今をとことんLive
(2013年7月取材)
■大編成も合同チームも、自分たちだけの音をめざして
吹奏楽部門は、37の都道府県から41団体が参加。この部門は、コンクールのように順位をつけず、演奏を楽しむことを目標としているため、どのチームも心から演奏を楽しんでいました。
曲目は定番のクラシック曲や現代音楽をはじめとして、映画音楽や民謡、ジャズ、歌謡曲など幅広く、踊りや歌を交えたり、コスチュームを工夫したり、とバラエティ豊かな楽しいパフォーマンスが続きました…とは言っても、この日をめざして練習を積んできただけあって、さすがに演奏レベルは高い! 高校に入って初めて楽器に触ったという人もたくさんいるとは思えない、迫力いっぱいの演奏が繰り広げられました。
今年の選曲の特徴は、「ラッキードラゴン〜第五福竜丸の記憶」や「日はまた昇る」など、平和への祈りや絆、再生をテーマとした選曲をした学校が多かったこと。東日本大震災から2年、音楽を通して重いテーマと向き合おうとする気持ちが、選曲に表れていました。
地元長崎からは、最多5団体が出場しました。「しま地区合同吹奏楽団」は、長崎県内の離島の高校12校59人による合同チームです。部員が少なくて、1校だけではオーケストラが作れない学校の部員たちは、ふだん集まって練習することも難しかったそうです。合同練習も本番まで数えることしかできなかったというハンディをはねのけたいきいきとした演奏は、会場の大きな拍手を呼びました。
パートはバリトンサックスですが、学生指揮者もやっています。バリトンサックスは、目立たないのですがバンドの支えとして重要な存在だと思っています。正直、メロディーで目立ちたい、という部分もありますが、そこは吹奏楽部とは別にやっているジャズ研究会で、アルトサックスやテナーサックスを吹いて発散しています(笑)。
学生指揮者としての役割は、基礎合奏の指揮をして、正指揮者の先生に引き渡すことです。全体の音楽つくりは正指揮者の先生がされますが、僕がやるのは、譜面通りに演奏ができるようにまとめることです。部員は80人いますが、経験もまちまちで、力の個人差は大きいと思います。ですから、とび抜けた人に頼るのではなく、全体の底上げができるように指導しています。また、学生指揮者は、本番のステージでポップスの指揮をすることもあります。
指揮の魅力は、理想としている音がバンドから出せるようになることですね。人数が多いので、迫力は出せますが、その中の音の豊かさや美しさ、特に小さい音の厚みを出すのが理想です。そのために、隣の人の音を聴きあって演奏するように声をかけています。
ステージ衣装である黒服は、熊高吹奏楽部の伝統です。シュッとして目立つのと、楽器がよく映える自慢の衣装です。
パートはホルンです。中学の時からやっています。本当は希望していた楽器ではなかったのですが、まろやかな音が好きです。練習すればするほどホルンらしい音になっていくのにのめりこんでいます。
部員は64人います。部長になったのは、皆の投票で決まったからです。本当は、とても不安でした。中学の時とは規模が違うし、高校に入ってから楽器を始めた人もいるので、みんな考え方が違います。だから、みんなをまとめていくために、なるべくいろいろな人の意見を聞くようにしています。
部長の大きな仕事は、練習のスケジュールを決めること。パートや個人でできていないところを見つけたり聞いたりして、先生と相談して決めます。
部長として心がけているのは、ちょっと言うのは恥ずかしいですが、自分が頑張っている姿を見せて、ついてきてもらえるようにすることです。そうやって、一人一人の役割を意識してもらうこと。それに尽きると思います。
8月18日に、九州吹奏楽コンクールがありますので、そこに向けてまた練習です。鎮西らしい、一つになった音、他の学校では出せない音を目指して、がんばりたいと思います。
「感動を与えられるような音」
「自分の気持ちが聞いている人に伝わるような心のこもった音」