第85回情報処理学会全国大会 第5回中高生情報学研究コンテスト
チーム名:チーム等比ドミノ
群馬県立高崎高等学校
小山田篤司くん(2年)、石川礼人くん(2年)、富田耀大くん(2年)
(2023年3月取材)
普通、ドミノは永遠に倒れ続ける。しかし、徐々に大きくなるドミノはどうだろうか。徐々に大きくなるドミノが倒れるのを見ると、速さがだんだん遅くなっていく様子が見られると思う。
ならば、どこかのタイミングで止まるのではないだろうか。もし止まるのならばそれは何個目だろうか。実際にドミノを倒してみようと思っても、現実世界では立てられるドミノの大きさにに限界がある。
そこでunityの物理エンジンを用いて徐々に大きくなっていくドミノを倒すシミュレーションを行うことにした。
ドミノの増加率、空気抵抗、摩擦力などのパラメータを考慮、変更し、どの条件でどのように倒れるのかを調べる。特にドミノが倒れ始めてから次のドミノに接触するまでの平均の速さに注目し考察する。
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■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。
YouTubeで徐々に大きくなっていくドミノの動画を視聴したことがきっかけです。
等比ドミノは、後ろの方のドミノになればなるほど、倒れ始めてから次のドミノに当たるまでの時間は長くなります。
しかし、その分間隔も等比でどんどん大きくなっていくので、ドミノの転倒波が伝わる速さは遅くなっているように見えても実際には早くなっているのではないかと考えました。
他にも、そもそも等比ドミノは本当に倒れ続けるのか、地面との摩擦の大きさを変えてみたらどうなるのかなど、様々な疑問が湧き出てきたのでこの研究テーマを選びました。
■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。
半年間です。時間で言えば60時間くらいだと思います。
■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。
ドミノの倒れる速度を計算で求めるためには大学物理が必要なため予習するのに苦労しました。
そして何よりも、どのメンバーも人生で初めてのパソコンでの本格的な作業だったので、初歩的なミスが頻発し、思うようなテンポで進められなかったことです。
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。
等比ドミノの速度変化を調べるのに当たって、3つの方法を試したのが一番の工夫ポイントです。
まず1つ目は物理シミュレーションです。unityに内蔵されている物理エンジンを用いて等比ドミノを作成しました。次のドミノに当たったらその時のシミュレーションを開始してからの時間を表示するようなプログラムを組んで正しく速度を出せるようにしました。
2つ目は現実でのドミノ倒しです。3Dプリンターを用いて等比ドミノを作成しました。倒れているところをスマホのカメラのスロー機能で撮影し、それをコマ送りにすることで次のドミノに当たるまでの秒数を把握しました。
3つ目は物理計算です。スプレッドシートを利用して計算を行いました。
■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。
等比ドミノが早くなるということしかわかっておらず、上記の3つの方法において現状条件を揃えることができていないため、そこを修正すること。そしてどのパラメーターを変えればどのように速度が変化するかなどを調べたいと思っています。(小山田篤司くん)
今回の研究で回転運動の基本原理やパラメータを設定して情報処理する方法を学ぶことができたので、プロペラなど他の回転運動の解析などにもチャレンジしてみたいです。
(冨田耀大くん)
今回の実験を通じて等比ドミノが加速していることがわかったので他にも見た目とは異なり加速しているものを探す実験をしてみたいです。(石川礼人くん)
※チーム等比ドミノの発表は、第5回中高生情報学研究コンテストで入選を果たしました。