情報処理学会第82回全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスターセッション発表
チーム名:追手門 Quest
追手門学院大手前中学校
高松 壮有くん(2年)、長島 和弘くん(2年)、マドックス デビットくん(1年)
(2020年3月取材)
「盲導犬ロボット『あいドック』の製作とその研究」
■発表の内容
現在、日本で盲導犬を必要としている視覚障害者は8000人いる。それに対して、盲導犬数はおよそ1000匹。盲導犬は一定期間の訓練も必要であり、寿命もあることから、簡単にその溝を埋めることは難しい。そこで、盲導犬ロボットの製作に挑戦した。点字ブロックを誘導したり、画像認識によって交差点の信号情報を知らせたりする機能を開発。また、人とのコミュニケーション機能を備えることによって、より人に優しいロボット製作を目指した。
主な機能は次の3つである。 (1)点字ブロックを誘導する。(万が一、障害物があっても上手く避けて通る) (2)交差点で、止まり、信号を画像認識する。(赤色から青色に変わると、ロボットは誘導する) (3)頭をさわると「ワンワン」と鳴き、顎をなぜると尻尾をふり、人とのコミュニケーションをとる。
[SDGs No11 持続可能なまちづくり] にアプローチする盲導犬ロボット「あいドック」の開発に成功した。
※クリックすると拡大します
■今回発表した研究を始めた理由や経緯は?
SDGsをロボット開発によって解決する活動に取り組んでいます。とくに中学校のロボット開発チームは、持続可能な街づくりに貢献するために「人にやさしいロボット」開発に挑んでいます。
2017年に手話通訳ロボットを、2018年に食事介助ロボットを作りました。そして、2019年度は視覚障害者のためのロボットの製作に挑戦しました。
今、日本の盲導犬の数は約1000匹。しかし、盲導犬を必要としている人はなんと約8000人弱もいます。「盲導犬を増やせばいい」と考える人もいますが、盲導犬を育成するのに資金は300万~500万円、 時間にして最低でも2年以上の歳月が必要です。そのため盲導犬を増やすのは難しいのです。
そこで 私たちは、この問題に注目し、盲導犬ロボット「あいドック」の製作に挑戦しました。
■今回の研究にかかった時間は?
4月から始めて7か月の時間を要しました。
■今回の研究で苦労したことは?
私たちの盲導犬ロボット「あいドック」の機能は次の3つです。
○点字ブロックへ誘導する(万が一、障害物があっても上手く避けて通る)。
○交差点で、止まり、信号を画像認識する。信号が青色に変わると、ロボットが横断歩道へ誘導。
○頭をさわると「ワンワン」と鳴き、あごをなでると尻尾を振るなど、人とのコミュニケーションをとる。
どの機能も中学生の私たちには簡単ではありませんでした。とくに信号を画像認識するために、Pythonで制御しようと考えましたが、成功には至りませんでした。結果、Pixyカメラで、マインドストームと接続し、判別するようにしました。この点は、今後の私たちの課題でもあります。
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?
「人にやさしいロボット」という点です。ロボットというと、冷たくて固くて無機質なイメージがあります。
そこで、このロボットは頭をなでると「ワンワン」 と鳴き、首をなでると尻尾を振るという機能をつけました。こうすることで、人とロボットの間に愛情(絆)が生まれると考えています。
■オンラインの発表と実際の会場での発表のどちらがよかったと思いますか?
会場での発表です。実際に私たちの作ったロボットを持って行こうと考えていました。そして、直接、専門家の方のアドバイスをもらおうと考えていました。また、他のチームのロボットを間近に見たり、交流したりすることを楽しみにしていました。
■今後「こんなものを作ってみたい!」「こんな研究をしてみたい」と思うことは?
僕たちは これからもこのロボットをより実用化できるように進化させたいと考えています。そのためには、画像認識のシステムについて、もっと勉強しなければならないと思っています。さらに2020年も「人にやさしいロボット」を開発する予定です。ぜひ、楽しみにしてください。
※「追手門Quest」発表は、中高生研究賞奨励賞を受賞しました。
第82回情報処理学会全国大会中高生情報学研究コンテスト ポスター発表より