情報処理学会第82回全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスターセッション発表
チーム名:翔んで城玉
城北埼玉高校
小島 空くん(2年)、松村 太貴くん(2年)
(2020年3月取材)
「高校生が考える勉強アプリの理想形」
■発表の内容
高校生のスマホの普及率が90%を超えた現在、多くの勉強支援アプリが存在する。 しかし、それらのアプリを開発するのは大人であり、私たち高校生の視点が欠けているものが多く散見される。また、私たちの学校にClassiというポートフォリオと学習管理システムを併合したサービスが導入され、1年以上が経過したがその利用率の低さに愕然とした。実際にデータの管理などを鑑みればとても大きな役割を果たすべき運命にあったはずのClassiは、なぜか我々スマートフォン世代にあまり響かなかった。そこで私たちは、新たな勉強支援アプリを提案するために、iOSアプリ (フロントエンド部分)および機械学習を行うソフトウェア(バックエンド部分)の開発を一から行った。そこでの反省を踏まえて、下記のようなアプリを提案する。
・ユーザーの操作が少なく感覚的である。
・勉強のスケジュールを立てる手助けをする。
・最新技術の機械学習で、効率の良い勉強時間等を提案してくれる。
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■今回発表した研究を始めた理由や経緯は?
自身の通う学校に導入されたオンライン管理システムが、2年経った今も全く浸透していないことから、どのように改善できるかを考えることで、実際にアプリを作ってみた際の課題を研究したいと考えました。(松村くん)
参加申込みから発表までの期間がとても短かったため、どのようなテーマにしようかとても悩みました。そして、私たちの学校に導入されている、「自身の勉強を記録できるアプリ(実際のアプリはもっと多機能)」に視点をあて、どのように改善が行えるか、どうすれば私たちにとって使いやすいものになるのかを考え、実際にアプリを作ってみることにしました。(小島くん)
■今回の研究にかかった時間は?
2か月かかりましたが、相談していた時間が長く、学校でも研究を進める時間があったため、実際にプログラムを書いたのは3週間ほどです。
■今回の研究で苦労したことは?
2人でどのように分担したらよいか、また、今回は互いに補い合えない形をとらざるをえないことが、悩みの種でした。さらに、Swift UIにはほとんど頼れる文献が存在せず、常に確信を持ってプログラムを書くには至りませんでしたが、今回の発表コンセプトは実際のアプリを最高の出来にすることは想定していなかったため、問題はありませんでした。また、ユーザーの認証システムはSign In With Appleを利用しましたが、こちらも新しいもので扱うことに苦労しました。(松村くん)
2人の分担にとても苦労しました。 実際の分担は、「クライアントサイド」と「サーバーサイド」に分かれて、作業を行いましたが、片方の作業が滞ってしまうと、やはり作業は進みません。また、「この機能を実装するからこれを実装して」などと、お互いに密な連携をとることが必要でした。 それから、初めて正式なポスターというものを作ったので、どのような体裁で作るのかがよくわからず、手探り状態で苦労しました。 (小島くん)
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?
プログラムは、一切のリソースをSwift依存にしないようにして、仮に今後他のプラットフォームから利用する際も、特に大きな問題がないようにしました。
ビュー(画面の構成要素)において、なるべく保持し合うオブジェクトを減らす努力をしました。ただ、実際目に見える効果はなく、Appleのエコシステムが素晴らしいのか、自身が取り扱っているデータ量が大きくないだけなのか、特筆する点ではないような気もしました。(松村くん)
基本的には、「勉強アプリ」というものは、実際に利用している私たち「高校生」向けに作られていますが、開発側は大人の方なのだと思います。 その点において、私たちの「高校生」の意見を実際に見てもらいたいと思います。
また、技術面では、Microsoft 社が提供する「Microsoft Azure Machine Learning Studio」を用いて、機械学習を行った点です。利用者の状況(その日に習い事があったか、その日は平日か休日か)など、勉強に影響が出そうな要因を見つけて考慮した点で、とても精度の高い数値を算出できました。(小島くん)
■オンラインの発表と実際の会場での発表のどちらがよかったと思いますか?
私としては、会場の方が嬉しかったです。 2か月前からの飛び入り参戦ではありましたが、多く時間を割いたつもりでしたので、肌に触れられる技術を堪能したかったです。 また、モチベーションも下がってしまいました。(松村くん)
実際の会場発表をしてみたかったです。 私たちは、どこかに行って多くの人に説明するという機会がないので、自分の経験としても行いたかったなと思いました。(小島くん)
■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことは?
ユーザーからのフィードバックや収拾したデータを扱いたいと思いましたが、実は制作中に自身の研究について疑問を持ち、この方向性が本当に正しいのか、わからない状態になりました。そういった際に、キチッとしたゴールとその実現性を加味して考える能力が欲しくなりました。その視点から、開発者を支援できるようなプログラムを作りたいと思うようになりました。これはアプリに限らず、GitHubのようにコミュニティ力のついたサービスについてもいえることで、個人的に目標としています。(松村くん)
発表は終わりましたが、引き続きこの研究を進めていきたいとと思いました。(小島くん)
※ 「翔んで埼玉」チームの発表は、中高生研究賞入選を受賞しました
第82回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より