(2017年8月取材)
豊島岡女子学園高校[東京都] 関根季織さん(1年)、豊田美礼さん(1年)
担当国:エチオピア
■皆さんの担当国は、核軍縮についてどのような立場をとっていましたか。
私たちは、核不拡散条約で認められた5か国以外は核兵器を保持するべきでなく、核の平和利用に関しては、国際機関のもとで先進国と発展途上国が協力して行うべきだという立場をとりました。また、私たち自身は非核兵器地帯に所属しており、核兵器の保持も生産も行っていません。以上の考えを実現するため、5か国に非核兵器地帯を認めてもらい「核の傘」をなくすこと、IAEAを利用すること、五か国で会議を行い、核兵器の保有情報や削減目標を全世界に公表することで透明性を確保することを案として挙げました。
■教育模擬国連に向けて、どのような準備をしましたか。
私たちが一番重点的に行ったのは、自分たちの担当国だけでなく他の国についても調べることです。その国が譲れないであろう点によって交渉の内容、手段が変わってくるからです。また、どの国とどの国が同じ、または違う立場にいるかを知ることによって、より現実的な条約を考えられたと思います。
■準備の段階で苦労したことがあれば教えてください。
担当国がエチオピアで、核とのかかわりが深い印象はなく、エチオピアについての情報が得にくかったことです。(関根さん)
一番苦労したことは、担当国であるエチオピアの立場に立って政策を考えることです。会議の前にPP(ポジションペーパー)を作るのですが、得ることのできた情報が思ったよりも少なく、どのようにすればエチオピアの人々が利益を得られるのかを考えるのが大変でした。しかし、大変だったと同時に、別の視点から物事を見る良い経験だったと思います。(豊田さん)
■大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。
1人が同じグループの国の意見を聞いている間に、もう1人が他のグループと交渉に行くというように別々に行動して、より多くの国の意見を取り入れることに気を付けました。(関根さん)
自分の主張をできる限り曲げないことです。もちろん、妥協することも話し合いの中では大切ですが、模擬国連のように、それぞれがしっかりした意見を持っている場では、妥協してばかりいるとボトムラインさえも守れない場合があります。譲れない所は、「ここで折れたら困るのは国民なんだ」という気持ちで、強気で交渉するよう心掛けました。(豊田さん)
■会議を進める上で一番大変だったことを教えてください。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。
複数のグループが同時に交渉に来たときです。アンモデレートコーカスの開始前に、2人で交渉の優先順位や順番、分担を決めて臨みました。(関根さん)
コンバイン交渉の時に、自分たちの国のことだけでなく決議案の署名国全ての事情を考えながら交渉を行ったことです。相手国のグループとだけでなく、自分たちのグループ内でも交渉が必要となりました。しかし、グループのみんなで役割を分担したり、自国のボトムラインについてもう一度考えてみたりと協力しあったことで、よりスムーズな交渉を行うことができました。(豊田さん)
■教育模擬国連に参加した感想をお話しください。
私はエチオピアに行ったこともエチオピア人の方とお会いしたこともありません。また、他の参加国についても同じです。だから、このようなことがなければ考えなかったことも多くありました。模擬国連は私に世界を知る、考える機会を与えてくれて、良かったと思います。これからもより主体的に取り組んでいきたいです。(関根さん)
何よりも、ふだん話すことのない全国の方々と交渉という形を通して交流できたことがとても楽しかったです。自分が思いつきもしなかったようなアイデアに触れることが多くあり、とても刺激を受けました。現在、私たちと同世代の沢山の人々が国際問題に取り組んでいるのだということを今回の模擬国連で実感し、これからももっと積極的に全世界の問題に目を向け、自分の意見を持つことが大切だと思いました。(豊田さん)