灘高校(兵庫県)Aチーム 担当国:ベラルーシ(議場B)
北口智章くん(2年)、柳津 聡くん(1年)
(2016年11月取材)
1.担当国を希望した理由を教えてください。特に、今回の議題の「サイバーセキュリティ」については、担当国のどのような点に注目されましたか。
実際にはベラルーシは第5希望で、中国が第1希望でした。しかし、第1希望から第5希望まで、すべてサイバー空間での国家主権を尊重する側の国を選んでいたので、事前の会議戦略の想定が適応できる国ではありました。
ベラルーシは「世界で最も厳しい検閲を行っている10の国家」などにも選ばれる国家で、スタンスは明確でした。かつ、国内のIT産業への海外投資を推進しているなど、キャパシティビルディングでも主張ができると思いました。
2.全国大会に向けてどのような準備をしましたか。
第一に、議題に対する理解を深めるために、BG(議題解説書)および必読指定の決議は読み込みました。関連する国際会議の文書や、各GGE(サイバー空間に関する国連の会議)のレポートにも目を通しました。ベラルーシ自体のリサーチはなかなかデータがなくて困りましたが、英語でのリサーチを中心に取り組みました。これらの議題・政策立案の準備に加えて、会議戦略もしっかりと練り、会議中の役割分担やタイムマネジメントにも注意を払いました。
3.準備の段階で苦労したことは何でしょうか。
僕たちペアは、2人ともディベート同好会に所属していて、自らの主張を早口でまくしたてがちでした。そこで、会議中のシチュエーションを想定して、わかりやすくゆっくりと話す練習を繰り返しました。論点3の政策は、非支援国・支援国双方に利益がもたらされるように設計しました。(柳津くん)
「サイバー空間」に関する国際社会における議論が活発化したのは比較的最近のことなので、論題に関する事前のリサーチでは、有用な書籍や論文を探し出すのに苦労しました。(北口くん)
4.大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。
第一に、ひとりよがりにならないこと。グループの他の大使に決め細かく目を配って、効率的に共同作業ができるように心掛けました。さらに、自分たちの政策がある程度複雑だったので、それをしっかりとわかりやすく説明して決議案の核にするように努力しました。(柳津くん)
2年目ということもあり、賞を意識した会議行動を心掛けました。それは「他者の目」に意識的になるということです。自分が立っている位置は適切かどうか、自分の話し方は交渉相手にどのような印象を与えるのか、自分の会議行動を近くの審査員は理解できているのか。常に心を外向きに開いて、頭の中で計算をし続けたことが、会議が終盤に近付くにしたがってジワリジワリと効果を発揮してきました。(北口くん)
5.会議を進める上でいちばんたいへんだったことは何ですか。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。
実際に国際的な対立が激しい議題について、2日間で合意に達しなければいけないという点は大変でした。幸い協力的な姿勢で交渉に応じてくれたグループがあり、結果的に最大の対立点だった「論点1」で、ある程度の譲歩をする形となりました、ここに関しては、コンセンサスを達成することで、国益の最大化を図った形です。(柳津くん)
我々は「灘」という学校名だけで警戒されてしまい、それがグループ形成や一つひとつの交渉に影響することもままありました。先入観というのか、そういった感情を解消していくためには「一人のベラルーシ大使」として見てもらえるよう、丁寧な会議行動に徹するより他に方法はないように思います。(北口くん)
6.世界大会出場が決まった瞬間の気持ちを教えてください。
プレッシャーからの解放感が4割、純粋に嬉しい気持ちが3割、憧れの舞台へ行けるのが半ば信じられない気持ちが3割です。(柳津くん)
「やりきった」という達成感に加えて、これまで支えてくださった校内外の先輩方、顧問の宮田先生、そしてペアの柳津くんへの感謝の気持ちが沸々と湧き上がってきました。「これで、恩返しができた。本当に良かった」と。(北口くん)
7.世界大会に向けての抱負を教えてください。
英語力はもっと必要だと思います。同じ議場のみなさんに良い報告ができるように、精一杯取り組みたいです。(柳津くん)
NYを目指し研鑽を積んできた全国のモギコッカーの「代表」としての意識を常に持ち、結果を残したいと思います。(北口くん)
8.これから模擬国連を目指す人へのメッセージやアドバイスをお願いします。
模擬国連は単なるディベートでもなければ、政策発表会でもありません。その奥深さは、やってみないとわからないでしょう。まずは飛び込んでみて、「大使としての自分」を楽しむところから始めましょう!(柳津くん)
あらゆる競技には「必勝パターン」というものが存在します。模擬国連においても然りですが、それは、人に教えられて理解するものではありません。練習会議などを通じて、自分の経験として会得していくものです。手痛い失敗が大きな財産となります。一つひとつの経験を大切にしましょう。「楽しさ」や「やりがい」は後からついてきます。まずは真剣になること。全力で体当たりをすることです。(北口くん)