(2016年7月取材)
自分の投票をすませ、投票所の外でインタビューをするために待機します。夕方だったこともあり、自分より若そうな人というのは、案外少なくて5人にしか声をかけることが出来ませんでした。ぼくの待機していた投票所では、夕方の時間帯は、家族連れや、高齢の方が多かったです。朝から投票所にいる守衛さんらしき人に話を聞くと、朝早くの時間帯は投票に来る人が多く、若い人が案外多くてびっくりした、とおっしゃっていました。そして2時間粘り、やっとインタビューに答えてくれたのがウオヤノエさん。
―インタビューを受けてくれてありがとうございます! 新しく選挙権を得て、今どのように考えているか聞いていきたいです。ウオヤさんは今はおいくつですか?
いまは19歳で、大学1年です。今回が初めての投票です。
―投票に行く人と行かない人がいると思うんだけど、どうして投票に行こうと思ったんですか?
最初は全然行くつもりはなかったんです。まわりの大学の友達、サークルの先輩が当たり前のように「投票には行くもんでしょ」という空気で。やっぱり投票って行くもんなんだなって、思いました。投票には母親と一緒に来たんですけど、親も「投票には行くでしょ」という考えで、今回は投票に来ています。
―大学の友達の「選挙への空気」というのは、SNSで感じとったものなの?
いや、SNSではなくて直接会話をしました。友達と話している時に投票の話題になって。選挙についてのイベントが学校の近くであったんですよ。それに参加した人がいて、その人と話したことが、私も選挙に行こうと思ったきっかけになったのかもしれません。
―投票に行こうと思ってから、情報収集などはしましたか?
母が「えらぼーと」というサイトを教えてくれて、それを使ったりしました。それは、いくつかの質問に答えていくと「あなたはここの党の考えに近い」 と返してくれるので、それを使って投票するところを考えました。
―気になる政策はあったりしますか?
労働者の賃金のことですかね。バイトの人と正規雇用の人で、同じ仕事なのに賃金が違うっていうのは、どうしてなのかな?ってちょっと気になりました。
―最後の質問になります。10年後、29歳のウオヤさんは何していると思いますか?
なんだろうなぁ。29歳の私。その時の私は、ふつうに結婚して、ふつうに子どもがいて、ちゃんと職業についていて。海外を飛び回っていたいです。
何割の同世代が、自信を持って投票に来ているのか
インタビューを終えて
質問に答えてくれたウオヤさんはお母さんと投票に来ていました。地元が一緒ということもあり、同じ中学出身で、共通の友人もいることも後からわかりました。彼女とのインタビューの中で気になった言葉に、「インタビューが私なんかでいいのかな?」というのがありました。彼女は今回の投票が初めてなので、そんなふうに思ったのかもしれません。しかし、何割の同世代が、自信を持って投票に来ているのでしょうか。何パーセントの有権者が、確固とした政治的な意見を持っているのでしょうか。いったいどれだけの人が完璧な未来を思い描くことができるのでしょうか。
ぼくは21歳で、彼女よりほんの少し長く生きたくらいです。わからないことだらけです。調べても調べても、問いは増えて、自分の無知さを知ります。だから、自分も含めて、わからないから知ろうとするし、未来がわからないから作っていくしかないんだと思います。ネガティブだろうと、ポジティブだろうと、考えるという態度と、行動するという姿勢はとても尊いものだとぼくは考えています。