(2017年5月取材)
世界各国の代表の高校生による高校模擬国連国際大会が、5月12日・13日の2日間、ニューヨークの国連本部で開催されました。日本からは、昨年11月の第10回全日本高校模擬国連大会で代表に選ばれた6チームが参加し、大西洋の島国カーボヴェルデ共和国の大使として会議に臨みました。
今回の高校模擬国連国際大会には23か国から約1600人が参加。WB(世界銀行)、WHO(世界保健機関)、ILO(国際労働機関)など16の会議で、国際社会が抱える問題を討議します。今回日本チームが担当したカーボヴェルデ共和国は、北アフリカの西沖合に位置しています。大小18の島から成り、面積は滋賀県よりやや大きいくらいで人口は約53万人という小さな国です。大使として発言・交渉するための情報を得ることも非常に難しい中で、日本から出場の各チームは世界の高校生と渡り合い、渋谷教育学園渋谷高校、渋谷教育学園幕張高校、灘高校の3校が担当会議で優秀賞を受賞しました。
高校生による国際会議とはどんな雰囲気だったのか。会議に向けてどんな準備をしたのか。出場した皆さんに、お話を聞きました。
[出場チーム/ 担当会議/ 議題]
世界銀行(WB:World Bank) 『金融の安定化と低所得国の開発』
・「自分を信じ、努力を重ねた分だけ強くなれることを実感」小塚慶太郎くん
・「人種の壁は自分自身が作り出したまやかしに過ぎない!」宗武陸くん
国際労働機関(ILO: International Labor Organization) 『グリーン経済と持続可能な成長』
・「小国であっても印象に残る提案を出せるよう努力した」田久保将人くん
国連総会第三委員会(社会、人道および文化委員会:Social, Humanitarian and Cultural Committee) 『死刑制度と国家主権と生存権』
・「話す力で圧倒されても、きめ細かな行動で会議の進行に貢献できる」小牧薫子さん
・「いろいろな人に話しかけてみることで培った安心感を支えに」鶴巻明梨さん
国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)『海洋汚染』
・「英語が第一言語ではない日本だからこそ、買って出るべき役割があった」小寺圭吾くん
・「自国のスタンスを明確に伝えられれば、様々な国の大使にアピールできる」高橋千佳さん
世界保健機関(WHO:World Health Organization)『あらゆる人のための医療保障の確保』
・「移民国家であるアメリカの社会情勢を実感」青木渓くん
・「“No One Left Behind”を掲げてアフリカ諸国を味方につけた」高橋遼くん
国連総会第一委員会(軍縮・安全保障委員会:Disarmament and International Security Committee) 『化学兵器』
・「対立軸が見えにくい議題だから、他国の政策を整理することに努力」北口智章くん
・「会議前に悩み抜いた経験が、厳しい状況で頑張る支えに」柳津聡くん
英語が母国語ではない日本人にとって、国際会議で自分の意見を説明し、自国の利益になるように合意形成を導くことの難しさは想像に難くありません。出場したメンバーたちも、「言葉の壁」や「雰囲気の違い」に苦しんだそうです。それでも、彼らは日本の高校生のすばらしさもたくさん実感したと言います。模擬国連に限らず、これからいろいろな場面で世界に出ていく際の参考にしてください。