないようにしました。さらに、「昨日は何を食べたか」といった自身の記憶を思い起こさせる質問も行うことで、認知症の予防も実現させました。
■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。
まったく関係が無いのですが、最近は光に関する研究に興味を持っているので、本製品のブラッシュアップもしつつ、研究を行いたいです。
※招き猫チームの発表は中高生研究賞奨励賞を受賞しました。