(2021年3月取材)
情報処理分野における日本最大の学会、情報処理学会では、2018年度から全国の中学生・高校生が日頃の情報分野の学習成果をポスター発表する「中高生情報学研究コンテスト」(共催:国立情報学研究所)を開催しています。第3回となる今回は、全国から過去最多の88チームがエントリーしました。
昨年の第2回大会は、新型コロナウィルス感染拡大により現地開催が中止となり、急遽オンラインによる開催となりました。当時、一般の学会でもオンラインのポスター発表はあまり例がなく、まさにさきがけ的な試みでした。
今回は、参加申込受付が始まる前の昨年9月の段階でオンライン開催が決定したので、エントリーした皆さんは、オンラインでの発表に向けて準備を進めることになりました。今回のオンライン発表では、ポスターと発表内容の説明だけでなく、オプションとして2分以内の動画または音声音声や動画による内容紹介も可能になり、研究内容をよりリアルに説明することが可能になりました。
ポスターの発表ページからは各ポスターに対してコメントが投稿でき、審査員からのコメントの閲覧もできるため、発表者だけでなく、ポスターを閲覧する人もコメントからさらに深い学びにつなげることができるようになっています。
バラエティに富んだ今回の研究発表のテーマの中には、オンライン授業や文化祭、学校の感染状況の可視化など、今回のコロナ禍によって生じた問題を、情報技術を使って解決する試みがいくつも見られました。研究活動自体も、短縮授業や休校、「密」を避ける行動様式などによって、多くの制約があったことでしょう。それでも、どの発表も、そんなハンディを全く感じさせない、すばらしい内容でした。
今回の大会に参加した各チームのポスターと内容説明、それに対するコメントなどは下記のリンクから見ることができます。
来年の第4回中高生情報学研究コンテストは2022年3月5日(土)、愛媛大学城北キャンパスで、現地とオンラインのハイブリット開催を予定しています。来年に向けて、ぜひチャレンジしてみてください!
■ポスター発表より
今回のコンテストで入賞したチームの皆さんに、研究で工夫した点や発表にかけた思いを語っていただきました。
※学年はポスター開催時。写真はご本人から提供いただきました。
スマートフォンのカメラを使ってリアルタイムの指文字会話を実現する
「リアルタイム指文字認識システムの開発」
新型コロナウイルス感染症の中で考えた! 学校という環境の中での感染症の流行と対策のための数理モデル
「学校の感染症流行の可視化」
AIを使った時間割生成プログラムで先生の労力を減らし、生徒の勉強にもプラスに
「pythonによる時間割の自動作成・調整」
空間だけでなく、時間の枠組みも超えた新しいオンライン授業を実現!
「「時間」を超えてつながる授業体験」
プロジェクションマッピング+音楽+姿勢推定に挑戦してみた!
「インタラクティブな映像の制作とその考察」
◆拓殖大学第一高校[東京都] チーム名:UEC’s future creating
micro:bitを使って、心の状態を「見える化」する
「心の悩みを解決するためのプログラミング」
74年の気象観測の歴史の新たな1ページを開く! カメラの自動制御で正確な無人観測が可能に
「カメラとRaspberry Piを用いた視程観測装置の自作」
生産計画自動策定プログラムでDXに挑戦!
「製品組み合わせ粗利最適化エンジン~DXで開く新たな経営戦略~」
Twitterの投稿内容からストレス状態を分析、ネガティブな感情を抱え込まないためのアプリを作ってみた!
「Twitterの感情分析によるストレス状況の可視化およびセルフケアアプリの開発~Pythonを利用して~」
◆追手門学院大手前高校 チーム名:Otemon Challenger
ローテクの電化製品をIoT化することで無駄な電力消費を減らし、地球温暖化問題解決へ
「IoT電源タップの開発と研究 〜エコで快適な暮らしを目指して〜」
◆追手門学院大手前高校 チーム名:Next Educator
コロナの今だからこそ! 世界中とつながり、子ども達の学びを深めるプログラミング教育を作る
「グローバルに論理的思考力を育むプログラミング教材(IOSアプリ)の研究・開発」
文化祭の来場者状況を一目で把握! チケット不正転売防止にも新型コロナ感染対策にも大活躍!!
「QRコードを用いたコロナ禍における混雑緩和システムの構築」
効率がよくて正確な乱数発生プログラムをいろいろ試してみた!
「モンテカルロ法を利用した乱数の研究」
コンピュータは人間の顔をどうやって判断するのか? プログラムを組んで確かめてみた
「顔認証システムの構築と読み取り」
環境にやさしい伝統農法のメカニズムを解明し、持続可能な農法の開発につなぐ
「土壌水分センサーを用いた伝統農法の効果の検証」