(2015年3月取材)
全国の高校生徒会の役員が大集合する「全国高校生徒会大会」。第3回となる今年は、2015年3月30日~4月2日の4日間、東京で開催されます。
この大会の関西の実行委員が、関西のコミュニティFM局「エフエムあまがさき」で自分達のラジオ番組「High School Radio!!(ハイラジ!)」を作っています。収録の現場に行って来ました(2015年3月15日)。
「ハイラジ!」が始まったのは、2014年2月。以来、2015年3月24日の放送までで全10回。技術スタッフ以外は、進行もトークの内容も全て高校生の手で作っています。
放送時間は1時間。毎回生徒会に携わる高校生のゲストを招き、生徒会に関係するテーマトークを行います。そのほか、自己紹介でアニメやスポーツの話をしたり、ゲストのリクエストの楽曲を流したりします。
MCを務めるのは、灘高校[兵庫]2年生の長澤生眞くん(第3回全国生徒会大会実行委員長)と、東大寺学園高校[奈良]2年生の森口舜くん(第3回全国生徒会大会副実行委員長)。二人とも自分の学校の生徒会で、長澤くんは交流委員長、森口くんは総務委員長をしています。
番組で取り上げるのは、年1回の「全国高校生徒会大会」のPRとともに、各校の生徒会の活動紹介、生徒会役員が抱える悩みなど。けっこうマジメなテーマですが、長澤くんと森口くんのお笑い芸人顔負けの進行で、笑いながら、納得しながら聴けます。
この日は、3月17日(火)と24日(火)の2回分の収録が行われました。現役の生徒会長や、昨年度の生徒会大会参加者をゲストに迎え、なごやかで楽しい、ホンネのトークが続きました。
■生徒会長の役割は、「みんながやりたいことを実現できるようにすること」
ゲストは灘高校生徒会長の小坂真琴くん(2年)と六甲高校[兵庫]生徒会長の東由哲くん(2年)、そして途中から前・灘高校生徒会長の高島崚輔くん(3年)が加わりました。
長澤くん さあ。ということで、今回のテーマは「生徒会長の役割」です。今回の生徒会大会では、Party(=グループ)ごとに「理想の生徒会」を体現するための政策をマニフェストにまとめて発表することになっているので、その参考にもなると思います。じゃあ、東くんから行こうか。あれ、なんかめっちゃ緊張してない?
東くん めっちゃ緊張してます。さっき音楽がかかっている時に、「あかん、曲より僕の心拍の方が速い」って思いましたよ。
会長の役割は、個人的な考えでは、僕の学校は生徒会の中に3つの部署があるんだけど、そこの全ての情報を1つにまとめて、生徒会役員全員にちゃんとシェアできるようにすることだと思います。
僕が高1の研修旅行の時。副実行委員長をやせてもらったんだけど、その時感じたのは、「上が動きすぎるとダメ」ということ。同じ情報を共有できないから、一部の人にしか仕事が回らなくて、結局皆が働けなくなってしまうということを学びました。
森口くん 僕がやっている「総務委員長」は、副会長という位置づけで、代議委員の中から会長の指名で選ばれます。
総務委員長には特に公約はないけど、僕の就任のあいさつで「すぐそばに生徒会」というのを掲げました。僕の学校は、生徒と生徒会の距離があったので、生徒会がすぐ身近にあると感じてほしくて、わかりやすくインパクトのあるメッセージを出しました。そして、生徒会大会でいろいろな学校の人から聞いたことを活かして、新入生歓迎会をしたり、新聞を作ったりしました。
公約という意味では、灘高校の生徒会長の公約ってすごくしっかりしていて、実現可能性が高いように思うけど、どうなの?
小坂くん 僕が会長選挙で掲げた公約は「総整理」。年々いろんな下部委員会がどんどん増えて、それぞれの仕事がなくなって、何をしているかわからなくなっていたし、先輩達が立ち上げて数年たって有名無実化していた企画もいろいろあったので、必要なものだけに整理する、ということを掲げました。
高島くん
いろいろ整理して頂きました(笑)。うちの学校の選挙では、やりたいことがあって会長に立候補する人が多いので、本気でやりたいことを公約にすることが多いように感じます。だから実際に会長になっても、実現するために本気で努力するんじゃないかな。もちろん、灘校のやりたいことがやりやすい環境のおかげもあると思うよ。
小坂くん 僕が考える会長の仕事は、生徒を代表して行事であいさつすることと、リスクマネジメントだと思います(「おーっ、出た!リスクマネジメント!!」の声多数)。行事とかで、具体的な仕事は、例えば体育委員とか文化委員とかがやってくれるけど、外部とか先生とかと何かあった時、「どうすんねん」を考えて、皆がやりたいことを実現に結びつけることが会長の仕事だと思います。
高島くん 僕の考える会長像も小坂の言うリスクマネジメントと似ていて、会長って行動を起こせる立場ではあるけど、逆に他のメンバーが動きやすいように、皆がやりたいことをやらせてあげるようにすることが一番の仕事だと思う。先生との距離も近いしね。でも、ただ人に仕事振っていればいいってものじゃない。大前提となるのが誰よりも真摯に仕事に向き合っていることだから、誰よりもがんばらなくちゃいけないとも思っています。
長澤くん こういうトップがいてくれると仕事がしやすいよね。生徒会だけでなく、ふだんのいろいろな活動でも、今の話はすごく参考になりますね。
僕も今回実行委員長として、見習わせてもらおうと思います!
