模擬国連に挑戦!~第1回高校教育模擬国連大会

大使として参加した皆さんに聞きました

玉川学園高等部[東京都] 石原桃子さん(2年)、ヴェムリ・ハルシュくん(1年) 

担当国:イラン

(2017年8月取材)

■皆さんの担当国は、核軍縮についてどのような立場をとっていましたか。

 

イランはそれまで核開発を行なった歴史がありましたが、今回の会議のスタンスとしては核兵器の開発を放棄し、核開発の目的は「核の平和利用」のみにすることにしました。これによってより世界を安全で安定したものにできると考えました。

 

■教育模擬国連に向けて、どのような準備をしましたか。

 

私たちは自国の考えを効果的に他国に伝え決議案の内容に反映するために、自国の政策のキーワードをボードに書きました。これがあったおかげで、似たような考えを持つグループで集まった時に自国の考えをよりわかりやすく説明することができたと思います。また決議案の草案も同時に作成していき、自国の考えを文にすることで政策の内容を整理することができたと思います。

 

その他にも核に関する知識を増やすために、実行委員会から配布されたバックグラウンドガイドやニュースなどで、できる限り多くの情報に触れるようにしました。

 

■準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。

 

会議の開催が夏休み中ということもあり、ペアと十分な打ち合わせができず事前に自国の状況や政策を書き提出するポジション・ポリシーペーパーの内容が十分なものではなかったと思います。その上、担当国のイランは核軍縮の会議では非常に難しい立場にあります。そのため、政策をどのように伝えたら他国に理解してもらえるか、自国の弱点を指摘されないか苦労しました。(石原さん)

 

他の国の思惑や、DR草案の準備などに苦労しました。(ハルシュくん)

 

■大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。

 

私は、他国の大使の話を聞き流さずに、積極的に質問することを心掛けました。

 

大会初日、最初のアンモデレートコーカス(非公式討議 : 席に座らずに自由に交渉することができる場)では、似たような考えを持つ国で集まることが多いです。そこでは集まったグループで各国の政策などを共有することがあります。その時に自国の考えを伝えるだけでなく、他国の考えについて質問することで、自国の存在感を示すことができました。またこのような関係を作っておくことで、自国の考えを言いやすくなり、自国の政策を決議案に入れてもらう交渉がスムーズに進みやすいと感じました。

またペアとの連携にも気を配りました。交渉の時は、基本的にペアとは別行動になります。そのためお互いが今何を行っているのか共有することで、意思統一を行うことができました。(石原さん)

 

まずは中東エリアの団結が重要だと思ったので、中東の国々と交渉をするようにしました。(ハルシュくん)

 

■会議を進める上で一番大変だったことを教えてください。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。

 

私が一番大変だったことは、考えをわかりやすく簡潔に伝えることです。政策や決議案の内容の交渉ももちろんですが、交渉するには考えを伝える能力が最も重要だと実感しました。

私たちは、事前に自国の政策や考えを書いたボードを用意していました。しかし、ボードに書いてある内容だけでは理解してもらえず、交渉するときにも内容についてわかりやすく説明することが求められました。また会議中に行われるスピーチでは制限時間の中でどれだけ言いたいことをわかりやすく簡潔に伝えるか苦労しました。

私は、政策の説明が上手なペアに頼んで、どのように説明したらわかりやすいかを聞き、言うべきことと言わなくてもいいことを書き、自分から他国に対して説明を重ねることで次第に慣れていくことができました。(石原さん)

 

フレンドリーアメンドメント(友好的修正案)であるにもかかわらず、途中で修正案のグループから多くの国が抜け始めたため、抜けてしまう国の数を抑えるようにすることが大変でした。(ハルシュくん)

 

■教育模擬国連に参加した感想をお話しください。

 

今回の全国教育模擬国連では、全国から集まった人と会議をできたことが魅力的でした。例えば初日に行われた交流会では、学校や学年を超えて模擬国連の話題やその他の話題について話すことができました。中学生のころから同じ学校に通っている私にとって、異なった視点から物事を考えることができる他校の人と話せた時間は充実していました。

また最近話題になっている核について様々な国の視点から考える良い機会だったと思います。私は生まれてから今までずっと日本で生活をしてきたので、日本としての見方になりがちです。今回イランとして核について考えたことで、物事を多面的に捉える難しさと価値観の違いを実感しました。

そして会議開催の8月は日本にとって終戦の月で、戦後72年でした。唯一の被爆国である日本にいる私たちが核について議論できたことは貴重な経験です。これからさらに核を取り巻く問題について知りたいと感じました。(石原さん)

 

全部日本語で会議を行うという新たな会議形式は初心者には良いと思いますが、経験者は英語があった方が良いのではないかと思いました。僕自身は、特にスピーチくらいは英語にしても良かったのではないかと思いました。ただし、全国からたくさんの人が集まって行う会議は少ないので、その機会が増えたことは嬉しいです。(ハルシュくん)

 

河合塾
キミのミライ発見
わくわくキャッチ!