(2014年4月取材)
文化祭は、高校生活のメインイベントの1つ。お楽しみが満載です。でも、その裏には文化祭実行委員(文実)の涙ぐましい奮闘があるんです!
文化祭って、けっこう学校ごとの「伝統」とか、「暗黙のルール」があるところが多いですよね。でも、「ここは改善したい」と思っていても、実際の準備に入ってしまうと目の前の仕事に手いっぱいで、結局従来通りということになってしまいがちです。
そこで、首都圏の高校の文化祭実行委員が集まって、文化祭に関する悩みや問題を話し合って共有し、文化祭をもっと盛り上げ、もっとよいものにするためのアイデアを考えるイベント「集まれ文実!」が行われました(4月29日(火・祝)@成城高校[東京])。
「集まれ文実!」は、生徒会活動を通じて知り合った、全員が違う学校に通う高校生6人が「文化祭をもっと良くするために、こんなんできたらおもしろくね?!」ということで、2013年12月に企画を立ち上げたイベント。それぞれの学校の文化祭のいいところを守りつつ、さらに進化した文化祭創りをサポートしたい、という想いから生まれました。
イベントの参加者は37校、のべ126人。参加者は、「実行委員長」「広報・パンフ」「食品」「イベント」「装飾」の5つのテーマ別にグループで話し合いました。
そして、そこから出てきたアイデアやヒントの数々を、ここで一挙大公開!!
全国の悩める文実のみなさん! ぜひ参考にしてください!
◆実行委員長◆
【ターゲットを誰に設定するか】
・小学生、中高生、OB・OG、保護者と分けてみると、年齢層による住み分けの傾向が強いので、さまざまな企画を頑張るしかないが、ステージイベントを幅広い年齢層向けにするとある程度緩和される
・OB・OG向けに同窓会ルームのようなものを作るとよく集まる
【実行委員にやる気を出させるには】
・幹部が頑張っている姿を見せる
・希望を聞いて適材適所に仕事を割り振る。兼任可能にする。逆に、希望通りにしてバランスが悪くなることがあるので、あみだくじで適当に振り分けても
・部門長が短期的な目標を提示し続け、実行委員が今何をしなければわかっている状態を持続させる
・会議は1~2週に1回、各部門の責任者と会議に出たいという意欲のある少数の生徒のみで行い、決めるべきことを短時間で要領よく決める
・特に低学年は、彼らでもできる仕事(アンケート集計、委員会内部の伝達係など)を与えて、組織の一員であることを意識させる。夏休み中は作業日以外呼び出さず、上級生である程度決定してそれを全体で実行する
【一般の生徒のやる気を出させるには】
・文化祭では「自由」が重要だが、それを担保するために実行委員でマニュアルを作る、ルールについての説明会を開くなどして、生徒が問題を起こさないようにする。マニュアルはできる限り肯定的な表現で書く(×「△△は禁止」→〇「■■は可能」など)
・学年を縦割りにして、先輩の姿を見て後輩も奮起するようにする
・なるべく全員に仕事を出す
【先生との関わり方は】
・企画会議に参加してもらい、生徒の要望を聞いてもらう
・とにかく仲良くなり、味方につける
・何かを提出する時には議案書をつける。
議案書は事前に先生に細かくチェックしてもらい、隙を作らない
・意見が合わないときには話し合う場を設けて、両方が納得する折衷案を見つける
【その他】
・企画書は文化祭が終わったらすぐに次のものを作り始め、顧問が正式に決定するまでに仕上げる
・毎年の人気企画は専門の部門を立ち上げる
・あくまで生徒一人ひとりが主人公で、実行委員は潤滑油だ!
