渋谷教育学園幕張高校(千葉県)Aチーム 担当国:オランダ(議場A)
小寺圭吾くん(2年)、高橋千佳さん(2年)
(2016年11月取材)
1.担当国を希望した理由を教えてください。特に、今回の議題の「サイバーセキュリティ」については、担当国のどのような点に注目されましたか。
欧州連合の加盟国として表現の自由を主張しつつ、大会中に他の大使と一緒にサイバー発展途上国への支援策を考えたかったからです。特にオランダは、EUの中でもサイバー発展途上国への援助を重視している国なので、会議中は実際にあるオランダ主催の会合GFCE((Global Forum on Cyber Expertise)を利用して、様々な国の意見をまとめる役割を担いました。
2.全国大会に向けてどのような準備をしましたか。
大会直前は夜まで学校に残り、情報収集や政策作り・作戦会議をしました。ペアで作業する時間をなるべく多くし、コミュニケーションをとるように心掛けていました。また、顧問の先生に協力していただき、議題や担当国について理解できているかを問答形式で確認しました。
3.準備の段階で苦労したことは何でしょうか。
リサーチを効率よく行うことができず、かなり苦労しました。今回はサイバー空間についての最新情報が必要だったので、速報性を考えるとインターネットに頼るしかありませんでした。インターネットの情報はウェブサイトごとに細かく分かれている上、信憑性の薄いものもあったので不安でした。とはいえリサーチは毎日少しずつ進める必要があったので、夏休みからは国内外の放送局のホームページをチェックするようにしていました。(高橋さん)
国際機関が出している正式文書の英語は、自然な英語とはかけ離れたもので、日常の英語で見たこともない単語などを調べながら読み進めることは非常に大変でした。また提出書類の一つであるPosition and Policy Paperの記入事項が多く、それら一つひとつを埋めることだけでも大変でした。しかし、毎日新たな知識を得るにつれて、サイバー空間という議題、さらには自分の担当国であるオランダをもっと知りたいという欲が止まりませんでした。(小寺くん)
4.大会当日は、どのようなことに気を付けながら会議に臨みましたか。
限られた時間の中で、必要な情報とそうでない情報を見分けて文書を書く必要があったので、重要な情報を聞き逃さないよう常に注意を払っていました。(高橋さん)
私は文章をまとめることや、人の意見をまとめること、人の話を理解すること、人にわかりやすく自分の意見を説明することなどが欠如していると自覚していました。しかし、人と話をして人の話を聞くことは好きだったので、その長所を活かし、自分の意見を理解してもらうまで、人の意見を理解できるまで、とことん話し合いました。(小寺くん)
5.会議を進める上でいちばんたいへんだったことは何ですか。それをどのような工夫や努力で乗り越えましたか。
1日目は意思疎通のできていない公式討議が繰り返され、議場が終始混乱していました。会議の状況を踏まえて、その日の夜は自分のグループの政策を図式化することにしました。2日目のコンバイン交渉にあたり、政策を可視化することが時間短縮につながると思ったからです。(高橋さん)
時間が足りないことが一番つらかったと思います。会議開始から投票まで合計8時間しかないため、事前にワーキングペーパー(WP)を作成し、まずは意見の似通った国でWPを提出し、1日目の夜に決議案を作成し翌日提出するプランを考えていましたが、思い通りにいかず、結果的にコンセンサスが取れなかったことはとても残念です。
また、会議始めは着席討議(Moderated caucus)が多く、議場が混乱していたと思います。非着席討議(Unmoderated caucus)において交渉を進めるべきだったのですが、会議始めということもあって様々な議論が飛び合い、各大使が何を重視しているのかがわかりづらかったです。事前に提出された交渉ペーパーに書かれていることとは異なることを発言する大使もいて、グループ形成が遅れてしまったことは大変でした。非着席討議の動議を上げていたのですが、棄却されてしまい、ようやく通った非着席討議において、少人数で集まることで自分たちのグループはなんとか意見がまとまってよかったです。(小寺くん)
6.世界大会出場が決まった瞬間の気持ちを教えてください。
チーム名が呼ばれた瞬間は驚き半分、信じられない気持ちが半分でした。賞状を受け取って少し経ってから、喜びや感謝の気持ちが湧いてきました。(高橋さん)
決まった瞬間は安心しました。中学生から始めていた模擬国連でしたが、高1の時には書類選考で落ちてしまい途方に暮れ、仕方がなく続けていた自分の相談に乗ってくれた先輩方、先生方、さらには他校の同級生にも支えられてきました。ようやく結果という形で恩返しができ、様々なプレッシャーから解放されたと感じたし、なにより自分の5年間の努力が報われて、ほっとしました。また、高1の時の落選など、様々な苦労を共にしたパートナーのおかげで最優秀賞を取れたので、安心が10%、疲労が40%、感謝が120%のいままで感じたことのない気持ちでした。(小寺くん)
7.世界大会に向けての抱負を教えてください。
模擬国連を始めてから世界大会出場が決定するまでは本当に長い道のりでした。お世話になった方々には感謝してもしきれません。世界大会では全力を尽くし、自分の実力を試して来ようと思います。世界中の高校生からたくさん吸収し、自分の理想とする大使像に近づけるように頑張ります。(高橋さん)
日本中のモギコッカ―高校生を代表させていただくため、今度は別種のプレッシャーを感じていますが、とりあえず今は楽しみです。全日本大会と違って、全て英語で会議を行うことへの不安は今後感じていくと思いますが、今はまだそのような不安はなく、未知の世界への好奇心からくる楽しみを原動力へと変えて、恐れ多いですが、世界一のモギコッカ―を目指します!(小寺くん)
8.これから模擬国連を目指す人へのメッセージやアドバイスをお願いします。
「楽しむための模擬国連」や「競技としての模擬国連」など様々な模擬国連があると思います。私は場面に応じて両者を使い分けていましたが、今までの会議を振り返ると、競争を意識していた時よりは純粋に楽しんでいた時の方がうまくいったように感じます。大会等で結果を残すとなると競争の激しい世界になりますが、実際に結果を出せた時の喜びはとても大きいです。楽しみを感じつつ、お世話になっている人に感謝しつつ、頑張ってください。応援しています!(高橋さん)
一つアドバイスをするとすれば、なるべくたくさんの人、先輩・後輩・同級生、さらには先生も含めて多くの人と仲良くすることです。自分自身も数えきれないほどの人々に支えられ、助けられましたし、世界平和を目指して会議を行う人が、すぐ隣の人と友達になれないなら、世界の平和は実現できるわけがないと思うからです!(小寺くん)