(2016年7月取材)
人生2度目の投票を迎えたぼく、21歳は、大学の友人にも選挙についてインタビューを行いました。
今回は2人目、菅田悠介くん。同じ大学の同級生です。彼は20歳で、今回の投票が選挙権を手に入れて初めての投票の機会でした。彼は神奈川の大学に通っていますが、住民票が福岡県の福岡市にあり、今回の投票には行かず、「棄権」をしたそうです。
—今回の選挙でゆうすけは投票には行かなかったんだよね。
そうだね。行かなかった。
—行かなかった理由は?
投票をするまでの手間を考えた時に、ここまでして投票する必要があるのか考えて、「投票しなくていいや」って思った。住民票が福岡市にあるから、投票するためには色々取り寄せなきゃいけない。もしくは、実際に福岡に帰らなきゃいけない。ってことが調べる中でわかった。そこまでして投票に行くのは面倒だなぁって思ったんだよね。
—選挙について調べたのはいつ頃なの?
投票の数日前だね。俺みたいに大学生で、住民票がある別の地域にあるから投票が手間で行かない人ってかなりいると思うんだよね。
—もしもの話。今ゆうすけが福岡市にいて、選挙が数日後に控えています。投票に行く時間もある。では、どのように投票をする党を決める?
特定の誰かに媚びるような政策を打ち出しているところには投票はしたくない。全員のことを考えている人が俺にとって魅力的な党。だからそこに入れると思う。
—どんな時に政治について考えたりする?
そもそも政治について考えたことがないなぁ。高校の時には公民の授業があったけど、ほとんど聞いてなかった。しいて言えば、昔入試の問題で、自民党と民主党のマニフェストが出されて「あなたはどっちの意見か?」って聞かれた小論文があった。考えても考えても、結局何を書けばいいんだろうって書けなかったことがあるんだよね。
—でも、ゆうすけがよく口にする「食糧問題」は、重要な政治課題の一つになりえるよね。
そうだね。どこかの党が食品ロスに関連するマニフェストを掲げていた気がする。
—つまり、ゆうすけの興味がある分野だったら政治について詳しくなるかもしれないね。例えばある世代の投票率を上げるためには、政治家がその世代が興味があるトピックについて積極的に取り上げたり、興味を持ったりするようにアプローチすればいいわけだ。
ニュースとかみてても「へー」で終わるけど、Facebookで友達が記事をシェアしていたら「あー!」ってより身近に感じることがある。だから若い人が政治に興味を持つような環境だったり、若い人に寄り添うような意見とかが身近にあれば投票に行ったかもなぁ。
—最後の質問。10年後、ゆうすけはどんな社会に生きていたい?
面白さを持ってタブーに挑んでいける人が増えるといい。そして、それが許される空気の中を生きていたい。頑なにあれだめ!これダメ!みたいな禁止やルールに縛られるのが好きじゃないから、緩和されて、面白さに自由がある社会になってほしい。もちろん批評はあるけど、頭ごなしには否定しない。だから、10年後はいろいろな面白さに対して寛容な社会をつくりたいな。
監視よりも、社会を面白がるまなざしを
インタビューを終えて
許される社会の方が、文化はより深く、より広くなると思います。21歳のぼくには、日本の相互監視社会化がどんどん進んでいるような空気を感じます。日本では言論の自由が保障されているはずですが、特に政治や性についてはタブーとみなされ、アレルギーのように批判され、炎上をつくっているよう見え、「そんなことも許せないの?こんなことで怒るの?」と思うことがよくあります。だからこそ、批判に対して批判で応じるのではなく、喜劇王チャップリンのようにユーモアを用いて社会を楽しく風刺して、監視する冷たい目を、面白がるまなざしに変えていける空気が濃くなればと願います。