◆広報◆
【理想のパンフレットとは】
・わかりやすいアイコンをつける
・参加団体一覧を場所別・ジャンル別などでつける
・初めての人にも分かりやすい全体図(立体図、俯瞰図)をつけ、地図を別紙または観音開きで大きく載せる
・生徒や先生の写真、編集後記などで親しみを持たせる
・スタンプラリーや満足度投票などをつけて、お客さんの拡散をはかる
・見やすい文字サイズ、配色で作る。テーマカラーと同じにしても
【パンフレット制作の費用は】
・印刷費用はフルカラー>一部カラー>二色刷り(モノクロ+一色)>モノクロの順番に高いので、経費に合わせて
・クオリティを上げるために収入を増やす
→地元商店街、学校でお世話になっている会社(自販機、旅行会社…)に広告の出稿を頼む
→生徒から徴収、または寄付金を募る
・(逆に)製作費を削る
→サイズやページ数を小さくする、発行部数を減らす
→印刷会社で何社も見積りを取る。逆に、一つの会社との結びつきを強くして、毎年一括で発注する
・パンフレット制作部門でPC技術を持つメンバーに技術指導してもらう、引き継ぎのマニュアルを作って後輩に伝える
【Webサイト、ホームページの活用】
・外部広報用、内部連絡用をしっかり分ける
・学校に許可を取って生徒で運営するようにし、学校のサイトにリンクを貼ってもらうとサイトを見る人が増える
・閲覧特典(模擬店のクーポン、ミスコンのネット投票など)をつけて閲覧数を増やす
【SNSの活用】
・twitterは簡単に始められ、リツイートなどで多くの人の目に触れることができるが、頻繁にツイートしないとすぐすたれてしまうので、何人かの共同運営にする
・SNSは身近で手軽だが、反面誹謗中傷など危険や問題も発生しやすいので、公式的に扱うのでなく、公式ホームページへの誘導・周知などに利用するとよい
・当日の混雑状況を知らせることなどにも使える
【その他】
・集客を増やすためには他校との連携が重要。HPでリンクを貼り合う、ポスターを貼ってもらうなど
・校内に地図を貼る際には、現在地をきちんと記入する
・お客さんにじっくりパンフレットを読んでもらうための場所を用意すると、お客さんが自分で見つけられる
・案内係の服装は目立つ色にして、話しかけやすくする
◆食品◆
【食券vs.金券】
■食券を使うと
○販売個数をあらかじめ予想できる
○列がばらけるので金券より混雑しにくい
×一度買ってしまうと他の商品に変えられない
×商品と交換しない人がいると数が合わなくなる
■金券を使うと
○金券を買ってから商品を選ぶことができる
○値段の設定がしやすい
×販売個数の予想がしづらい
【販売・飲食スペース】
・とにかく混雑するので、列を整備する委員を置く、ポールなどを活用して混雑を緩和
・生徒とその家族には事前に食券を販売し、当日の混雑を緩和する
・時間制の食券を販売する。一般のお客さんと生徒の飲食スペースを分ける。グラウンドなども開放して飲食スペースにする
【ごみ問題】
・ゴミ箱を増やす
・美化委員を組織化し、徹底してごみの管理に努めてもらう
・再利用可能な食器を使用し、返却してもらう。デポジット制度(食器を返却すると容器代を返却する)を採用する
【その他】
・食品団体が多くなりすぎたら、プレゼンを行ってもらい、文化祭実行委員が選別する
・すべてのメニューに共通するテーマを決める(→B級グルメ、地方の特産品など)
・単に「カレー」「ラーメン」でなく「○○カレー」「△△ラーメン」のように商品にこだわりを持たせてお客さんの興味を引く
◆イベント◆
【集客を多くするために】
・出演者がステージに上がる衣装で校内を歩き回る
・SNSやホームページなどでイチ押し企画やステージの時間割りを広報する
・垂れ幕や看板などを目立つところに置く
・参加団体がPVを作り、入り口や受付、フードコートなど校内の目立つところで上映する
・自作Tシャツを着て呼び込みをする
【企画のクォリティーを上げるために】
・オーディションをして順位によって与えるステージを変える
・来場者の投票で企画に準備をつける
・説明会を開いて過去のいいアイデアを紹介する
・内輪ウケを避けるために、第三者の客観的な目で見てもらう
【その他】
・近隣の人への挨拶やチケット配布で根回しする
・目玉イベントを作る。清掃の方など、スペシャルな方に審査員をしてもらう
・接客は笑顔で!
◆装飾◆
【外から見てわかりやすく、入りたくなる装飾とは】
・ポスター、垂れ幕などで教室外壁を多い、教室内のテーマ、店、企画の名前を書く
・教室内企画のテーマに合わせた飾りを外にもつける
・タイムテーブルを外に貼る
・音楽をかける。風船や花、キラキラしたもので飾る
・食品などのいい香りも「装飾」。五感に訴える装飾を!
