(2013年11月取材)
2013年10月の世界体操選手権の床運動で金メダル。同時に、「シライ」という名前のついた技(わざ)が3つも認定された、高校2年生の白井健三君(神奈川県立岸根高等学校)。2020年の東京オリンピックで必ず活躍することになる、今いちばん注目の高校生です。そんな白井君に話を聞きました。
聞き手は、こちらもオリンピック体操金メダリストで、現在は指導者である、具志堅幸司さんです。
具志堅幸司氏 1984年のロサンゼルスオリンピック男子体操で、個人総合とつり輪で金メダル、跳馬で銀メダル、団体総合と鉄棒で銅メダルを獲得。指導者として、多くの優れた選手を育てている。神奈川県教育委員会委員長。
白井健三くん 1996年生まれ。兄2人に続いて、3歳から体操を始める。2011年、中学校3年の時全日本体操競技個人種目別選手権大会の床運動にて2位に入賞、注目を集める。2013年10月の世界体操選手権の床運動で優勝。日本人選手としては史上最年少の金メダルとなった。
具志堅さん)
今年10月にベルギーで行われた世界選手権では、床運動で金メダル、「シライ」という名前のついた技(わざ)が3つもできました。初めての世界選手権は、どんな大会でしたか?
白井君)
チームの中でいちばん年下でしたが、先輩方にいろいろ教えてもらったり支えてもらったりして、楽しい遠征でした。
具志堅さん)
初出場で緊張しなかったですか。
白井君)
全然。チームでいちばん緊張していなかったと思います。基本的に緊張しないんです。でも、オリンピックが決まる瞬間はちょっとドキドキしました。自分が出るオリンピックが東京に来るんだ、と思いましたね。
具志堅さん)
世界選手権で優勝して学校に帰ったら、みんなが白井君を見る目が変わっていた?
白井君)
それが、テスト期間中だったのでみんなそれどころではなかったようで(笑)。テストが終わって「あー、テスト終わった」というばかり。通学の時に電車の中でこっちを見ている人もいるけど、「違っていたらどうしよう」みたいな感じで、話しかけてくる人もいないんですよ。
具志堅さん)
学校で得意な科目は何ですか。
白井君)
日本史です。もともと地理も好きでした。中学生の時から海外へ遠征に出ているので、日本にいても海外のことを感じていたいと思うので。体育は好きだけど、投げられないし泳げないので、得意じゃないんです。徒競走で本気で走っても、6人中4番がやっとくらい。これが実力だから、あまりくやしくはないですけどね。
※神奈川の教育の未来を語り合う「かながわ人づくりコラボ2013」(2013年11月9日、神奈川県立神奈川総合高校にて)での座談会「明日の神奈川のアスリートをつくる」をまとめました。