高校模擬国連国際大会、NYの国連本部で開催! 今年も日本チームの健闘が光る!!
国際連合工業開発機関
(UNIDO:United Nations Industrial Development Organization)
『Sustainable production of biofuels in developing coutries
(発展途上国におけるバイオ燃料の持続可能な生産)』
(2018年5月取材)
■世界大会に向けてどのような準備をしましたか。
日本における模擬国連会議の準備とほとんど変わりません。すなわち、担当国ウルグアイの情勢、議題である途上国におけるバイオ燃料の生産、そしてウルグアイとバイオ燃料の関わりなどを入念に調べました。
ただ、英語力は他の参加者に劣るため、自国の意向を他国にわかってもらうための準備を、日本の模擬国連会議に参加するとき以上に行いました。議場で配る資料を作成したり、様々な状況に応じたスピーチを用意したり、英語力で負ける部分について、準備で補える面は補うようにしました。
■準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。
日本の模擬国連会議よりも、当日になるまでわからない部分が多いことです。日本の模擬国連会議では、事前に公開される議題概説書において議論されるべき範囲や論点が指定され、参加する国が公表され、さらに当日のタイムスケジュールも公開されるため、会議をどのように進めるのか、事前に戦略を練ることが容易です。一方で、国際大会においては、議題のどのような側面が議論されるのかがわからないだけでなく、そもそも何カ国、どのような国が参加するのかさえわからないという状況でした。これに対して、当日臨機応変に対応する柔軟さを残しつつも、考えられるような論点に関して全て対策を行い、国連工業開発機関全加盟国に関して議題との関わりを簡単に調べておくなど、様々なパターンに備えておくようにしました。
■各国の高校生と出会って、日本の高校生はこんなところがスゴイ!と思ったことを教えてください。
日本の高校生だから飛び抜けて「すごい」、と感じることはありませんでしたが、日本の高校生として当たり前のように普段から行なっていることが、意外にも世界の中では他の人との大きな差となると気づきました。
こうした会議に参加するにあたって、日本の高校生は真面目に準備して臨みます。入念に準備した結果、議題に関する知識を豊富に持っていれば、いくら相手が流暢な英語でもっともらしい主張を繰り出したとしても、その欠陥を指摘することができます。あるいは、日本の高校生活の中で、大勢の中で意思決定をする場面は多々ありますが、その際には全員の同意が最終的に取れることを重んじる傾向があります。これに対して、国際大会において、私が属さなかった交渉グループでは、一握りの国が自国の意見をまくしたて合う状況となり、最終的に全ての国の意見を反映し、全ての国の同意を得られていたのか、疑問が残る結論となりました。私が議論を主導した交渉グループでは、適宜一旦議論を止めて、全ての国の同意を得られているか確認しており、これが他のグループとの大きな差となりました。
また、日本の高校では時間を守るように常日頃言われており、私が主導したグループは成果文書の提出期限を守りましたが、他のグループは期限を過ぎても作業を続けており、これは後ほどの交渉力の差となりました。
このように、日本の高校生として、自分の中で当たり前だと思い、その価値をあまり認識していなかったようなことが、他国の高校生と比べたときに大きな差となったと思います。
■会議を進める上で一番大変だったことは何ですか。
議論を一旦止めて、参加者の間で非公式に話すことができるような時間が日本の模擬国連より圧倒的に短かったため、一対一で他の参加者と交渉する時間が短かったです。このため、会議の始まる前後や昼休みに個別に話したり、場合によってメモを送ったりするなどして、なるべく個別に接触する機会を持ちました。
■大会を通して、あなたが一番頑張ったことを教えてください。
やはり英語のトレーニングを一番頑張りました。日本で模擬国連会議を数多く経験してきたため、英語力さえ磨けば、国際大会でも十分通用するはずだと見込んでいました。特に国際大会はスピーチを行う場面が多いため、オバマ前大統領やコフィー・アナン元国連事務総長などのスピーチを聞き、暗唱することにより、スピーチの技術や国連の場で相応しいような発言内容を研究しました。これに加えて、スピーチで使えるような統計資料や決め台詞をすぐに言えるように練習したことで、事前に原稿を用意していないようなスピーチでも、自分の中で納得できるようなものを作り上げることができました。
■今回の大会も含めた旅行全体で、最も印象に残ったことは何ですか。
(※海外在住経験あり 3年間)
海外に生活していたことはありますが、このように「日本代表」の形で海外に赴くのは初めてでした。準備期間中は他国の参加者に圧倒される自分を何度も想像してしまいましたが、会議の形式など細かな違いがあっても、また、英語力に差があっても、日本の模擬国連会議や日本での生活で培ってきたことが通用したことが嬉しかったです。