(2018年10月掲載)
メダルラッシュ 科学オリンピックの日本選手団
今夏、世界各国で行われてきた2018年国際科学オリンピックは終わり、参加した日本選手団は無事帰国しました。
科学オリンピックは、全国の高校生に科学の面白さと楽しさを体験してもらうためのコンテストです。数学、化学、生物学、物理、情報、地学、地理と、教科・科目に対応した7つの世界大会があります。厳しい国内大会の予選を勝ち抜いたそれぞれの日本チームは、科学オリンピックという世界の舞台でも、金、銀、銅メダルラッシュと活躍しました。
日本代表の成績は次のとおりです。
◆国際数学オリンピック
第59回国際数学オリンピックは2018年7月3日~14日、ルーマニア(クルジュ・ナポカ)にて開催されました。107カ国・地域から594名の代表が参加しました。
(国別順位13位)
【日本選手の成績】
黒田直樹 灘高校[兵庫]3年 金
清原大慈 筑波大学附属駒場高校[東京]3年 銀
新居智将 開成高校[東京]3年 銀
馬杉和貴 洛南高校[京都]1年 銀
西川寛人 愛知県立明和高校3年 銅
渡辺直希 広島大学附属高校1年 銅
◆国際化学オリンピック
第50囘国際化学オリンピックは、2018年7月19日~29日、スロバキア(ブラチスラバ)、チェコ(プラハ)にて開催されました。76カ国・地域から300名の代表生徒が参加しました。
(国別順位19位)
【日本選手の成績】
石井敬直 筑波大学附属駒場高校[東京]3年 金
西口大智 甲陽学院高校[兵庫] 3年 銀
増永裕太 聖光学院高校[神奈川]3年 銀
福本優斗 大阪星光学院高校3年 銅
◆国際生物学オリンピック
第29回国際生物学オリンピックは、2018年7月15日~22日、イラン(テヘラン)にて開催されました。71カ国・地域から269名の代表生徒が参加しました。
(国別順位17位)
【日本選手の成績】
石田廉 筑波大学附属駒場高校[東京]2年 銀
鳥羽重孝 灘高校[兵庫]2年 銀
鈴木万純 東京都立西高校3年 銅
濵笙子 桜蔭高校[東京]1年 銅
◆国際物理オリンピック
第49回国際物理オリンピックは、2018年7月21日~29日、ポルトガル(リスボン)にて開催されました。86カ国・地域から396名の代表生徒が参加しました。(国別順位10位)
【日本選手の成績】
大倉拓真 岡山県立岡山朝日高校3年 金
喜田輪 初芝富田林高校[大阪]3年 銀
末広多聞 大阪星光学院高校2年 銀
永濱壮真 大阪星光学院高校3年 銀
吉見光祐 灘高校[兵庫]3年 銀
※写真は、特定非営利活動法人 物理オリンピック日本委員会提供
◆国際地学オリンピック
第12回国際地学オリンピックは、2018年8月8日~17日、タイ(カンチャナプリー)にて開催されました。38カ国・地域から139名の代表生徒が参加しました。
(国別順位2位)
【日本選手の成績】
青沼恵人 筑波大学付属駒場高校[東京]3年 金
大野智洋 甲陽学院高校[兵庫]2年 金
田中匠 栄光学園高校[神奈川]3年 金
河村菜々子 高田高校[三重]3年 銀
◆国際地理オリンピック
第15回国際地理オリンピックは、2018年7月31日~8月6日、カナダ(ケベック)にて開催されました。43カ国・地域から167名の代表生徒が参加しました。
(国別順位31位)
【日本選手の成績】
佐藤光駿 早稲田高校[東京]3年
中尾俊介 洛星高校[京都]2年
長岡祐生 ラ・サール高校[鹿児島]3年
武藤彰宏 東京都立日比谷高校3年
◆国際情報オリンピック
国際情報オリンピックは日本で9月2日(日)から8日(土)まで日本で開催され、佳子様が開会式での初めての英語スピーチをされ、またその後選手団4人に対して応援のお言葉をお伝えいただいたことでも、また高専やN高の活躍でも話題になりました。(清水くんは河合塾K会出身。数学の清原大慈くんも。)
