模擬国連に挑戦!~第1回高校教育模擬国連大会

大使として参加した皆さんに聞きました

逗子開成高校[神奈川県] 前田隆志くん(2年)、林優哉くん(2年)、市岡彪吾くん(1年) 

担当国:マーシャル諸島 

(2017年8月取材)

■皆さんの担当国は、核軍縮についてどのような立場をとっていましたか。

 

僕たちが担当した国・マーシャル諸島は、日本でも有名な第五福竜丸事件が起きたビキニ環礁が属している国です。また、あまり知られてはいないのですが、第五福竜丸が巻き込まれた事件以外にも相当な回数の核実験が戦後アメリカによって行われてきました。そのため、もちろん被爆者の数もとても多く、核軍縮は大いに進めたい立場でした。しかし、金銭的事情により現在アメリカに国防と軍事の権限を委ねており、アメリカに強く軍縮を迫るのは難しい立場でもありました。そういった事情もありましたが僕たちは世界でも数少ない「被爆国」としてこれ以上、自分たちのような被爆者を出さないために核軍縮を強く推進しました。

 

■教育模擬国連に向けて、どのような準備をしましたか。

 

マーシャル諸島と聞いて「あ、あの国か!」とピンと来る人はあまりいないと思います。僕たちも初めは名前を知っているだけでどんな国かはよく知らなかったです。

 

そこで、まずはインターネットで調べました。しかし、「ビキニ環礁が属している国で日本以上の被爆国である」といったような概要のデータはあったのですが、日本語では詳しい情報はあまり出てきませんでした。そのため、今度は英語のデータを調べ始めました。それでも今までの条約に対する評価等といった詳しいものは出て来ませんでした。

 

そういったこともあり、最終的には出版されている本や今までの核問題に関係する国連文書をできるだけ多く読んで、どういった内容の決議に賛成しているかなどをチェックして、国の情報を集めました。そしてその後は、自国にとって、そして世界にとっても利益となる軍縮政策を自分たちで考えたり、他国についての情報を集めたりしました。

 

■準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。

 

リサーチの時に欲しい情報になかなか辿り着けず、結局わからなかった事柄もいくつかありました。(林くん)

 

マーシャル諸島の軍事関連に関して調べた時、資料が少なかったので、情報集めが大変でした。(前田くん)

 

最も苦労したのは、やはり国の方針を細かく決めるための情報探しだと思います。「核軍縮賛成」という立場をとっているというような、大まかな事はわかりましたが、では「CTBTのどこに賛成でどこに不満を持っているのか」といったような細かい部分については、手に入った情報から予測して考なければいけませんでした。またこの過程で、少し専門的な内容や僕らには馴染みの薄い内容も幾つかあったので、情報が見つかった時でも苦労しました。

ただこういった国を担当するのは初めてだったので、非常に良い経験になったなと思います。(市岡くん)

 

■大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。

 

失言をしないことです。自分は模擬国連の出場が浅く、うっかりミスをすると、一大使として自分のパートナーに影響してしまいます。それを防ぐように、注意深く発言するようにしていました。(林くん)

 

内政でマーシャル諸島の属したDRの内容を様々な国に正しく伝えることです。(前田くん)

 

凄い大使が周りに大勢いる中で、その渦に呑まれずに自分の国の主張をして、できる限り自国の政策を決議案に反映させるように心がけました。ほぼ全ての国の大使が提出国になろうと争う中で、当日は運が良かったこともあって、決議案の提出国としてブロックの中枢を担い、多くの交渉の末ほぼ全ての政策を決議に取り入れることができました。それでも改善点が多くあるので、まだまだ満足できる会議には程遠いものでした。(市岡くん)

 

■会議を進める上で一番大変だったことを教えてください。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。

 

いかに自分の得意な領域に持っていくかという点です。自分は生粋の理系で、正直言って条約や取り決めなどはよくわかりません(一応一通り見ていきますがどうしてもボロが出てしまいます)。だから、条約を出されて話を進められると簡単に反論できません。

 

しかし、理科の分野ではかなりアドバンテージがあると自負しています。他のグループのDRに対して全く異なる角度や予期せぬ方向から疑問を呈することができます。だから、他のDRを物理学や地球科学、化学などの多角的な視点から見た時、矛盾点がないかを探しました。(林くん)

 

決議案をまとめて行く上で内政を担当した時、様々な要求を持った国々をまとめられるように、その国の大使のところへ赴き話し合いを行いました。また、他のDRとのコンバインのために、他のDRのところへ、話を聞きに行きました。(前田くん)

 

形成したブロックのメンバーをまとめることでしょうか。提出国となって行動する経験が今までほとんどなかったこともあって、話すのも緊張しましたし、どのように進めたらいいのかわからないこともありました。これは、経験が豊富な他の大使と協力をしたり、不安ではありましたが「自分が正しい」と思う方法でメンバーを取り仕切ることを意識して乗り越えました。

そういった過程で、いくつかの大使さんの行動に大いに感銘を受けたこともありました。非常に反省の多かった部分ですが、今回提出国としての経験を積むことができたので、今後はより円滑にいろんなことを進められるようになると思います。(市岡くん)

 

■教育模擬国連に参加した感想をお話しください。

 

これが自分にとって2回目の会議でしたが、正直うまく立ち回れませんでした。しかし使用言語が全て日本語だったので、自分の主張したいことを円滑にかつ適切に話せました。自分の主張は全てDRに盛り込むことができたので、満足しています。(林くん)

 

模擬国連に参加するまでは、会議というと学級会レベル。国際的な話は遠い世界の話でしたが、模擬国連に参加するようになってからは、それらへの見方が変わって見ることが面白くなりました。参加し始めてよかったと思います。(前田くん)

 

今回はマーシャル諸島という、あまりメジャーではない国を担当することができて本当に良かったと思います。もちろんリサーチの難しさはありましたが、それでも今まで全くといっていいほど知らなかった国について詳しく調べて、その国なりの事情を考慮しながら政策を考えていく過程が楽しく感じられましたし、核軍縮という問題についても新たな視点が見つかりました。

 

また、提出国という立場を経験して、内政で皆を取り仕切ったり役割分担をしたり、そして外交として決議案を初めて作ったりすることで、自分に足りない所が多く見つかりましたし、他の大使を率先して引っ張っていくことの難しさを実感しました。またそれと同時に、全国から集まった、凄くて個性のあるいろいろな人と友達になったり関わりを持つことができたので、彼らから非常に影響も受けました。

 

今回、多くの壁にぶち当たって自分の満足いくような会議行動をすることができませんでしたが、この失敗経験からたくさんの事を学んで成長することはできたと思います。この経験を、これ以降の会議や普段の生活にも活かしていきたいです。(市岡くん)

 

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