第83回情報処理学会 第3回中高生情報学研究コンテスト

空間だけでなく、時間の枠組みも超えた新しいオンライン授業を実現! 

チーム名:Kineto

青山 柊太朗くん(ぐんま国際アカデミー高等部 2年) 

(2021年3月取材)

「時間」を超えてつながる授業体験

同時双方向型の映像授業では個別に再生位置の操作が出来ないが、オンデマンド型映像授業では生徒間のコミュニケーションを保つのが難しい。本研究では、複数人授業において生徒間コミュニケーションを保ちながら、非同期的な再生位置操作も可能にする授業視聴用iPadアプリを開発した。過去のコミュニケーションを映像の時間と座標に重ねることにより、同期感のあるコミュニケーション体験を生む。さらに,各生徒が非同期的に映像を視聴する中、弾力的に再生速度を変化させることにより生徒間同期を生む。

 

※クリックすると拡大します。

 

■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。

 

既存の授業環境では、同期的なコミュニケーションと非同期的な時間の操作が両立できません。同期・非同期のどちらかしか選べない学校の授業に不自由さを感じたのが、この研究のきっかけです。不自由さを解消する方法を考える過程で、授業体験の時間軸についての考えを深め、今回の研究内容にたどり着きました。

 

 

■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。

 

2020年の6月から本格的に研究に取り組み始め、11月ごろから実際の実証実験・ユーザテストも始めました。

 

 

■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。

 

研究で提案した授業環境が活きる授業の形を見つけることに苦労しました。教科や環境によって異なる授業の特徴を整理することにより、同期と非同期が融合した授業環境が活きる条件を明らかにしました。

 

また、実証実験・ユーザテストの準備にも苦労しました。多様な属性の参加者や授業で実証実験が行えるように準備段階で工夫し、実験から有益な情報を得ることができました。

 

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。

 

再生速度の柔軟な変化によって視聴者同士を同期させる「弾性同期」のシステムについて工夫しました。快適な視聴体験と効率的な同期が両立できるアルゴリズムを目指し、実装に取り組みました。物理法則を参考にしたものやクラスタリングを用いたものなど様々なアルゴリズムを実装し、適した形を探究しました。

 

 

■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことを教えてください。

  

現実の時間軸から独立した「バーチャルな時間軸」についての研究・開発に取り組みたいと思っています。今回の研究では、バーチャルな時間軸によって授業における同期と非同期の融合を目指しましたが、授業以外の環境でも、バーチャルな時間軸を活用する方法を探究したいと考えています。

 

バーチャルな時間軸への没入が可能になることによって、現実の時間軸に存在する制約から解放された体験が実現できると考えています。

 

 

第83回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より

 ※青山くんの発表は、中高生研究賞優秀賞を受賞しました。

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