結果は、国としては12位で、各選手の活躍状況は以下のようでした。
日本代表選手団
★井上航 北九州工業高等専門学校[福岡]2年 金 7位
★細川寛晃 灘高校[兵庫]2年 銀 70位
★清水郁実 N高校[沖縄]2年 銀 94位
★行方光一 筑波大学附属駒場高校[東京]1年 銅 125位
開催国としての特別選手団
☆米田優峻 筑波大学附属駒場中学校[東京]3年 金相当 17位
☆岸田陸玖 京都市立堀川高校2年 銅相当 100位
☆平木康傑 灘中学校[兵庫]3年 銀相当 51 位
☆米田寛峻 開成中学校[東京]3年 銀相当 42位
地理オリンピック日本代表
東京都立日比谷高校3年 武藤彰宏くんから
図表を見て、頭を使い答えを求めるような地理の国際オリンピック。
武藤くんによると、地理の面白さも、また受験でも、趣味としても、楽しめる世界だそうで、
「文系理系を問わず、地理愛を持っている人ならば、誰にでも世界大会に出場するチャンスがあります。だから是非とも応募してほしい」と語りました。
今年のカナダ・ケベックでこの夏行われました大会の模様などについてお伺いました。
地理オリンピックの代表になってよく聞かれるのが、「国旗、全部知ってる?」とか、「国名、全部言える?」とか、そういう話ですが、地名の暗記はまったく関係ありません。地名や現象名などといった知識を問うものではなく、与えられたグラフや表をもとに考えるんですね。地理的思考力と僕たちは呼んでいるんですけど、それを解く出題となっています。日本で行われているTOEICや大学入試とは、ひと味違う問題になっています。地理オリンピックは他の科目のオリンピックと違って、定理や方程式といった類いのものはいっさいありません。その中で普遍的なもの、学問的なものをどういうふうに作っていくのか、どういうふうに問題が立てられているのかというのを考えるのが、すごく楽しかったです。
地理オリンピックならではの特徴に、筆記のテスト、マルチメディアテストのほかに、フィールドワークテストというのがあります。選手を全員スクールバスのようなものに詰め込んで、行き先を告げないまま1時間半ほどバスに乗り、フランス語しか通じないところで地図を作るテストでした。もう一つの特徴が、出題・解答がすべて英語で行われることです。翻訳の先生とかがいらっしゃらないので、英語力も非常に重要になります。
地理オリンピックはすべて英語で出題、英語で解答が義務付けられています。辞書の持ち込みはでき、一部の専門用語についてだけは、引率者会議の合意に基づき、引率者による翻訳が認められことになっています。
ただ文法表現の巧拙ではなく、適切な用語を用いて論理的な文章を構成していく力が問われているのだと、参加を通じて実感しました。実際、歴代の上位入賞国の多くは、非英語圏の国々が占めているそうです。
この辺りは、国際地理オリンピック日本委員会のホームページで紹介されています。ぜひお読みください。
→https://japan-igeo.com/geography-olympics/
もう一つの特徴に、ポスターセッションというものがあります。日本での最終選抜で、富士山の麓の静岡県三島市でフィールドワークをしました。この時まとめた内容を、いろんな国の代表に対してプレゼンをしますが、僕たち日本代表は浴衣を着て発表しました。
大会は7日間にわたって行われました。世界43カ国から165人の参加者があり、文化交流もたいへん盛んでした。なんといっても楽しかったのが世界中の地理好きとの交流ですね。そっちの国の進路はどうだ?とかほんとうにいろんな話をしました。
結果は、残念ながらメダルを一つも取れませんでした。来年は香港で開かれますが、来年の日本代表に選ばれる人にしっかりとした引き継ぎをおこなって、次回大会に備えていくように取り組んでいきたいと思います。
地理、地学、情報好き集まれ!!
2019科学オリンピックの出場者絶賛応募中!
