今をとことんLive
(2013年7月取材)
■ノリのよさは総文祭ナンバーワン?!地元の人に喜んでもらえるのがうれしい!!
郷土芸能部門は、全国各地に伝わる神楽(かぐら)、踊り、民謡などを扱う伝承部門と、伝統曲・創作曲を含む和太鼓部門に分けられています。伝承芸能に21校、和太鼓に37校が出場。郷土色ゆたかな衣装や小道具の伝承部門、りりしいはっぴ姿の和太鼓部門と、会場は華やかな雰囲気に包まれていました。
伝承部門で出場する学校の中には、地域の伝統文化保存を目的として活動している部活動や委員会も少なくありません。他の部活と掛け持ちで参加している人もいます。総文祭の全部門中、最も地域の文化と密接に結びついていると言えるでしょう。
…なんてことを聞くと、部活で郷土芸能をやっている人って、まじめでおとなしい人が多いのかな、と思っていましたが、みんなすごく明るくてノリがいい! 会場の復興センターでも、みんなが元気に「こんにちは!」とあいさつをかわしています。でも、ひとたび舞台に上がると、キレのいい動きや演奏で圧倒されます。入部した理由を聞いてみたら、「先輩たちがやっているのがかっこよかったから」という人が多かったのも納得です。
出場した人に聞いてみると、練習で大事なのは、何と言っても体力作り。激しい動きも多いため、「走り込み」や「柔軟体操」も重要な練習メニューなのだそうです。郷土芸能は、意外に体育会系だった?!
郷土芸能をやっていていちばんうれしいのは、誰もが「地元の人に喜んでもらえること」と言っていました。郷土芸能って、おもてなしの精神も入っているんだな、と思いました。
この大会では、創作曲「京の四季」を演奏した和太鼓部門の京都橘高等学校(京都)が、最高賞の文部科学大臣賞・最優秀賞を受賞しました。また、最優秀賞・優秀賞として表彰された上位4校(※)は、8月24・25日に行われた東京国立劇場優秀校公演に招待されました。
※京都橘高等学校、埼玉県立秩父農工科学高等学校(埼玉)、
神戸市立兵庫商業高等学校(兵庫)、岩手県立雫石高等学校(岩手)
●南砺平高校の演目について教えてください。
私たちは、富山県の伝統民謡、越中五箇山民謡の「こきりこ」・「早麦屋」・「お小夜節」・「麦屋節」の4曲を披露しました。このうち「こきりこ」は、「ささら」と呼ばれる楽器を力強く鳴らして男たちが踊ります。五箇山地方に田楽として今も唄い継がれています。
私たちの郷土芸能部は、平成元年に創部しました。20年以上にわたって、富山県の郷土芸能代表として総文祭に出場しています。春から入部した1年生もすぐに交ざって練習し、全国大会に出場しています。
●平本さんは、どうして郷土芸能部に入ったのですか?
私は、小さいころから民謡に親しんできました。そのこともあり、郷土芸能部のある南砺平高校に入学を決めたほどです。部長になってからは、人数が多いのでまとめるのが大変なことなど苦労も多いですが、時には地域のお祭りなどでお年寄りの方の笑顔が見られたり、やりがいがあります。郷土芸能は全員でひとつの舞台を作るもの。誰か1人欠けていてもダメだと思うんです。だからこそ、今回の発表では練習の成果を出すことができたのでホッとしています。
これからも県内外で富山県の民謡を広めていけたら嬉しいです!
「笑顔」
1年生の時、先輩の演じている姿を見て、かっこいい! とあこがれて入部しました。OB・OGの人が、つきっきりで指導してくださいます。地元の人の前で演技することがよくありますが、そういう時に、お年寄りの方が涙を流して見てくださることがあると、自分も感動します。卒業後は、地域の人のためになる仕事がしたいと思っています。<秋田県立大曲農業高等学校 老松麻紀子さん>
「皆が笑顔になる」
派手な踊りではありませんが、地域の歴史に深く根ざしたものです。1年生の時、部活紹介の発表で見て感動して入部しました。このお囃子は、演じる私たちも、見てくださるお客様も、皆が笑顔になれる大好きな自慢のお囃子です。<静岡県立横須賀高等学校 榑松綾香さん>
「温故知新」
郷土芸能は委員会です。部活とは別に、クラスから2-3人ずつがメンバーとして参加しています。地元の人に教えてもらうのですが、他の部活との練習時間を調整するのがたいへんです。
2年前(2011年)に福島で総文祭があった時も、この早乙女踊りを披露することになっていたのですが、あの時は、震災の直後だったのでできませんでした。今年の3年生は、その時の1年生です。<福島県立南会津高等学校 五十嵐 脩晴(しゅうせい)くん>