第84回情報処理学会全国大会 第4回中高生情報学研究コンテスト

安全・安心な避難行動を実現する3D避難訓練アプリケーションを作った!

チーム名:秋田高校 理数科 数学情報班

泉 侑希さん、小野颯太くん、佐藤叶夢くん、信太朝陽くん(秋田県立秋田高校 2年) 

(2022年3月取材)

秋田高校の3Dモデルの制作と避難訓練への応用

 

新型コロナウイルス感染予防のために、本校では今年度春に計画されていた避難訓練が秋に延期された。また、普段の避難訓練でも教室からの避難経路しか確認できない。そこで本研究では複数の避難経路を実感を持って確認できる3D避難訓練アプリケーションの開発、様々な場所からの避難訓練の実現を目標にした。またそれに伴い、現在の避難経路が最適かどうか判断し、アプリケーションに応用するために避難行動シミュレーションを行った。

 

現在の避難経路ではある一つの通路に時間がかかっていたため、その通路の人を分散させると、避難完了するステップ数が7%減少した。また、作成したアプリケーションは、スタートからゴールまで避難経路に沿って移動するだけだった。リアリティを出すために避難行動シミュレーションを参考にNPCを追加し、災害の種類、時間帯の選択肢を増やす等を行っていきたい。

 

※クリックすると拡大します。

 

■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。

 

もともと情報分野について研究することは決まっていましたが、テーマ設定の段階でかなり時間がかかってしまいました。そのなかで、秋田高校では、昨年度新型コロナウイルス感染症拡大により避難訓練が行えなかったという現状に気づき、その問題を解決するために情報分野と結び付けた研究ができないかと考え、今回のテーマを設定しました。

 

実際、教室に掲示されていた避難経路は古いものであり、現在の教室の割り当てと異なっていました。当時の避難経路を現在の教室割り当てでそのまま適用すると、避難者の集中する経路があると予想されたため、現在の割り当てだとどのように避難経路を割り振るのが最適なのかを研究することにしました。

 

また、避難訓練を行えなくても、各々が避難経路を確認できるようにすれば、生徒たちの避難意識の向上につながったり、ホームルーム教室以外からの、避難経路を知ることができたりするのではないかと考えて、web上で避難経路を確認できるシミュレーションアプリを制作することにしました。より実感を持って体験してほしかったので3Dモデルシミュレーションアプリにしました。

 

 

■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。

 

1年です。具体的な流れとしては、4月にテーマを決定し、そこから3か月間くらいはUnity について調べたり、研究手法を調べたりしました。夏休みくらいから学校の3Dモデルの制作と artisoc cloud での実験を始めました。

 

3Dモデルに関しては全体で半年くらいかけて完成させました。避難経路シミュレーションに関しては、コードを完成させるのに1、2か月くらいかかりました。

 

 

■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。

 

テーマ決めに苦労しました。文献をたくさん調べたり、先行研究から着想を得たりして話し合いましたが、既存の研究と重なっていたりして、没になったテーマもありました。

 

また、全員がアプリ制作に関して全くの初心者だったので、制作方法を調べるのがとても大変でした。避難経路シミュレーションはPythonをベースにコードを組んだのですが、artisoc 独自の関数もあり、うまくいかないことが何度もありました。

 

それらのエラーを一つひとつ直す作業に時間も体力もかかりましたが、実際にシミュレーションが成功した時はとても嬉しかったです。

 

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。

 

マルチエージェントシステムを用いることで、視覚的にわかりやすいシミュレーションにできるよう頑張りました。コードを組むのは大変でしたが、とても学ぶことが多く、いい経験になりました。                                                                           (泉さん)

 

 

 

Unityでの制作をメインに頑張りました。特に、利用者の皆さんにより現実に即した体験をしてもらいたかったため、校舎の3Dモデルは実際の寸法になるべく合うように頑張って制作しました。

 

この研究を通して、何もわからない状況の中から、自分達で一から調べて制作していく、という貴重な経験をすることができて良かったと感じています。今後は、実際に生徒の皆さんにシミュレーションを役立ててもらうために、シミュレーションの機能を充実させていきたいと考えています。                                                                   (小野くん)

 

 

 

 

■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。

 

アプリケーションはまだ制作段階なのですが、現在のシミュレーションは、特定の教室からの避難しか行えないようになっているので、他の教室からでも避難ができるようにしたいです。加えて、進行方向を矢印で表示するなど、より避難経路をわかりやすくしたいです。 

                                (佐藤くん)

 

 

今回の研究は秋田高校でのシミュレーションでしたが、本研究をもとに、様々な施設での避難シミュレーションを行えるような形を作っていけたらと思っています。

                                (信太くん)

 

第84回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より

 

※秋田高校 理数科 数学情報班の研究は 入選を受賞しました。

  

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