情報処理学会第82回全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスターセッション発表
チーム名:中央大学附属高等学校A
小川 瑞貴くん(中央大学附属高等学校[東京] 3年)
(2020年3月取材)
「格子モデルによる歩きスマホの危険性の可視化」
■発表の内容
歩きスマホの危険性は日々訴えられているが、歩きスマホをする人の数は一向に減っていない。この問題を解決するには、歩きスマホによって起こり得る事故をわかりやすく可視化し、ユーザーに理解させることが必要だと考えられる。
本研究では、横断歩道において歩きスマホをする人としない人が混在する状況を想定し、歩行者同士の衝突事故がどのように発生するかを可視化するシミュレータを構築した。さらに、このシミュレータを用いて、歩きスマホをする人の割合と、スマホに熱中し過ぎて対向歩行者に気づかず直進してしまう確率を変化させたとき、衝突発生回数がどのように変化するかを調べた。結果として、この2つの条件では歩きスマホをする人の割合の方が衝突事故の発生率に直接的な影響を持つことがわかった。したがって、歩行中のスマホへの熱中度よりも歩きスマホをすること自体が歩行者同士の衝突の危険性を高めることが示唆された。
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■今回発表した研究を始めた理由や経緯は?
研究テーマを決めるにあたり、何か身の回りで起きている問題について研究を行っていきたいと考えました。そこで研究テーマに選んだのが歩きスマホの危険性についてです。近年、スマートフォンの普及とともに、歩きスマホが社会問題にされているにもかかわらず、歩きスマホをする人は一向に減少していません。危険であると言われているのに、なぜスマートフォンユーザーは歩きスマホをやめないのか疑問に思い、問題を解決するべく、この研究テーマに設定しました。
■今回の研究にかかった時間は?
約9か月です。
■今回の研究で苦労したことは?
研究ではコンピュータプログラムを用いました。プログラム作成を行うことは初めてだったため、自分が求めるようなプログラムができず、失敗ばかりでとても苦労しました。
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?
実際の歩行者の動きは複雑なため、プログラムでは格子モデルを用いて近似的に再現しました。そのことにより、歩行者の位置や距離をわかりやすく可視化することができました。
■オンラインの発表と実際の会場での発表のどちらがよかったと思いますか?
私は実際に会場での発表を行いたかったです。私の研究は、歩きスマホの実態を可視化することによって、人々にその危険性について知ってもらうことを目的としていたからです。実際に作成したプログラムを見てもらい、理解を深めてもらいたかったです。
■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことは?
今回の研究での信憑性を確認するための実地調査や、他の社会問題について独自の視点で解決策を模索していきたいと思います。
※小川さんの発表は、中高生研究賞優秀賞を受賞しました。
第82回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より