第85回情報処理学会全国大会 第5回中高生情報学研究コンテスト
チーム名:Shotaro's factory
愛知県立刈谷高校
平野正太郎くん(2年)
(2023年3月取材)
私たちが普段勉強をするとき、教科書にマーカーを引いて赤シートを用いて穴埋め問題を作成することがある。
しかし覚えるべき箇所が多くなると、多くの空欄が生じて問題が成立しなくなる。
例えば「三国同盟はドイツ、イタリア、オーストリアである」という文で、「( )は( )、( )、( )である」となってしまい問題が成立しない。
そこで、教科書の文章を検出し、要所を空欄にして問題として構成するソフトウェアを開発した。
具体的には、まず教科書をスマートフォン及びタブレット端末で撮影すると、文章をテキストデータとして読み取る。
次に文章を単語に区切り、周辺単語との関連度を調べる。
関連度が高い単語は、文章においてキーワードになっている可能性が高いので、要所としてリストに追加する。
問題を作成する際は、要所リストからランダムに空欄を作成する。
取り組む度に空欄がランダムに変化するので、問題を変えながら繰り返し学習することができる。
※クリックすると拡大します。
■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。
テスト勉強の際に、教科書にマーカーを引いて赤シートで隠して穴埋め問題を作ることがあります。覚えたい場所が多くなってくると、例えば「三国同盟はドイツ、イタリア、オーストリアである」という文で「〇〇は〇〇、〇〇、〇〇である」のように必要以上に隠れてしまって、問題が解けなくなってしまいます。
そこで、マーカー位置が変化するといいなと思い、スキャンした文字列を使って、赤シートでやるような穴埋め問題の作成をアプリ上で行うアイデアを思いつきました。
■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。
アイデアは3年ほど前からありましたが、実際に作業に取り掛かったのは昨年12月で、3か月くらいで作りました。
■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。
データの管理をするために、初めてデータベースの設計を行って、CRUDに基づくWebアプリの設計をしました。データをどのような形式で管理するか、階層構造をどうするか、などを考える点で苦労しました。
また、文字をスキャンするためにAzureのサービスを使ったのですが、文字認識の精度を上手く高められず、苦労しました。最終的にはルビなどの小さな文字を文字サイズでフィルタリングして、誤字脱字等はユーザーが追加修正できるようにしました。
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。
問題となる文から穴埋め箇所となるキーワードを抽出する際、問題作成時は自動で抽出され、ユーザーが追加・削除・修正することができるようにしました。
穴埋め問題を解く際には、隠れているところをクリックすると正解が表示され、○×が選択できるようにしました。問題を完了すると、正解したものはキーワードの表示が変わり、進行度が変化します。
問題文、キーワードそれぞれについてデータベースで管理して、ユーザーは各問題についてキーワード一覧・進行度が見られるようにしました。
■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。
まずは今回作った「Red Sheet!」を改良して、より手軽に勉強に活用できるようにしたいです。
今はPCにしか対応していないので、スマホに対応してその場で撮った写真を使えるようにしようと思っています。
また、言語の成り立ちなどに興味があるので、自分で作ったオリジナルの言語を使って、コミュニケーションできるアプリを開発して、言語がどのように浸透していくのかを研究したいです。
人工知能や脳科学にも興味があるので、それらについての研究もしてみたいです。
※平野くんの発表は、中高生研究賞優秀賞賞を受賞しました。