第84回情報処理学会全国大会 第4回中高生情報学研究コンテスト

SDGsに貢献したい! まず子ども達の関心を高めるゲームを作ってみた

チーム名:ARITAKE R&D Laboratory 

有竹祐樹くん(東京都立多摩科学技術高等学校 2年) 

(2022年3月取材)

SDGsへの関心向上をはかるブラウザゲームの開発 ~ブラウザゲームで学ぶSDGs~

 

人々のSDGsに対する関心向上を促進することはSDGsの目標達成に大きく貢献する。そのため、様々な場面でSDGsの講演会、体験型ゲームを通して認知活動や宣伝を行っているが、新型コロナウイルスの影響により、感染リスクの観点からそれらの中止が相次いでいる。そこで、本研究では非接触型でかつ敷居の低い新たな学習方法として、手軽かつ導入コストが低くSDGsについて学べるブラウザゲームを開発し、前述した問題点を解決していく。

 

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■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。

 

高校1年生の時、校内でワークショップが開催され、私はカードゲームでSDGs(持続可能な17の開発目標)について楽しく学ぶ企画に参加しました。

 

参加人数はとても少なかったのですが、授業やカードゲームを通じてSDGsの現状や実際の取り組みを知ることができ、その日、私のSDGsに対する考え方が大きく変わりました。私はこの活動でSDGsに強い関心を持ったのと同時に「自分も何らかの形でSDGsに貢献したい!」と思うようになりました。ワークショップの参加人数が少なかったことを思い出した私は「SDGsへの関心を高めることもSDGsの貢献につながる」と考えました。

 

そこで、私が最も得意とする「ゲーム制作」を通じてSDGsの達成に貢献しようと考え、このテーマで研究を始めました。

 

 

■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。

 

2021年の4月から本研究に着手したので、1年くらいかかりました。特にブラウザゲームの開発には力を入れ、半年以上かけて制作しました。

 

また、ゲーム開発の傍らで、人脈形成にも力を入れました。他校の発表会などを通じて知り合った仲間に本ゲームのフィードバックや検証を実施し、半年間継続的にデータの収集を行いました。

 

 

■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。

 

ブラウザゲームをどのように制作するか決めるのに一番苦労しました。本研究に最適なプログラミング言語選びや、ゲームのアイデアや設計などに多くの時間がかかり、最終的にプログラムを開発し始めたのは夏休み明けの9月からでした。

 

さらに、研究チームは私一人だけだったので、開発を始めて間もない頃は、ゲームのフィードバックを簡単に得られず、どこを改良すればよいか分からなかったのがとても大変でした。

 

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。

 

SDGsという難しいテーマをゲームに落とし込むために、ゲーム制作の経験を活かして、ブラウザゲームのプログラムやデザイン、サウンドはすべて自作して直感的な分かりやすさを追求しました。

 

特に演出や操作性、情報を表示するUIには気を遣いました。記号やアイコンでの表現を増やし、ゲーム中に登場する文章の量を可能な限り削減することで、小さい子どもや海外の人でも快適に遊べるゲームを目指しました。

 

そして、ユーザーにSDGsの現状について興味・関心を持ってもらうため、本ゲームには多くの工夫を取り入れました。例えば、ユーザーが記録した総合目標達成度と2021年の各国のSDGs達成度を比較して自分がどの国と同じレベルまで達成できたのかを確認することができます。

 

 

■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことがあれば教えてください。

 

研究をさらに発展させて、SDGsを学ぶための教材としての利用性を向上させたいと考えています。そのために、今後は教職員による評価などの機能の拡張や、授業内での運用・フィードバックを重ねてさらなるデータの収集に力を入れていきたいです。

 

また、現在は英語版の開発を進めています。このゲームを通じて、日本のみならず、世界中の人々のSDGsの関心を向上させることで、SDGsをみんなで力を合わせて達成できるような手助けをしたいです。

 

 

第84回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より

※ARITAKE R&D Laboratoryの研究は、中高生研究賞奨励賞を受賞しました。

 

 

 

 

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