(2013年11月取材)
◇最優秀賞
渋谷教育学園幕張高等学校Aチーム
[エチオピア]
板垣奈恵さん(2年生・写真左)、
高佐綾菜さん (1年生・写真右)
決議案作成の中心的な役割を果たすとともに、粘り強く他の国と交渉し、成果文書の採択に尽力したことが高く評価されました。
*最優秀賞に選ばれた感想をお願いします。
板垣さん)
一人では絶対ここまで来られなかったと思います。高佐さんにも、先生にも友達にも親にも、まわりのすべての人に支えてもらったことに、心から感謝しています。
高佐さん)
私もみんなに感謝しています。本大会に備えて調べ物をしている間も、まわりの人が「できることなら何でも手伝うからね!」と言ってくれて、本当にうれしかったです。
*今回の大会に参加するにあたって、たいへんだったことや、それに対して工夫したことを教えてください。
高佐さん)
本当に調べることが多くてたいへんでした。どんなに調べても自分は何もわかっていないんじゃないか、と不安でした。
とりあえず、自分達で決めていたのは、「紙の使用量は気にしない」ということ。基本的に「child labor」に関する論文は全て検索して打ち出して読みまくりました。A4の大きなファイル4~5冊分になったでしょうか。コピー代も紙代も、親に申し訳ないことをしました! でも、その紙があることで、「少なくともこれはやったんだ」という自信になりました。
板垣さん)
調べてみてわかったのは、インターネットの情報だけでは限界があるということです。だから、親や先生に教えてもらった政治や経済関係のの本や雑誌など、信ぴょう性のある情報をいろいろ読んで、特にエチオピアの歴史やこれまでの児童労働のあり方について勉強しました。
*準備はどのくらいの期間したのですか。
板垣さん)
学校内で出場者の予選があったので、夏休み中はその準備をして、9月上旬に出場が決まり、本大会の出場が決まったのが9月の中旬でした。でも、エチオピアの代表と決まったのが修学旅行中で、「えーっ、1週間準備できない!」って、あれはあせりました。エチオピアになるとは思わなかったんですよ。希望で出したのはブラジル、ケニア、カンボジアでしたから。
*出場するには、英語は相当できないとダメじゃないかと思いますが、実際はどうですか。
高佐さん)
私は9歳から12歳までオーストラリアにいましたが、英語ができる・できないにかかわらず誰にでもできると思います。ただ、英語ができると事前のリサーチでたくさんの英文の文献を読むのは有利かなと思います。
板垣さん)
私は6歳から12歳までアメリカとイギリスに住んでいました。決議案を書く時に、英語が書けるから任された、というのはあると思います。でも、大事なのは英語より内容だと思います。帰国子女の人がいない学校も毎年出場していますし、頭の中で自分達の国の政策をよくわかった上で、他の国の意見を聞いて、まとめることが一番大事だと思いました。
*将来について教えてください。
板垣さん)
私は、医者になりたいと思っています。模擬国連で、「貧困」がテーマだった時も、医療の問題が大きいことを見ていたので、「お金がないからきちんとした医療が受けられない」ということを社会からなくしていきたいと思っています。また、テレビのドキュメンタリーなどでアフリカなどの貧困地域の医療に携わる医者の姿を見て、あのような現場で社会貢献できるようになりたいと思っています。
高佐さん)
今まで高校生の自分なんかでは何もできないと思っていましたが、今回の経験で人って本当にすごい、ということがよくわかりました。世界で起きていることは他人事じゃない。自分も何かできる人になりたい、と思います。
◇優秀賞
大阪教育大学付属高校池田校舎Aチーム
[モロッコ]
中村詩音さん(2年生・写真右から4人目)、
山田修平君(2年生・右から5人目)
グループ内をまとめあげるための発言や行動と、粘り強い交渉力が高く評価されました。
*出場しようと思ったきっかけを教えてください。
中村さん)
学校では、ユネスコ部に入っています。小学校6年生までアメリカにいたこともあって、国際関係にはずっと興味を持っています。ほとんど趣味の領域でしょうか(笑)。
*「粘り強い交渉力」が評価されていましたが、自分でも意識していましたか。
山田君)
ぼくも小4から中1までアメリカにいたので、議論することは好きですが、「粘り強い」と「しつこい」は紙一重だと思います。相手を説得するためには、相手の様子を見て「こんなことを思っているんだろうな」と考えながら、こちらの意見を出していくのが大事だと思います。そういうメタメッセージみたいなところは、日本の方がうまいと思います。優秀賞はまだ信じられなくて、涙が出るより自分の心臓の音が聞こえるくらいドキドキしています。
*何が大変でしたか。
中村さん)
児童労働という議題において各国が提案する政策の特徴を見極めることに苦労しました。各国の産業構成、教育環境、経済状況などを分析し多角的な視点からこの問題を捉えることでなんとか推測をしました。
山田君)
表面上はシンプルで説明しやすいことと、表面下では奥深いリサーチに基づき説得力があること。この二つの要件を両立させた政策立案にとても苦労しました。
*世界大会へのお2人の意気込みを聞かせてください。
山田君)
全国の高校生達と戦えた貴重な経験をもとに、世界の高校生達と競い合うという次の挑戦に挑みたいと思います。また、次の議題が発表されるまで、国際法の歩みなど、議題にとらわれることのないマクロな観点からリサーチがしたいです。
中村さん)
2012年、2013年と2年連続全国大会に同じペアでの出場を果たし、会議を積み重ねてきたおかげで、お互いの長所を発揮する方法を見出すことができてきたので、世界大会でも周りに圧倒されることなく、私達ならではの会議行動を実現させたいと思います。そして残された時間の中で、私なりの大使としてどうあるべきかという「理想の大使」像を追求していきたいです。
◇優秀賞
灘高等学校Aチーム [中国]
村田幸優君(2年生・写真右)、
小坂真琴君(1年生・写真左)
行動力と、他の国に対して決議案へ賛成を求める説得力、そして判断力が高く評価されました。
*1年生と2年生、初出場でいきなり代表とはすごいですね。ずっと目指していたのですか。
小坂君)
中学校の時から出場したくて、去年はこの会場に見にきました。今回は校内で7-8人の出場希望者の予選を通過して、出場しました
*「行動力」が高く評価されていましたが、どんなところを意識したのですか。
村田君)
行動力にはあまり自信はなくて、特に1日目のグループ形成のような場で自分から働きかけていくようなことは苦手なんです。でもそこはやるしかないと思って、最低限やれることはやりました。そこまで評価してもらえたのはうれしかったです。
自分は、学校でディベート部の部長をしていて、2日目の決議修正案を作るような説得や交渉は得意なので、そこは羽を伸ばしたというか、気持ちよくできました。
*児童労働の問題で中国の代表というのは、難しくなかったですか。
小坂君)
いや、逆です。最初から中国は第一希望だったのでラッキーでした。中国は手に入れられる情報が多いので、できるだけたくさんの情報を集めて、いろいろな角度から整理して準備しました。それがあったので、交渉する時に様々なカードが持てたと思います。
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