全日本高校模擬国連大会2017

担当国の国情を綿密にリサーチ、皆が話し合える場を作ることでグループを盛り上げた

浅野高校[神奈川県]

水口幸生くん(2年)、高田陽一郎くん(1年) 

担当国:スロバキア 

(2017年11月取材)

左から 高田陽一郎くん、水口幸生くん

写真提供 グローバル・クラスルーム日本委員会

 

1.担当国を希望した理由をお教えください。

 

私たちはジェンダー平等に対して超先進的なスウェーデンやオランダなどを希望していたのですが、残念ながら希望は通りませんでした。結果、希望していたわけではないのですが、スロバキアという、超先進的ではないけれども、推進派の中では中立的なスタンスの国として、コンセンサスに向けて動くことのできる国を担当することになりました。

 

2.担当国のジェンダー平等に対する姿勢と、国際社会で問題になる(と考えられる)点を教えてください。

 

スロバキアは、ジェンダー不平等指数では33位、その分野の教育分野においては世界1位と、推進派といえるスタンスを取っています。ただ、過去に、ローマ法王に助言された大統領提案で、同性婚を法律で禁止するかどうかを問う国民投票が行われた際に、投票率が5割に満たず白紙に戻されるということがあり、その点について理解するのにとても苦労しました。

 

3.準備の段階で苦労したことや、工夫したことがあれば教えてください。

 

スロバキアでは、ジェンダー平等はあまり大きな話題ではなく、国として国際社会の場でジェンダー平等に関する発言をすることがめったになかったため、スロバキアのスタンスを見極めるのに苦労しました。また、英語で調べるとたくさんの資料や国連文書が見つかり、限られた時間でどこまでリサーチを行えばいいのか、情報の取捨選択に苦労しました。(水口くん)

 

プロシージャ(会議の手順・ルール)が例年と違い、とても特殊だったので、その点について理解することに苦労しました。特に論点1ではDD(宣言案)という特殊なものが存在し、議題解説書をしっかりと読み込んで、疑問点は質問するなどして対処しました。(過去に、ローマ法王に助言された)大統領提案に対する国民投票については、自国のスタンスに関わる重要な問題だったので、大使館や外務省の欧州課の方のお話を聞いて対処しました。(高田くん)

 

写真提供 グローバル・クラスルーム日本委員会
写真提供 グローバル・クラスルーム日本委員会

 

4.大会当日は、どのようなことに気をつけながら会議に臨みましたか。

 

自国の主張・他の大使の主張が国際社会に反映され、世界においてジェンダー平等が進展できるようにする、という目的意識を持って会議に臨みました。そして、議論が堂々巡りにならないように気をつけました。特に今回は、ジェンダー平等という抽象的な議論が必要な議題であったので、異なる立場の国にどうすれば自国の主張が伝わるのかを考え、話し合っている内容が常に共有できるように「伝え方」を意識していました。(水口くん)

 

それぞれの国の国益を守ること、形成されたグループの雰囲気をよくしていくことに常に気を配りました。立場が異なる国に対しては、まずジェンダー平等を進めたいことで意見を一致させた上で意見を聞くことで、争点を自分たちのほうへ近づけていけるように話しました。  (高田くん)

 

5.会議を進める上で一番大変だったことを教えてください。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。

 

今回の会議では、全ての国で1つの宣言を作ることが求められていて、全く異なった立場の国同士で合意を形成することが大変でした。それを乗り越えるには、粘り強く交渉を重ねて、妥協点を見出すしかなかったので、いろいろな国の大使に話を聞きました。そして、交渉では常に議論の本質を見極めて、議論の目的や方向性を見失わないように気をつけました。(水口くん)

 

グループの雰囲気を常によくするようことが一番大変でした。その際巨大なホワイトボードを使うことでグループをまとめることができました。また、途中グループが割れそうになった時も、メンバーの一人ひとりに声をかけて、一対一で意見を聞きそれをまとめて全体に共有、みんなで話し合えるグループ作りを頑張りました。

最終的には、いくつかの国と合意ができず、スロバキアは離反することになったのですが、その時も多くの国が自分たちについてきてくれて感動したことを覚えています。(高田くん)

 

6.皆さん自身はジェンダーの平等についてどのような考えを持っていますか。また、それは今回の担当国の立場とどのような点が同じ(あるいは違う)でしたか。

 

ジェンダー平等を進展させ、全ての人の人権が守られるようになることが重要だという考えが、スロバキアのスタンスと一致していました。(水口くん)

 

私が通う浅野高校は男子校で、ジェンダー平等とは程遠い環境だったのでそのことについて考えたことはほとんどありませんでした。しかし、会議を通じてFGMなどの凄惨な現状を知るにつれて模擬国連という形で少しでも救えたらいいなという気持ちが強くなり、リサーチに熱が入りました。(高田くん)

 

7.世界大会に向けての抱負を教えてください。

 

世界大会は、国籍も、母国語も違う、多様なバックグラウンドを持った人に会える機会なので、どんな考えを持った人とどんな議論ができるのか、今からワクワクしています!そして、自分の持てる力を最大限発揮し、それが世界でどれだけ通じるのか楽しみです!!(水口くん)

 

浅野高校はおかげさまで2年連続世界大会に出場することができました。去年惜しくも賞を取ることができなかった先輩の気持ち、当然ですが全日本高校模擬国連大会に参加した皆様や、最後まで一緒についてきてくれた仲間の気持ちを胸に、一生懸命頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします!(高田くん)

 

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