巨大津波からの復興を願い、ふくしまの美しい鳴き砂の海岸を調査!

福島県立磐城桜ヶ丘高等学校 科学部

(2014年7月取材)

発表者の松崎薫さん(左)と髙倉優花さん(右)
発表者の松崎薫さん(左)と髙倉優花さん(右)

◆部員数20人 

(1年生5名、2年生6名、3年生9名)

◆答えてくれた人 

 髙倉優花さん(3年生)

 


■研究内容 「鳴き砂に関する調査 ~鳴き砂きゅっきゅっ~」

鳴き砂とは、砂の上を歩くと、きゅっきゅっと音をたてる砂で、海水がきれいな浜辺で砂が洗われると生成されるため、鳴き砂があるのは付近の海域がきれいなことの証拠と言われています。私達は、鳴き砂のある、いわき市の4つの海岸の鳴き具合を調べて、最もよく鳴く、豊間(とよま)海岸を調査地としました。

●実験1 まず、文献で鳴き砂の鳴く条件として、石英含有率が60%程度であると知り、鳴く砂と鳴かない砂で3つの実験を行いました。

 

(1)石英含有率 →鳴く砂の石英含有率は文献の値に近いものであった。

(2)不純物の除去 →鳴かない砂を磁石を使い、砂鉄を30%以上除去すると、鳴くようになったり、砂を煮沸して乾かすことを3回行うと、鳴くようになった。

(3)粒径 →振るいにかけて、同じ粒径だけで鳴くか調べたが、鳴かなかった。

 

●実験2 次に、鳴き砂の分布は変わるのか、メッシュ調査を2012年12月~2014年3月の間で実施しました。

 

●実験3 調査データを確認するため、海岸の再現模型を作って、砂の移動の原因を調べる実験を行いました。風の代わりに扇風機を使って風を砂にあて、砂の移動を観察したり、模型に水を入れて、波を起こして砂の動きを観察しました。

 

●まとめ 実験1より、鳴き砂が鳴く原因は、石英含有率の多い砂が摩擦によってこすれあうことであることがわかりました。鳴かない原因のひとつが不純物の混入であり、不純物を除去すれば、鳴き砂の再生が可能であることもわかりました。

 

実験2より、鳴き砂が移動する原因は風であることがわかり、実験3ではさらに、鳴き砂が移動する原因は、波と風の2つの条件が影響していることがわかりました。

 

■研究を始めた理由・経緯は?

 

いわき市には、鳴き砂が存在する海岸が数ヶ所あることを知り、鳴き砂はなぜ鳴くかを知りたいと思いました。震災では、津波で海岸の砂が流されて、その性質が失われつつあるということを聞きました。鳴き砂のある美しい海岸を守り続けたいと思ったからです。

 

■今回の研究にかかった時間はどのくらい?

 

2012年から2年間(毎日 月~金 2時間)

 

■今回の研究で苦労したことは?

 

海に調査に行き、メッシュ調査で分布を調べたことや、石英含有率を面積で求めたこと。

 

■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?

 

季節によって、鳴き砂の分布が変わること。

 

■今回の研究にあたって、参考にした本や先行研究は?

 

・全国鳴き砂サミット

・気象庁データ資料 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/

 

■今回の研究は今後も続けていきますか?

 

今後は、鳴かなくする原因である不純物(汚れ)の解明や、鳴き砂の分布調査の継続をしていきたいです。石英の供給源についても調べていきたいと思います。

 

■ふだんの活動では何をしていますか?

 

・ヨコヅナサシガメの分布

・松の葉の気孔の汚染状況

・トマトの塩分濃度

 

■総文祭に参加した感想を聞かせてください。

 

まさか全国大会に出られると思っていなかったので、出場できて、すごく嬉しいです。普段、あまり知られていない私達の活動をより多くの人に知ってもらうことができたし、また、他の学校の研究を聞いて視野を広げることができました。

 

多くの生徒との交流もあり、貴重な経験をできて嬉しく思います。3年生なので最初で最後の総文祭の発表になりますが、練習の成果を発揮できたので、よかったです。

 

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