(2014年7月取材)
◆部員数 22人
(1年生14人、2年生3人、3年生5人)
◆答えてくれた人
中島夕佳さん(1年生)、
小松大師君(1年生)
モデルロケットは、火薬エンジンを使用して時速約180Km(アルファー Ⅲ、エンジン:A8-3の場合)で大空高く飛ぶ模型ロケットです。打ち上げる際には、点火装置から電流を流してエンジンに着火して飛ばします。
私達は、
1.最高到達点が高い
2.空中分解しない
3.まっすぐ飛行する
4.回収装置(パラシュート)が機能する
という条件を満たす、高性能で安全性の高いモデルロケットを作成しようと考えました。
研究は、まずパラシュートの性能を調べるために
実験1 パラシュートの形状
実験2 パラシュートの紐の長さ
を行い、さらに安定した飛行が可能なロケットを製作するために、
実験3 フィン(ロケット後部の尾翼)の形
打ち上げ実験A ロケットの形を決定
打ち上げ実験B パラシュートの形の調整
を行う、という手順で進めました。
その結果、実験1・2・3から「パラシュートの形状は円型が誤作動が少ない(降下速度はバルーン型や傘型の方が遅いが、誤作動が多い)」「パラシュートのひもは長い方が安定する」「フィンの形状は円型がよい」ことがわかりました。
このロケットを打ち上げ実験Aで打ち上げると、高度は15mで、機体は安定せず、蛇行しながら飛行しました。そこで、総重量を軽くしたり、先端部分がぐらつかないよう固定したりといった工夫を重ねました。
そして改良したロケットで、打ち上げ実験Bを行いました。その結果、正常に打ち上がりましたが、パラシュートが離脱する、という結果が続きました。
今後への課題として、現在パラシュートに使っているポリエチレンは熱に弱く、着陸の逆噴射時に融ける可能性があるので、熱に強いエマージェンシーシートを利用していきたいと思います。また、回収装置となるパラシュートの離脱を防ぐ取り付け方の工夫が必要です。これらの課題を克服して、より高性能で安全なロケットを製作したいと思います。
■研究を始めた理由・経緯は?
2014年4月14日、国際宇宙ステーションへ物質を補給するはずだったロケットの打ち上げが延期されました。原因は機体からのヘリウム漏れ。それを見て、ロケットには高い安全性と機能性が求められ、これは、私たちの使用しているモデルロケットにも言えると考えました。
■今回の研究にかかった時間はどのくらい?
部活を始めてから2、3か月間です。
■今回の研究で苦労したことは?
先輩方の研究を引き継ぎ、その研究をさらに深くしていくことです。(中島さん)。
改善して飛ばしても、なかなか成功と呼べるような成果をあげられなかったこと。一つ改善しても、どこか別のところにリスクが発生してしまったことです。(小松君)
■「ココは工夫した!」「ココを見てほしい」という点は?
エマージェンシーシートなどの素材にするものを探したこと。パラシュートの取り付け方にも工夫を重ねました。(中島さん)。
ロケットを安定させて飛ばしたり、安全に回収するために思いつく限り様々な工夫をしたことです。(小松君)
■今回の研究にあたって、参考にした本や先行研究は?
『アマチュアロケッティアのための手作りロケット完全マニュアル』日本モデルロケット協会監修/久下洋一著(誠文堂新光社)
■次はどのようなことを目指していきますか?
ロケットの研究を続け、逆噴射の温度を調べたり、素材の研究をしたいと思っています。(中島さん)。
まだまだ多くの課題が残っているので、私たちの理想の「高性能で安全なロケット」を作成できるよう、課題を一つずつ解決していきたいです(小松君)。
■ふだんの活動では何をしていますか?
モデルロケット、缶サット(空き缶サイズの模擬人工衛星)、水ロケット(いわゆるペットボトルロケット)の班に分かれて活動しています。他にも、科学ボランティアなど自分たちの知識を生かすことのできる活動も行っています。
■総文祭に参加した感想を教えてください。
・高校1年生なので、他の出場の方に比べるとまだまだ知識などが少ないままで大丈夫なのか、という不安を抱えての参加でした。出場してみると、やはり高校2・3年生が大半でとても緊張しました。着眼点が鋭く、質問される内容も深いものが多く、すごいなと思いました(中島さん)
・全国大会というだけあって、さすがにどの高校の研究もレベルが高かったです。私たちと同じ「モデルロケット」という研究テーマの学校の生徒達と交流でき、これからの活動に生かしていこうと感じました。残念ながら入賞は逃してしまいましたが、今回の出場で学んだことを糧に、来年の総文祭では入賞を目指したいです(小松君)。