第83回情報処理学会 第3回中高生情報学研究コンテスト

AIを使った時間割生成プログラムで先生の労力を減らし、生徒の勉強にもプラスに

チーム名:山形東高校 情報処理班 Y

米本薫さん(山形県立山形東高校 2年) 

(2021年3月取材)

pythonによる時間割の自動作成・調整

本研究では現在先生方の大きな負担となっている時間割作業の自動化に着目した。現在まで,適切なアルゴリズムのもとでpythonを用いてExcelを操作し,ある程度の条件を満たしつつ,四クラスの一か月分の時間割の作成機能と授業変更情報に対応して時間割を調整する機能を製作した。今後は必要な条件をすべて満たすように各機能を改善して,先生方に実際に使用していただき,フィードバックを基にさらなる利便性の向上を目指す。

 

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■今回発表した研究を始めた理由や経緯を教えてください。

 

中学生3年生のころに、Neural Network Consoleという簡単に機械学習ができるというツールの存在を知って、AIに興味を持ちました。そこからAIについて調べていったところ、Pythonというプログラミング言語がAI開発との親和性が高く、いま幅広く使われている上に、他のプログラミング言語に比べて学習が容易だと知り、Pythonの入門書を図書館から借りてきて一通り学びました。

 

その後高校に入学して探究活動が始まり、1年次のときにそのテーマを決めることになりました。そこで私は、自らのプログラミングの知識とAIへの興味を踏まえて、AIを用いて何かしらの作業を自動化するソフトを作りたいと思い、どんな作業を自動化するか考えていました。

 

そんな中で、探究活動の担当の先生から授業の時間割作業が非常に大変で、先生方の負担になっていると耳にしました。身近な課題で取り組みやすく、自らの学校の先生であれば、ソフトに関するフィードバックも得やすいと考え、自らのテーマに最適だと思いました。

 

また、時間割において、よく特定の授業が連続したり、逆に隔週になってしまったりと偏ったものになることが多く、前回の授業でどこまで進んだか忘れてしまうというような弊害があったので、ソフトの作成を通して、そのようなことも改善して、我々生徒の利益にもならないかと考えました。

 

以上の様な遍歴で上記のテーマが決まりました。

 

 

■今回の研究にかかった時間はどのくらいですか。

 

高校2年生の春から本格的に活動が始まりましたが、部活と並行しての活動だったので、実働期間は累計して半年ほどだと思います。

 

 

■今回の研究ではどんなことに苦労しましたか。

 

やはりバグの修正が一番つらかったです。自分自身、本格的なソフト制作というものが初めてで、コードの書き方が汚かったために、バグの原因が何処にあるのか分かりにくかったですし、原因が分かってもどう直せばよいのか、手探りで考えていかなければならず、一番体力を使いました。

 

また、部の大会などで日が空いてしまって、前回の活動でどこまでコードを書いたのかわからなくなってしまうということもありました。部活動・勉強との並行活動というのも苦労しました。

 

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点を教えてください。

 

表示と処理のしやすさを考慮して、先生の名前に対応した数値を時間割の中に入れていく形式にしたところは、工夫した点です。

 

あとは細かいところになるのですが、

(1)授業の被りチェックのために、origin_colというものを作成して、該当するコマが何日の授業になるのかを記録しておいて後々の処理がしやすくする 

(2)先生ごとの授業ができない範囲を決めるために、数値に大きな数を足して条件判別ができるようにする 

(3)条件判別の後に数値をリセットして通常の処理ができるようにするreset関数を作成する

などの工夫をしました。

 

 

■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことを教えてください。

  

今回の活動において、AIに関することが自分の知識不足でできなかったので、AI(特に画像処理や自然言語処理)をシステムに絡めたソフト開発をしたいと思っています。

 

研究という側面では、AIを用いた職人の技術の保存や、文章の魅力度の判定など、様々な分野とAIを掛け合わせた研究を行ってみたいです。

 

最終的には地方中小企業の人手不足や高齢化の問題についてAIという面から解決策を提示していくような仕事をやっていきたいです。

 

第83回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より

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