渋谷教育学園渋谷高校(東京都)
大森智加さん(1年生:リアル模擬国連の経験7回)
(2020年6月取材)
■今回の「6月大妻オンライン会議」を実施することになった経緯
3月の時点でコロナウイルス感染拡大の影響で、いわゆる「3密」の状態を中心に展開される模擬国連を通常のように行うというのは不可能だと感じていました。しかし、せっかく模擬国連をはじめて成長できる時期なのに、会議の機会が失われ成長できなくなるのは大変もったいないことですし、自分たちでは太刀打ちできない状況をうらめしそうに見るだけ、というのはやはり悔しいです。
加えて、感染がいつ収束するかわからないからこそ、オンライン会議という形でも模擬国連を継続可能にするべきであり、そのための試金石として行動することが大切だと考え、大妻オンライン会議を企画しました。また、大妻オンライン会議をきっかけに、オンライン模擬国連の環境に慣れることで、今後行われるかもしれない他のオンライン会議でも思う存分に動けるのではないかと思い、実施を決めました。
■今回のオンライン会議のルールはどのように決めましたか
オンラインでの模擬国連を学校単位で主催したことはあまりなく、手探りの状況から準備を進めました。これまでオフラインで行われてきた模擬国連会議のプロシージャを参考にしたのはもちろんのこと、オンライン手段について詳しいルールを定めることに一番時間を費やしました。
オンラインで一番勝手が違うのは、音声とビデオのオフが参加者に委ねられてしまうため、ルールを新たに設けないと通信などでのトラブルが起きかねません。そこで例えばモデでの発言時は音声とビデオをオンに、他の時はオフにするなど動作を細かく定め、会議を円滑に進める工夫をできる限り行いました。
また今回の議題である「安保理改革」は第4回の全日本高校模擬国連大会の課題でもあり、Background Guideや国割などはそこで使われた資料を参考にしながら、2020年までの情報を適宜追加しました。しかし安保理改革は長い間直接国連の場で話し合われていない、話し合われていたとしても明確な成果が出されていないものなので、情報の探り当ては骨が折れるものでした。
■進行やルールを決めるにあたって、リアルの模擬国連と比較して残した点・変更した点は
[オンラインでも残した点]
モデやアンモデ、スピーチや投票行動など会議の外枠はほとんど変化させず、オンラインでもスムーズに動けるように工夫しました。
逆に大使のみなさんには、「オンラインでも自分の取りたい会議行動を実行するにはどうすればよいのか」について考えることをきっかけに、模擬国連自体への考察を深めてもらえたのではないでしょうか。
[変更した点・工夫した点]
普段の会議とは違い、オンラインであるため議場全体の姿が俯瞰できない分、どのグループに誰が集まって欲しいのか、アンモデ議場を指定する必要性があります。また、時間も少ない中、議題も「安保理改革」という大変難儀なものであったため、大使の皆さんにはファーストモデでは議長裁量でグルーピングについて討議していただきました。
さらに、グループ間での情報共有を可能にするために、適宜外交会議を開くためのルームを設立しました。オフラインの会議と比較して、より一層大使の動きに合わせた運営の対応の必要性を感じました。
■今回のオンライン模擬国連の準備にあたって、一番注意したこと、練習を重ねたことは
オンラインでの模擬国連が果たして可能なのか、この点が終始懸念点として存在していました。もちろん他の大使の方々も、顧問の先生も、この会議に携わった方々全員そう感じていらっしゃったのではないでしょうか。
その不安を払拭するためにも、先ほど申しましたように一見細かいとも思われる機器使用のルール決めやリハーサルを繰り返しました。また議題が「安保理改革」という、多数のグループに別れ、かつそれぞれ既に意見が十分に固まっているものだったので、どのように議論の方向性を定め大使に伝えるのか、とても悩みました。会議が終わった今でも悩んでいます。
まだ実際の会議でフロントを務めたことはありませんが、機会があれば是非挑戦してみたいと考えています。
■当日の進行では心がけたことは
オンラインの環境に慣れるのに要する時間は、当然ながら人によって異なります。また同時並行で話す作業ができず、加えて一人ひとりの理解度を些細な表情の変化で掴み取ることが大変難しくなっていたため、今会議のテーマの難解さもあって会議難民が生まれやすい会議になると感じました。
そこで、全員が会議に参加できるためにも、会議の途中で会話に参加できていない大使がいるのを把握したらすぐサポートに回ったり、会議しやすい議場になるように雰囲気を作ったりと気をつけました。
■当日の進行で、一番大変だったことは
リハーサルはありましたが、会議の進行が予期していた時間より遅れてしまい、その後のDR提出に響き予定の変更を迫られたのは大変でした。時間も伸ばせない中、大使の負担も大きく、会議中に十分な議論ができるかが心配でした。
顧問の先生や他のフロントの方々が柔軟に対応し議場を引っ張ってくださったので会議を無事に運営できたのではないかなと思います。その場その場に臨機対応に反応することは、普段の模擬国連でも大切ですが、その力を今後身につけていきたいです。
■オンライン会議にしてよかったと思うことは
場所を問わずに参加できるようになったのは大きなメリットだと感じました。普段だったら遠くて参加できない他校の知り合いもたくさん参加していたので、嬉しかったです!
■このオンライン会議を計画・実行した感想
前例がない中での挑戦で、初めはどうなることやらと不安半分、でも実際どんな会議になるのだろうかとドキドキ半分でした。ひとまず無事に終えることができて安堵していますし、この会議を経て新たに見えてきた課題や向き合うべきものが、少しずつではありますが見えてきました。今後模擬国連を取り巻く情勢がどのように変わるかは予想がつきませんが、どのような状態になっても模擬国連への熱を冷まさず、取り組んでいきたいです!