つくばサイエンスエッジ2018

音楽を聴くとくるくる動く植物の葉のふしぎ~マイハギの葉と音の関係研究 【生物】

大妻嵐山中学高校[埼玉] サイエンスクラブ

山下絵理子さん 加賀田栞里さん 関口姿文(しふみ)さん 芹澤仁希さん 正木利朋さん

(2018年3月取材)

(左から)山下絵理子さん 加賀田栞里さん 関口姿文さん 芹澤仁希さん 正木利朋さん
(左から)山下絵理子さん 加賀田栞里さん 関口姿文さん 芹澤仁希さん 正木利朋さん

 

マイハギってどんな植物?

音に反応して動くマイハギという植物は、マメ科で、高さ0.8~1.5メートルの常緑低木。東スリランカ、フィリピンが原産地の熱帯、亜熱帯性の植物です。音に反応して葉が旋回するのはマイハギの側小葉と呼ばれる箇所です。


 

私たちは、静かな場所にマイハギを置いて、立体的に解析できるように、ビデオカメラ2台で2方向から撮影するという実験をしました。その映像を、電子黒板に写し、葉が動いた距離を、縦方向、横方向に分解し、実際の距離に換算し、分析しました。

 

J-POP、クラシックより、コンピュータ音が好き! 

この研究は私たちサイエンスクラブの先輩から引き継がれたものです。先行研究で、音階とオクターブ、楽器の種類、曲によって、どうマイハギの葉の動きが変わるがわかっています。

 

まず音階では、ドレミファソラシのなかで、シという高い音で、マイハギの葉は最も活発に動くということ、しかもオクターブが高い音域の方が活発だということが明らかになっています。楽器の種類では、オルガンの音に一番反応します。

 

曲目の種類では、クラシック、J-POPなど、いろいろな曲を比較して調べましたが、その結果、コンピュータ音のような電子音が一番動くということがわかっています。

 

今回の実験Ⅰ~音量を上げると、マイハギの葉は動くか?

今回、私たちはさらに2つの新しい実験を行いました。1つ目は、音量によってマイハギの動きはどう変わるのかという実験です。音量を12段階変えられるシンセサイザーのオルガン音を使い、音階の「シ」のオルガンの音を、無音から2段階ずつ音量を変えて流し、その時のマイハギの動きを2方向のカメラで撮影しました。

 

意外なことに、無音のときに一番動くという結果になりました。音量を上げても反応の規則性が特にありませんでした。

 

実験Ⅱ~室温18度でマイハギの葉は最も動いた!

実験の2つ目は、温度との関係を調べるものです。

 

シンセサイザー音で一定音量の「シ」のオルガン音を流し、室温を15度から30度まで上げていったときの、マイハギの様子を調べると、室温18度でマイハギは一番よく動くこと、その次に30度、25度の順で動くことがわかりました。

 

この結果から、温度はマイハギの動きに影響を与える因子の1つであり、マイハギの原産地の平均気温が高いことと関係しているのでないかと考察しました。

 

今後の展望~マイハギの葉がくるくる動く原理を調べたい

今後は、音に反応してマイハギが動く原理を調べるために、電気生理の実験を行う予定です。ハエトリソウのような食虫植物では、虫が近づいてきたときに動く、食運動の活動電位のようなものが観測できると聞いたことがあります。マイハギの運動にもそのような活動電位の変化があるのか、実験してみたいと思っています。

 

メンバーへのインタビュー~実験中、おしゃべりは厳禁!

――この研究で一番苦労したことは何ですか。

 

女子部員:人のしゃべり声でも反応してしまうので、実験のとき、みんな静かにすることです。マイハギの反応は本当に繊細で、ストレスをかけてしまうといけなくて…。だから実験中おしゃべり厳禁でした(笑)。

 

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