【装飾部門の人集めは】
・才能のある人を美術の先生が選抜する縦の関係に、部活の後輩を入れる
・有志と強制参加の割合は半々くらいにして、やる気を維持できるようにする
・先生にも参加してもらう
【装飾のテーマを持たせるか】
■テーマを作ると
○アーチ、パンフレット、校内装飾など統一感を持たせることができる
○装飾品の使いまわしやシェアができる
×自由度が少なくなり、似たようなものが増える
■テーマを作らないと
○自由な発想で好きなことができる
○お客さんも様々なテーマを楽しむことができる
×全体的な統一感が出ない
→→一概には言えないので、メリット・デメリットを考えて決めよう!
【その他】
・いい装飾をした団体の表彰があるとみんなが張り切る。来場者の投票などをやっても
・クラスTシャツなどで統一感を持たせる。髪の毛を染めるなどして華やかに!
・アーチを作ると、外から見て文化祭をやっているとわかる。撮影スポットにもなる
・階段の段のところに各団体の宣伝を入れると、雰囲気が壊れにくいし、わかりやすい
★もっと詳しく知りたい人は報告書もご覧ください
◆どうしてこのイベントをやろうと思ったのですか。
僕は、昨年の11月頃自校の文化祭実行委員長になりました。その時、様々な企画を考えている中で、他校のことを知りたいと思うようになりました。できれば、文化祭を完成させるまでの細かいプロセスも、知りたいと。それならば、そのようなことを話せる場を作りたいと思うようになったのです。
そういったイベントは、今までなかったので、ぜひとも自らの手で作り上げたい、そしていろんな学校の文化祭がレベルアップすればいいと思いました。今回、いろいろな議題を設定したのは、参加者の皆さんにさらに細かい次元の話をしてもらいたいという思いからです。
◆イベントを実施して、主催者としてどう思いましたか。
文実がここまで多く一度に集まって、互いの意見交換をする場は他にありませんので、参加者の皆さんには新鮮な驚きの連続だったようで、大変満足していただけたようです。おもしろいと感じたものを自校に持ち帰って早速取り入れようとしている人も多くいるようです。さらにはここで生まれたつながりを利用して、学校の垣根を越えたイベントを企画している人もいるみたいです。
参加してくださった皆さんは、いい意味で「文化祭マニア」でした。「自校の文化祭をよくするにはどうしたらいいだろう」「もっと見やすいパンフレットって何だろう」…そんなことをずっと考えている人たちです。そんな人たちがこのイベントにたくさん参加してくださったということ、そしてその人達のニーズにしっかり応えられたことは、主催者としてうれしい限りでした。
イベント終了後に、次回以降の運営をやりたいという方が15人も集まったことは、誇らしいことであり、このイベントのさらなる可能性を感じました。代替わりができることが、主催者にとっての最大のご褒美だと感じています。
◆高木君が理想とする文化祭とは?
生徒、お客さん、全ての人に満足してもらえるのが理想です。僕自身は「食品」に特化した文化祭を作ることが、それに近づくための近道ではないかと考えています。結局、帰宅後に一番の確率で覚えてもらっているのはその日に文化祭で食べたものだと思うからです。
◆高木君の学校の今年(2014年)の文化祭について教えてください。
世田谷学園高校の文化祭「獅子児祭」は10月末に開催予定です。今年は「つながり」をテーマに、生徒が積極的に文化祭に参加して、お客さんとの有意義な関わりを持つことを目指します。企画としては、昨年行った「アートフェスティバル」を今年も行います。僕の学校は中高一貫校ですが、中学1年生は文化祭に慣れていないということで、クラスごとに様々なものをモザイク画で表現したのですが、好評でした。また、例年は教室展示は模造紙を貼るだけの簡素なものもOKとしていましたが、今年はそれだけではなく、何かしらの実演を必ず入れることにしようと思います。ステージイベントに関しても、例年よりも準備段階での綿密なスケジュール管理を徹底して、クオリティを上げます。
獅子児祭は、今年は大幅にパワーアップします。後悔させない文化祭にしますので、皆さんでぜひお越しください!
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