第84回情報処理学会全国大会 第4回中高生情報学研究コンテスト

(2022年3月取材)

情報処理分野における日本最大の学会、情報処理学会では、2018年度から全国の中学生・高校生・高専生が日頃の情報分野の学習成果をポスター発表する「中高生情報学研究コンテスト」(共催:国立情報学研究所)を開催しています。今回は、北海道から沖縄まで、全国から過去最多の92チームがエントリーしました。

 


第4回中高生情報学研究コンテストのホームページ

 

 

今回も、第2回・第3回大会に続いてオンラインによる開催となりました。発表は、昨年に続いてポスター・発表内容の概要のサイト掲載とともに、オプションとして2分以内の動画または音声による内容紹介もOKとされました。

 

ポスターの発表ページからは各ポスターに対してコメントが投稿でき、審査員からのコメントの閲覧もできるため、発表者だけでなく、ポスターを閲覧する人もコメントからさらに深い学びにつなげることができるようになっています。

 

多彩な発表の中では、特に学校生活を安全・快適に改善する優れた工夫が目立ちました。また、ルービックキューブや数独などゲームやパズルの解法や自動生成のプログラムや、様々なサービスを実現するロボット、AIを利用した学習支援など、新しいジャンルの研究も登場し、注目を集めました。

 

今回のコンテストから、最優秀賞には文部科学大臣賞が授与されることになりました。最優秀賞を獲得した「スマート盲導杖『道しる兵衛』」は、小型コンピュータ「RaspberryPi」を使って、画像認識AIを搭載した白杖を開発したものです。センサーではなくカメラ画像を使うことで、衝突事故をより早く回避することを可能にしたもので、確実な問題設定と、実用化に近い完成度が高く評価されました。

 

様々な研究のほとんどが、PythonやRaspberryPiなど、「情報」の授業で使用する言語やツールです。それを使いこなすことによって、中高生自身の手で学校生活や社会全体をよりよい方向に向けていくことができることを、改めて感じました。

 

 

※今回の大会に参加した各チームのポスターと内容説明、それに対するコメントなどは下記のリンクから見ることができます。

 

全出場チームのポスター画像・発表説明はこちら

審査員からのコメントはこちら

 

 

来年の第5回中高生情報学研究コンテストは2023年3月4日(土)、電気通信大学で、現地とオンラインのハイブリット開催を予定しています。来年に向けて、ぜひチャレンジしてみてください!

 

第5回中高生情報学研究コンテスト 

 

■ポスター発表より

今回のコンテストで入賞したチームの皆さんに、研究で工夫した点や発表にかけた思いを語っていただきました。

 ※学年はポスター開催時。写真はご本人から提供いただきました。

 

 

東京都立多摩科学技術高校 チーム名:ARITAKE R&D Laboratory

SDGsに貢献したい! まず子ども達の関心を高めるゲームを作ってみた

「SDGsへの関心向上をはかるブラウザゲームの開発 ~ブラウザゲームで学ぶSDGs~」

 

東京都立多摩科学技術高校 チーム名:多摩科技 ドローン研

山岳遭難者の救出にドローンを活用、視覚に頼らない捜索方法を確立した!

無線LANを用いたドローンによる遭難者救助の研究」

 

福岡大学附属大濠高校 チーム名:一瀬輝日

眠りの質の向上を目指して~5年間の「眠りの研究」をアプリ開発につなぐ

「NERUKOWA~学生の睡眠状況を可視化するアプリの構築~」

 

都立大泉高等学校  チーム名:大泉高校Techcamp

国際間のインターネット利用の格差をなくすために ~データ分析を駆使して原因をつきとめる

インターネット利用の格差の研究」

 

追手門学院大手前中・高等学校 チーム名:Otemon Earth Challenger

誰でも手軽に使えるゴミ分別のためのスマホアプリを作ってみた

「バーコード読み取りを利用した「ゴミ分別促進アプリ」の開発」

 

小山工業高等専門学校 チーム名:KANJO線

「自分の発表、ホントに伝わっている?」 オンライン会議の聞き手の反応をリアルタイムで共有する

感情をリアルタイムに共有するオンライン会議、授業サポートシステム」

 

兵庫県立星陵高校 チーム名:星陵高校_科学同好会

文化祭運営の最大の難関「金券の処理」。Google Workspaceを駆使してキャッシュレスシステムを実現!

Google Workspaceを用いた文化祭キャッシュレス集計システムの構築」

 

熊本県立宇土高校 チーム名:宇土高等学校

苦手な内容でもモチベーションを下げさせないオンライン学習はどうあるべき? を考えてみた

Dynamic Questioning: 強化学習を用いた生徒の学習意欲維持と学習の効率化を両立する出題アルゴリズム」

 

群馬県立高崎高校 チーム名:高々1619@物理部

この白杖1本で視覚障害者の安全な歩行を実現!

「スマート盲導杖「道しる兵衛」〜AI搭載白杖による視覚障害者歩行支援〜」

 

群馬県立高崎高校 チーム名:群馬県立高崎高校物理部2年

測定結果と数理モデルによる解析で換気のタイミングを予測する

「予測で換気を促す次世代CO₂モニター 〜「Raspberry Pi」を用いたシステム開発と数理モデルによる解析〜」

 

香川県立高松商業高校 チーム名:高松商業高校科学部1年

「行ってみたら使用中」をなくしたい! 赤外線センサを駆使して不便を解消する

 「在室・在席表示システム「I:room」(いるーむ)の開発」

 

香川県立高松商業高校 チーム名:高松商業高校科学部2年

お客様に駐車スペースの有無をリアルタイムでお知らせする

「駐車場の空き状況を可視化するシステムの開発」

 

高槻高校 チーム名:高槻高校情報班

機械学習を使って病院内の転倒リスクを回避 ~9万人のデータから判断モデルのアルゴリズムを作る

機械学習を用いた電子カルテの解析による院内転倒予測アルゴリズムの作成」

 

大阪府立千里高校 チーム名:千里放送録音班

校内放送の聞き逃しを防ぐお役立ちシステムをRaspberry Piで実現!

「校内放送自動録音システムの開発」 

 

秋田県立秋田高校 チーム名:秋田高校 理数科 数学情報班

安全・安心な避難行動を実現する3D避難訓練アプリケーションを作った!

「秋田高校の3Dモデルの制作と避難訓練への応用」

 

東京都立調布北高校、鷗友学園女子高校 チーム名:UECスクールB-3

外出時の電気の消し忘れ防止を「光」と「音」で集中管理する

 「光と音で分かる節電装置」

 

東京都立南多摩中等教育学校 チーム名:チームぱそこん室

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