生産計画自動策定プログラムでDXに挑戦!
森本新太郎くん(福井県立高志中学校 3年)
(2021年3月取材)
製品組み合わせ粗利最適化エンジン~DXで開く新たな経営戦略~
日本の中小企業は、大企業に比べて、情報化が遅れています。その理由の一つとして、情報活用のやり方が分からないという課題があります。そこで、どのように情報活用をすればよいのかを研究しました。
情報活用ができれば、各商品の原価が分かり、どの商品を売れば利益が出るのかが分かります。そして、利益が最大になる製品の製造個数の組み合わせを、セールスミックス最適化といいます。私はセールスミックス最適化を、工場のデータから、線形計画法でシステムを使って自動で行えると考えました。制約条件を、独自に工夫し、システムを作りました。
次に、情報活用を行った場合と、行っていない場合の利益を、企業からいただいたデータと、pythonを使った計算プログラムを使って比べ、情報活用の有効性を検証しました。また、製造以外の商品開発などの場面でも、情報活用を行うといいと考えました。
今後の研究では、数理システムについてさらに理解を深めたいです。
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■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。
中学校で、地元福井について勉強したことがきっかけです。福井県は、和紙や漆器など、伝統産業が有名で、多くの製造業の中小企業によって支えられています。
しかし、その中小企業には、情報化が大企業に比べて遅れているという課題があります。そこで、今まで勉強してきたプログラミングや数学で、課題解決につながる研究をしたいと考えました。
■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。
1年くらいです。
■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。
線形計画法や、それを使うためのpython言語など、今まで知らなかったことを勉強して、使えるようにしたことです。特に、線形計画法は、「情報科学の達人」のオンライン講習や、ネットで、勉強しましたが、分かりやすい記事を探すのに苦労しました。
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。
特に、プログラムを組むところです。線形最適化を使えば、労働時間を制約条件、生産個数を説明変数とし、利益を最大化することができます。その関係グラフは、線形(一次関数)ではなく、階段状になります。しかし、非線形最適化法は、最適解を正確に求められません。そこで、規則的な階段状ならば、プログラムの工夫で線形計画法に置き換えられると考えました。制約条件と、説明変数の工夫によって、線形最適化を使い、利益が最大になる生産個数を求めるプログラムを組みました。
■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことを教えてください。
今回の研究では、線形計画法とセールスミックス最適化を使ったシステムを作りましたが、実用的ではなく、データの入力などで、手間がかかりました。また、ため込み生産など、特定の生産方式では、このシステムは利用できません。
次の研究では、機械学習を使い、より汎用的なシステムにしたいです。また、データの自動入力など、もっと実用的なシステムにしたいです。
第83回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より
※森本くんの研究は、中高生研究賞奨励賞・初等中等教育委員会委員長賞を受賞しました。