■ハイラジ!の立ち上げメンバーに聞きました
高島崚輔くん(灘高校3年生/第2回全国生徒会大会副実行委員長)
ハイラジが始まったきっかけは、エフエムあまがさきでラジオ番組制作をされている野口直樹さんと、学校の先輩を通して知り合ったことです。2013年11月に、「生徒会大会の宣伝の一環としてラジオ番組を作ることはできないでしょうか」と提案したところ野口さんが快諾してくださり、この番組がスタートしました。記念すべき第1回放送は、何を隠そう僕の誕生日である2014年2月4日。僕と第2回大会の実行委員長の加藤、広報部長の川島、IT部長の舩木の4人でスタートしました。
以前1時間の番組に出演したことのある僕以外は全く初めてのラジオ番組制作。最初の収録のときは秒単位の進行表を作って臨みました。それでもうまくいかず、結局14時に集合したのにスタジオを出たのは20時。みんなへとへとでした。さらに、ラジオは「相手が見えない」ので、最初はこれが非常にやりにくかったです。
どのようなテンションで臨めばよいのか、自分の話がリスナーの皆さんに伝わっているのか…。相手の反応が直にわからないため、悩みながらの収録になりました。ただ、気負わずに普段通り話せばいいのではないかという結論を自分なりに出してからは、自然体で臨むことができました。
今日の収録は1時間の番組をカットも撮り直しもなしでほぼ時間内で終わらせていて、長澤・森口の2人は本当にすごいな、と感心していました。
川島太志くん(帝塚山高校[奈良]3年生/第2回全国生徒会大会広報部長)
「ハイラジ!」を立ち上げた時、目指したことは3つあります。
1つ目が、関西の高校生を中心に、生徒会大会の存在をPRする(=純粋に大会に興味を持ってもらうこと)。
2つ目が、社会人も含めて、広い世代に様々な生徒会の取り組み、生徒会としての考え方を知ってもらうこと。
そしてもう1つが、高校生ができること(=社会のためでも、学校のためでもよい)は何なのかをメンバー自身が考え、同時に番組を通してリスナーの高校生の皆さんにも考えてもらうこと、でした。
最初の頃の収録は、とにかく緊張しました。トークの話題転換のタイミングで息を合わせることからして、苦労の連続でした。
※川島君は、2014年の第2回全国生徒会大会のプレゼンで、外務部門の優秀賞と最優秀賞をダブル受賞したParty1「闘う生徒会」の議長も務めました。→詳しくはこちら
■北海道から沖縄まで、全国の仲間とつながろう!
長澤くん、森口くん、高島くんに、昨年の第2回大会に参加した林苑芳さん(四天王寺高校[大阪]3年)と舩木駿一くん(灘高校3年)が加わりました。
長澤くん 今日は昨年の第2回全国高校生徒会大会の参加者・実行委員の皆さんに来ていただいています。あかん、大先輩の隣でめっちゃ緊張している。どうしよう…! ではまず、昨年の大会でどんなことをしていたか、教えてください。
高島くん まずこの『ハイラジ!』を作りました(パチパチ)!
大会には、前日に東京入りして準備を手伝って、開閉会式の司会原稿のチェックをして……。あ、プレゼンの審査に使う投票用紙も作ったなあ。当日はスーツを着て2日目まで写真を撮っていました。
長澤くん 高島さんは、みんなの「お父さん」として君臨していましたね。
林さん 私は普通に応募して参加したら、なぜかParty11の議長になっていました。ファシリテーターとして、プレゼン準備のまとめをやったんですが・・・うちのグループは個性が強いメンバーが多くて(笑)。でも、「組織運営」のテーマで『土星型生徒会』というキャッチフレーズを出して、会長が中心で、周りにある粒子の輪を役員に見立てて、劇を取り入れた方が印象に残るかな、と劇も入れたら、審査員特別賞をもらいました。
舩木くん IT部長だったけど、HPの制作は僕には手に負えなかったので、ITの強い子に作ってもらって、僕は監修をしました(笑)。でも、ツイッターで大会のことをひたすら宣伝しまくり、フェイスブックの更新も定期的にやりました。当日はUstreamやツイッターで実況もやりました。あ、それから交流イベントの企画もしました。参加者と実行委員の架け橋になっていました。
森口くん 僕は一般参加だったけど、なぜか実行委員ぽいこともして、朝食のおにぎりを運んだりしていましたね。僕の班は「社会貢献」のテーマで、『やる気スイッチ』をキャッチフレーズに、Yes-Noクイズを作ってタイプ別の社会貢献の方法を考え、優秀賞をもらいました。
長澤くん 実行委員として、僕もおにぎりを運んだり、グループ分けをしたりしました。当日は、「外務」がテーマのPartyの議長として、他の学校の生徒とつながるために何をしたらよいか、考えました。
去年、できたらこんなことがやりたかった…
高島くん 去年は実行委員だったので議論には加われなかったけど、一昨年(第1回)の大会でディスカッションに参加して自分でプレゼンを考えたのはよかったと思う。そこで考えたことは実際の生徒会に活かすことができたし。だから敢えて言うならばもう一度、一参加者に戻ってやりたかったかな。
林さん 私達のPartyは、プレゼンの会場のアンケートで「パフォーマンスのインパクトが強すぎで、中身が薄い」と書かれてしまって、ちょっと残念でした。もしもう1回できるなら、インパクトと中身のバランスを取りに行きたいです。そこが議長の腕の見せ所だと思います。
舩木くん 僕はやり残しはないです。全て出し切りました! できればもう1回、参加者として出たかったです。
参加者に実用的なアドバイスをひとこと!