〜11月15日(水)が締め切り
さて2019年国際科学オリンピックに向けて、国内大会の応募が始まっています。
◆日本地理オリンピック
日本地理オリンピックは、地図やグラフ、写真などの資料を駆使して解く問題が多く、とくに地図の上での「分析力」「思考力」や「判断力」が重視されます。
・応募期間 2018年9月1日(土)~11月15日(木)
・応募資格 2018年4月以降、大学およびそれに相当する教育機関で教育を受けていない19歳未満の者。ただし世界大会には、2019年6月末日に16歳~19歳の者から選抜。
・応募方法 郵送ウェブサイト
・参加費 無料
・第1次選抜 2018年12月15日(土)(予定) 場所:全国約30カ所(一般会場)を予定:*このほか特例会場がある 選抜方法はマルチメディアテスト
・第2次選抜 2019年2月下旬 場所:東京・大阪ほか(受験生の居住地を考慮して指定) 選抜方法は筆記テスト
・第3次選抜 3月中旬にフィールドワークテストを中心に行い日本代表者4名を決定
・国際地理オリンピックは香港で開催 日程:2019年8月
(国際地理オリンピック日本委員会)
◆日本地学オリンピック
日本地学オリンピックは、2008年から始まった高校生のための国内最大の地学コンテスト。地質・固体地球科学、気象・海洋科学、天文・惑星科学の3分野から筆記・実技の問題が出題されます。最終的に4名が国際大会に派遣されます。
・応募期間 2018年9月1日(土)~11月15日(木)
・応募資格 中学生・高校生
・応募方法 郵送・ウェブサイト
・参加費 無料
・予選 2018年12月16日(日) 全国約80カ所の会場(大学・高校)で実施 筆記試験(マークシート)により約60名を選抜
・本選 2019年3月10日(日)~12日(火) 場所:茨城県つくば市 筆記試験(記述)、岩石・鉱物鑑定により日本代表者候補者10名を選抜 2019年3月12日(火)~13日(水)茨城県つくば市にて筆記試験・面接等で日本代表4名決定
・国際地学オリンピックは韓国で開催 2019年9月頃(予定)
(地学オリンピック日本委員会)
◆日本情報オリンピック
日本情報オリンピックは、情報科学の問題解決力と技能を競うコンテストです。予選はウェブ上でおこなわれ、自宅や学校から参加できます。論理的思考力とプログラミング力が求められますが、正式上位者4名が世界大会(国際情報オリンピック)に進出できます。
→詳細はこちら→https://www.ioi-jp.org
・応募期間 2018年10月9日(火)~12月6日(木)
・応募資格 高校生(相当)以下
・応募方法 ウェブサイト
https://contest-kyotsu.com/Informatics/Top
・参加費 無料
・予選 2018年12月9日(日)ウェブ上にてオンラインで実施。PCを使った競技で、本選に約90名を選抜。
・本選 2019年2月9日(土)10日(日) 場所:茨城県つくば市 PCを使った競技で春季トレーニング合宿に招待される約20名を選抜
・国際情報オリンピックは、アゼルバイジャンで開催(日程は未定)
(情報オリンピック日本委員会)
河合塾 K会のご案内、科学の甲子園も始まる!
◆河合塾 K会
河合塾の東京・本郷にあるK会では、科学オリンピックの出場を競う中高生も集まる日本有数の塾。
国際情報オリンピックの団長の小倉さんなど、科学オリンピック国際大会の金・銀・銅受賞者の先輩、また多くの元出場者も指導する、理数や言語分野の学問の先端の授業が受けられ、最高の知的好奇心が喚起される塾です。
数学の清原くん、情報の清水くんなど、ここで学び大会にで活躍されました。様々な通常講座、冬、春の集中講座がありますので、ぜひのぞいて見てください。
詳しくはこちら→https://www.kawai-juku.ac.jp/kkai/
◆科学の甲子園
日本国内では、来年3月にさいたまスーパーアリーナで行われる「科学の甲子園」本選の各都道府県ごとの予選大会も11月までに向けて、本格化されます。
女子チームも年々増えてきてその活躍は期待されるところ。自分の、そして地元の高校の戦う模様も、ぜひとも、各都道府県大会をチェックし応援しよう!!
第8回大会の案内はこちらから
http://koushien.jst.go.jp/koushien/index.html
都道府県予選の日程
http://koushien.jst.go.jp/koushien/selection/pdf/h30_schedule_180823.pdf