第18回模擬国連会議関西大会高校生会議 出場者の声

自分の模擬国連スタイルを見つめ直すいい機会に

古賀大陸くん 灘高校[兵庫県] 2年

カメルーン大使 

(2018年8月取材)

あなたの担当国は、「2030年までの教育目標」について、どのような立場を取っていましたか。

カメルーン共和国は、今回のアジェンダに対して、論点2の「質の高い教育の最低限の共通定義」を優先して決めるというスタンスでフォーラムに臨みました。今回の会議までの過去15年間の、国際社会における世界的教育水準を高めていこうという動きに対しては、カメルーンとしても大いに賛成していたのですが、そのあまりにも高い目標設定と、教育を受けられるか否かというところに焦点を置いた政策の数々によって、国内の就学率、識字率は向上したものの、それに教員の質や教育に必要な物資(机やいす、教室など)が追い付いておらず、カメルーンの教育は非常に混乱おり、問題に対して現状を踏まえた早急な対策が必要だと感じました。

 

ですから、カメルーンは教育のアクセシビリティではなく、クオリティをもう一度見直す必要性があることを、今回のフォーラムを通して国際社会に強く訴えたいと思っていました。

 

 

模擬国連関西大会出場に向けて、どのような準備をしましたか。

 

大きく分けて二つあります。一つ目はリサーチ、二つ目はプロシージャ(会議のルール)の理解です。

 

一つ目のリサーチについては、今回参加する「2030年までの教育フォーラム」に至るまでの歴史的経緯やそれらを通して自分が思うこのフォーラムの歴史的意義などについて調査・推測をした後、カメルーンの教育分野における状況や問題点を洗い出して「ではカメルーン共和国という国はこの会議においてどのような役割を担うべきなのだろう」という、いわゆる議題と国との関係性を考察しました。

 

リサーチの次はプロシージャの理解ですね。特に今回の会議は、普段の高校生会議とは違って、大学模擬連に寄せたプロシージャが採用されていたので、そこの違いを理解することは会議を円滑に進めるのにおいて非常に重要でした。アンモデ(非着席討議)やモデ(着席討議)、スピーチには何分かけていいのか・それらの延長は認められているのか、議長裁量はあるのかなどの確認を通して、できるだけ本番で時間の無駄が出ないよう心がけました。

 

個人的には、模擬国連は本当に時間との戦いだと思っているので、準備は会議中でのリスクの数々のうち、自分が準備段階でなくすことができるものを見つけて、それをなくしていくという作業でもあると思います。その後、実際にカメルーンが達成すべき目標を基に具体的な会議行動を考える、というような流れでした。

 

 

大会当日は、どのようなことに気をつけながら会議に臨みましたか。特に今回は、一人で大使を務められましたが、その点について心がけたことがあれば教えてください

 

まず、一人で会議に臨むということについては、「自分がすべき仕事だけをして、かつその仕事を最大限までに効率化する」いうところに重点を置いて会議に臨みました。ふだんならペアに任せていることも自分でしなくてはいけなくなるという状況で、カメルーンの国益を最大限達成するためには、極限までに無駄を省く必要性がありました。現状を客観的な目線から分析して、目的達成から逆算し考え、必要なことをリストアップした後、それらを最も効率的に時間内に組み込んでいくという作業を繰り返し行いました。正直大変でしたが、今会議をシングルで臨んだことは、ペアで出るときにも生かせるようなことを多く経験できたので、とても良い機会になったと思います。

 

シングルで臨むというところ以外では、リーダーとしてグループのメンバー全員が積極的に議論に参加できるようなファシリテーションに関して、常に考えながら会議に臨みました。特に今回のフォーラムは、会議が開催されたという設定の2015年から2030年までの15年間にわたってずっと議論のベースになり続ける極めて重要な決議が採択されるものでしたので、15年後を見据えて全参加国の意見が必要になります。どうすれば、グループ全員の意見をうまく聞き出して妥協点を探りながら、自国にとって有益であるとともに自グループのメンバーにとって有益な文書案を作れるのかというところは、常に考える必要がありました。

 

 

会議を進める上で一番大変だったことを教えてください。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。 

 

会議を進める上で最も大変だったのは、後半の交渉に入ったときに、議場全体の動きを理解することでした。ふだんは、自分とペアとで、グループをまとめるのと外との交渉を分担するのですが、今回はそうもいかなかったので、交渉の前は焦る場面も何回かあったような気がします(笑)。

 

ただ、僕たちのグループは、早い段階から全員で時間をとって政策を細かく確認し、グループの政策の理解を深め、「誰かの意見」ではなく「みんなの意見」にする努力を全員でし続けた結果、うまく役割分担をして交渉に臨むことができ、実際は大変でしたが、それでも想定していたよりはきつくはありませんでした。時間を気にしつつ、それでもきっちり確認しないといけないところを確実に進めていくことができたため、円滑に交渉を進めることができたのだと思います。

 

模擬国連関西大会に参加した感想をお話しください。

 

総じて、とても有意義な経験になりました。まず一番に多くの同世代モギこっかーに出会って、それぞれのユニークなスタイルを見られたことによって、自分の模擬国連のスタイルをもう一度見つめ直すいい機会になりました。ほかの理由としては、会議中で起こる予測不可能な事態に対して、「素早く現状分析」→「目的達成に必要な要素のうち今足りていないものをリストアップ」→「時間内に最も効率的な形で組み込む」という、最善の会議行動を選択するためのプロセスを実際の会議で実行できたので、とてもよかったです。

 

感じたこととしては、模擬国連は国益を達成することが目標ではありますが、その際に「周り」を常に意識しないといけないということです。会議を通して、ただ国益の達成のためだけにしか動いていなければ、模擬国連という「競技」において評価は得られにくいのかなと感じました。いかに一大使として国益も守りつつ、その国益を国際益に変換していくのか、「国」の意見を「みんな」の意見にするのか、そしてそれに向けて影響力をどのような手段で行使していくのかというのは、非常に重要だと感じました。

 

※古賀くんは、タスク・会議行動すべてを通じて、国益の設定を正しく行い、それを実現するために適切にフロント、フロアに対し発信を行い、国益及び国際益を最も達成した大使に与えられるBest Delegate Awardを受賞しました。

 

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