日頃の情報学の学習成果をオンラインで発表! 新しい学会発表のあり方を示す第一歩に
(2020年3月取材)
情報処理分野における日本最大の学会、情報処理学会では、2018年度から全国の中学生・高校生が日頃の情報分野の学習成果をポスター発表する「中高生情報学研究コンテスト」(共催:国立情報学研究所(2019年度から))を開催しています。
今年は昨年を上回る全国46校、62チームがエントリーして、2020年3月7日に第82回全国大会(@金沢工業大学)の会場で開催される…はずでしたが、新型コロナウィルスの感染拡大により、全国大会の現地開催は中止となってしまいました。
しかし、「中高生情報学研究コンテスト」はこの中止決定に先立って、2月21日にオンラインでの開催を決定。3月5日から特設サイトでポスターと発表内容の説明を公開し、情報処理学会の各種委員からのコメントを掲載しました。
審査は、審査会場の委員と、遠隔で審査に参加する委員を、オンライン会議システムで結んで行われ、受賞研究を決定しました。
コンテストは、会場で発表すると、来場者から直接質問を受けたり、作品を見てもらったり、他の発表を聞いたり、といった様々な経験ができます。しかし、特に3月のこの時期は、卒業式などの学校の行事が多く、また開催地によっては現地までの移動が難しい学校も少なくありません。
今回は、感染拡大による全国大会の中止という、突然のイレギュラーな事態のもとでの開催となりましたが、一方でコンテストの開催や参加のあり方について、一つの可能性を示す機会ともなりました。
今回の大会に参加した各チームのポスターと説明文、それに対するコメント、特別審査員のビデオメッセージなどは、下記のリンクから見ることができます。
このように大会全体を概観するとともに、一つ一つのポスターや、研究者からのコメントをじっくり読むことができることも、オンラインでの開催のメリットです。今回の中高生情報学コンテストのオンライン開催は、今後のコンテストの在り方に大きく影響を与えることになるでしょう。
次回、第3回中高生情報学研究コンテストは、2021年3月20日(土)に大阪大学豊中キャンパスで開催予定です。
■ポスター発表より
今回のコンテストに参加したチームの皆さんに、研究で工夫した点や発表にかけた思いを語っていただきました。
病気で会話が難しい人のコミュニケーションを助けるアプリを作った!
「あなたとしゃべりたい 〜画像解析によるコミュニケーションツール〜」
自分自身の持病の快癒に役立つAIシステムを作り、さらなる改善にを目指す
「急変する持病のための連携システム:体調不調予測AIの開発による予防強化」
◇追手門学院大手前高校 チーム名:追手門 Challenger
生き物たちを守れ! 生物と海上ゴミを「見分けて」美しい海へ
「画像認識を使用した進化型海上ゴミ回収ロボットの製作と研究」
盲導犬不足を解消したい! 愛にあふれる「あいドック」
「盲導犬ロボット『あいドック』の製作とその研究」
「HTMLのタグがわからない…」その悩み、Python のプログラムで解決します!
「Pythonを使ったHTML作成補助ツールの開発」
◇千葉県立柏の葉高校 チーム名:VirtualPresents
VRの表現の可能性を広げる空間でクリエイターとコラボ!
「Webサイトと連携させた新たなVR空間内表現の実現」
隕石を避けるゲームでオリジナルの強化学習に挑戦
自作の「おとり」のログの徹底追跡から解明 インターネットの攻撃は全世界から!
「ハニーポットを使用した攻撃の観測と考察」
大人にはわからない! 高校生による高校生のための勉強アプリを開発
「高校生が考える勉強アプリの理想形」
画像解析の技術で子どもや目の不自由な人を事故から守りたい !
「画像解析によるブロック塀と点字ブロックの識別 ーハザードマップの自動作成と視覚障害者の歩行支援ー」
歩きスマホはこんなに危ない! スマホユーザーの衝突事故を可視化して検証
「格子モデルによる歩きスマホの危険性の可視化」
暖かい東側天井と寒い西側床……Excelのセルを「メッシュ」に見立て、熱伝導方程式で検証
「Excelを用いた熱伝導の数値シミュレーション」
◇矢板東高校、東京学芸大学附属高校、工学院大学附属高校 チーム名:UECスクール
離れた農地やビニールハウスの状態を自宅で一元管理!
「micro:bitを用いた農業用遠隔地モニタリングシステム」
スマホを授業でかしこく・ルールに則って使うためのアプリを開発!
「IN-PHONE 学校へのスマホの持ち込み」
モーションキャプチャーを使ってバーチャル避難訓練を開発してみた!
「KinectとHMDを用いたVR避難訓練体験システム」
先生の働き方改革、応援します! ~Python採点を使ったソフトの開発
「Pythonを用いた画像処理による文字認識採点支援システムの開発」
◆昨年の記事はこちら:
○情報処理学会ではジュニア会員を募集しています
ジュニア会員は、小中高校生、高専生本科~専攻科1年、大学学部1~3年生を対象として様々な特典があります。会費は無料です。