第12回全日本高校模擬国連大会
たとえコンセンサスができなくても、長い目で見た平和を希求する姿勢を貫いた
麻布高校[東京都] 担当国: ガーナ
松田新くん(2年)
[海外旅行・滞在の経験] 旅行や短期留学で何回か行ったことがある
吉川駿くん(2年)
[海外旅行・滞在の経験] 家族と一緒に海外で生活したことがある
(2018年11月取材)
担当国を希望した理由を教えてください。
模擬国連のシステムがよくわかっていなくて、希望の担当国を選んだ時点では議題が「武器移転」だと知りませんでした。ガーナは僕たちの第一希望で、他にはナイジェリアとか南アフリカとか、アフリカの国を希望しました。理由としては、麻布高校の国際交流でガーナの高校生と交流があって、なんとなく親しみがあったということと、初心者なので大国を避けたということがあります。
担当国は「武器移転」について国際的にどのような立場を取っていますか。また、論点1・2についてのボトムライン(これ以上は譲れない点)を教えてください。
基本的に、ガーナは中立よりは規制強化派に少し寄ったくらいの立ち位置だと認識しています。
論点1については、現状維持がボトムラインでした。理由としては、ガーナ自身は戦争の必要はないので、自国軍備の透明性(を下げること)に興味はないし、他国の不透明な軍備に対する警戒もあまりないかなと思ったことです。
論点2について僕たちが設定していたボトムラインは、北アフリカのテロ対策を強化することです。ガーナはまだイスラム系テロの被害を受けていませんが、やはりイスラム国やボコハラムは周囲に存在していること自体が脅威だからです。
準備の段階で苦労したことや、工夫したことがあれば教えてください。
あまり特別なことはしていないと思います。基礎的な情報を図書館やインターネットで集め、そこからは学校の先生や他の友達にも相談しながら政策を考えていきました。また、模擬国連の経験が皆無だったため準備の仕方や定石はわかりませんでしたが、着実に準備を進めたら、結果的には大筋として成功できたと思います。(松田くん)
今回の模擬国連が初参加だったこともあり、自国・他国についてどの程度まで調べるべきなのか、そのさじ加減のようなものが分からず、リサーチの際に多少戸惑いました。数十カ国の国について、自分が担当する国と同じように調べるのは現実的ではなかったので、他国についての情報は、協力・対立関係等を整理する程度に抑え、その代わりに自国の情報は細かい部分まで調べ上げました。(吉川くん)
大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。
用意してきた政策の内容には自信があったので、序盤は自分たちの政策をしっかり主張することに留意しました。また、グループ内の会話をホワイトボードにまとめるなど、議論を円滑化するためにできることを思いつく限りやりました。立場が異なる国との交渉では、互いの共通点をできるだけ多く見つけ、そこを起点に相手を自分の政策に巻き込んでいくことを意識しました。また、今回の会議の終盤ではコンセンサスが取れませんでしたが、最後まで国益と平和を目指せていたと思います。コンセンサスが絶望的だとしても、長い目で平和を目指したときには必要なこと、つまり自分たちの政策を対抗グループに説明することを続けました。これをやるかやらないかは、配役への没入度にもよると思いますが。(松田くん)
なるべく多くの大使と話をすることを心掛けました。自分たちの政策を議場で共有して行く上で、より多くの国やグループとコネクションを持つことはとても重要だと考え、立場の異なるグループと合併交渉をする際などにも、積極的に会話に加わりました。実際に話をする際に特に気をつけたことは、相手の話を真剣に聞くということです。相手の主張を真っ向から否定するようなことは決してせず、両者が納得できる妥協案を探るろうとする真摯な姿勢を示すことが、交渉をスムーズに進める上で大いに役立ったと感じています。(吉川くん)
会議を進める上で一番大変だったことを教えてください。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。
やはり会議の進行の仕方がわからないことが最大の問題でした。学校OBの模擬国連経験者の方にメールで会議の様子を伺い、自分でも何度か議論のシミュレーションをしました。特に、アンモデレート・コーカスの議論で戸惑うことのない様に、事前に自分たちの政策のアラを探して、それに対する反論を考えていたことは良い練習になったと思います。(松田くん)
最後に提出する決議案の文言を調整するのが大変でした。僕は、自分の所属するグループの文言作成にかなり深く関わっていたのですが、2日目の会議では、30分という短い時間で、各国の意向を盛り込んだ決議案を完成させなければならないという状況に陥ってしまいました。他の大使の方に大いに助けてもらいながら、できる範囲で作業の役割を分担することで、なんとか決議案を提出することが出来ました。決議案作成の際に限らず言えることですが、やはり大使同士で協力することは必要不可欠であると実感しました。(吉川くん)
皆さんのスピーチのタイミングはどのあたりでしたか。また、議場に向けてどのようなことを訴えましたか。
タイミングは、初日の1st Sessionの中盤です。このタイミングは非常に運が良かったと思います。まだ自分たちの政策をあまり共有できていない時間帯だったので、スピーチ内容は事前に用意していた政策を説明する一般的なものでした。(松田くん)
タイミングは、初日の9番目でした。まだ国同士でグループ形成が整っていない段階であったため、スピーチでは純粋に、用意した政策をはっきりと表明しました。早い段階で自国の主張を全体に共有できたことには一定のメリットがあったと思います。(吉川くん)
スピーチはどのように練習しましたか。特にこんなことを心掛けた、という練習方法や、その場で工夫したことなど、教えてください。
スピーチ自体はペアの吉川に一任していたので、僕は内容面で関わりました。(松田くん)
スピーチの原稿を自分たちで作り、英語科の先生に添削してもらった上で、実際に内容を話す所を聞いてもらい、頂いたアドバイスに基づいて修正をしました。英語は単語一つひとつが区切れていて、重要な部分を強調しやすいので、相手に自分たちが一番伝えたいことが明確に伝わるよう、それぞれの単語にはっきりとした強弱の違いをつけ、わかりやすいスピーチにすることを心掛けました。(吉川くん)
世界大会に向けての抱負を教えてください。
いま周りにいる大人や友人だけでなく、昔の友人や先輩後輩、そして大会関係者の全ての方々のおかげで得た貴重な機会だと思っています。大会を通して、将来に向けて沢山のものを得たいです。(松田くん)
努力を重ねて勝ち取ることのできた、国際大会出場の機会を無駄にしないようにしっかりと準備を整え、異なる文化や価値観を持つ外国の高校生と互いに刺激し合える有意義な模擬国連にするために全力を尽くしたいと思います。(吉川くん)