林さん プレゼンでは「土星型生徒会」みたいに、印象に残る一つの完結したフレーズを作っておくといいですよ。
舩木くん 実行委員は、参加者とできるだけ絡みましょう。ガンガン話しかけて、いろんな友達を作りましょう。これは実行委員の特権です。そして参加者の人は、とにかくチーム内の結束を固めよう!
この12-3人の結束は、大会が終わっても絶対続きます。
高島くん 自分の生徒会活動で抱えている問題を、大会前に考えておくといいと思います。同じ問題を抱えている人もたくさんいるはず。そういう人に相談に乗ってもらうことができるのも、この生徒会大会の良さです!自分の生徒会をよりよいものにするために、ぜひこのチャンスを活かしてください。
森口くん 今年の参加者は北海道から鹿児島まで、見学者は沖縄までで、日本列島制覇です!
これだけいろんなところから来た人に会えるって、めっちゃすごいですよね。あ、実行委員にもどんどん話しかけてください。ブルゾン着た、ちっちゃいのがいたら、実行委員長ですから!
長澤くん なんですぐその話に持ってくん?!
■やっぱり「おもしろかった!」と言ってもらえることがいちばん嬉しい
野球部→ソフトテニス部で「中二の女子の平均身長」の長澤くんと、「裏で頑張るいぶし銀の選手が好き」という巨人ファンの森口くん。実は二人とも「ハイラジ!」を始めるまでトークの経験はほとんどなかったそうです。
森口くんに聞きました。
[質問1]今まで、部活や委員会でこのようなトークの仕事をしたことはありましたか?
こんな世間一般に向けて公共の電波で発信する、という機会は初めてですね。博物館でインタビューを受けて、NHKのニュースに出たことはありますけど(笑)。生徒会をしていると人の前で話すことも多いですが、やっぱりラジオの収録をさせてもらうということは、全然雰囲気も違って、とても緊張しました。
[質問2] ハイラジ! をやってこんなことが嬉しかったor自分にとって役に立った、ということを教えてください。
学校の友達が聞いてくれていたり、「録音しといたよ!」って言ってくれたりした時とかは嬉しかったですね。役に立ったことは、話のつなぎ方がうまくなったかな…とは思っています。長澤実行委員長の無茶ぶりに対応できるようになったかなぁ…。
そもそも、「高校生の時にラジオにレギュラーで出させてもらうということ」自体が、今後の人生ですごく役にたつ経験になるんだろうな、と思います。こんな場を提供してくださったエフエムあまがきさんと、「ハイラジ!」を企画してくださった野口さんには、感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。
[質問3] 今はすっかり安定のMCですが、実はこんなことであわてたとか、どうしよう!と思ったことがあったら教えてください。
最初の放送では緊張して、大変でした。初回を聞いてくださった方ならおわかりかと思うんですが、初回に話をしすぎて…。後から長澤実行委員長からきつくお叱りをいただいてしまいました(笑)。
あと、番組は前もって収録しておいて後日放送なので、放送日までのタイムラグを意識することもたいへんでした。朝の収録で、間違って「おはようございます!」(放送は夜!!)と言ってしまった時、しまったなぁ…と思いました。
※二人のみごとな掛け合いを文章で再現できないのが残念です。次回の放送(放送日未定)では、今回の生徒会大会の振り返りを報告します。ぜひ聞いてみてください!
[放送日は、「みらいぶ」の生徒会大会レポートでお知らせします]
■放送局 エフエムあまがさき(82.0MHz)
→可聴範囲: 尼崎市、西宮市南部、伊丹市、宝塚市南部、大阪市西部、豊中市、吹田市
※上記以外の地域で聴く方法はこちら
エフエムあまがさきのホームページ
http://fmaiai.com/
右下の方にある「INTERNET RADIO」のコーナーに、エフエムあまがさきが聴けるアプリが紹介されています。
■第3回全国高校生徒会大会のホームページはこちら
http://www.nscc3.com/nscc3/
日程:3月30日(月)~4月2日(木)
※参加申込み、および1日目・2日目の見学は締め切られましたが、3日目のプレゼン大会はまだ見学申し込みが可能です。上記サイトから申し込んでください。